第42話
「……先輩、お久しぶりです」
「……いらっしゃい、蛍」
約束通り蛍はお土産を持って家にやって来た。夏らしい淡い色のワンピース姿で可愛らしい。
「……先輩、ちゃんとご飯食べてました?」
蛍が本当に母親のように聞いてくるので俺は苦笑しながら
「……適当に何か食べてたよ」
そう答えたらジト目で「適当ですか……」と見透かしたように繰り返す。
「……先輩の健康の為にも毎日ご飯を作りにきますね?」
「いや、それはさすがに大変だろう!?」
「……家にいると宿題を怠けてしまうので先輩のお家でやるというのはどうでしょう?」
蛍はなんとかして俺の家にやって来る建前が欲しいようだ……
「……蛍、無理しなくていいからな。でも……一週間会えなかったのは寂しかったよ」
ほぼ毎日のように会っていた蛍とたった一週間だけでも顔を見なかったことがこんなに寂しいと感じるとは思っても見なかったことを素直に伝えると
「……先輩、私も先輩と会えなくて寂しかったです……」
蛍も同じ気持ちだったと俯いて答える。
俺は初めてのこの感情に戸惑いながら「いつでも来れるときに無理しないで遊びに来てくれ」と蛍に伝えた。
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