第41話
教室の大掃除が終わり、終業式の後、成績表が配られ……漸く夏休みがやって来る。
蛍は一週間ほど田舎に行くと言っていたのでしばらく会えない。良く考えたら学校でも会い、休日もほとんど俺の家に遊びに来ていたので一週間も顔を見ないなんて知り合ってから初めてだ。
携帯を見ると昨日の市井からの『夏休みは外国の親戚の所で過ごします』ってのが最後の受信メールだ。返信は『気をつけてな』ぐらいしか返してない、なんか気力が湧かないのだ。
ぼんやりと過ごしているとどうしても蛍はどうしてるかなと考えてしまう。
暇だからゲーム機のスイッチを入れても……やっぱり蛍と二人で遊んでいるときほど楽しくない……
ちょっと前は食事なんてなんでも良かったのに……今は蛍の手料理が無性に食べたい。
俺の中で蛍の存在がかなりの割合を占めるようになってしまったことにしばらく会えないことで漸く気づかされた。
……蛍にメールを送ってみようかな……何て書こう……
寝そべってどうしようかと考えていたら携帯がメールを受信する
『先輩、お元気ですか?水曜日の夜に帰りますので木曜日にお土産を持っていって良いですか?』
ガバッと起き上がり蛍からのメールを見直し、返信を打ち始める。
「『楽しみに待ってるよ』……送信っと」
先程までのやる気の無さが嘘のように消えて……部屋の掃除でもするかと立ち上がった。
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