第7話

 そのあとも俺はコイツに質問をしまくった。今までにわかったことを要約して皆様にお伝えしよう。

 まず、ヒーローは異世界からこの世界へ来る。あんな見た目だが、力や運はこの世界の人間より強いという。なんであんな恰好で鉄パイプなんか持っているのかというと、ヤツ曰く「初期装備が質素なのはお決まりでしょう」ということらしい(よくわからなかった)。

 ヒーローの目的は、ここ一帯を裏で支配している悪の組織『オシオ』をやっつけること。

 オシオは、カロリーの高い食べ物を流行らせたり窓を少し大きくしてカーテンの長さを微妙に足りなくしたりと、日々人々を悩ませているらしい。とんでもなく地味な悪だな、と思ったのは俺だけではないはずである。

 ヒーローは、入れ替わり立ち替わり何人も来ていて。同時期に複数人いることもあるらしい。皆、そのときのボスを倒すと満足してこの世界に来なくなるらしい。その度に、オシオは残っているメンバーから新しいボスを決め活動を再開するのだという。ヒーローちょろすぎる。根絶したのを確認してから去れよ。また、ヒーローは俺ら(サポートする人々)の存在を知らないらしい。


 話を聞けば聞くほど疑問が湧いてくる。

「なんかオシオ、ヒーローが倒す程でもない気がするんだが?」

 珍しくヤツが考えるそぶりを見せた。

「そうなんですよねぇ。でも、彼ら時空のひずみから勝手に来てしまうので」

 はあ、なるほど……?

「じゃあ、そもそも時空のひずみは何でできたんだよ?」

 それはですねぇ、そう言ってから少し間を空けてヤツは話出した。

「時空のひずみってのは割とよくできるのです。それを修復するのがボクの担当なんですけどね?すこーしだけ目を離した隙に、修復できないくらい大きくなってしまいまして」

 ああ、わかった。つまりコイツがサボったせいってことだ。お前のせいかよ、という気持ちを込めてコイツを見る。

「何ですか、その目は。いいですか?よく聞きなさい。賢いボクは、その時空のひずみから来た何故か自分のことをヒーローだと思って疑わない彼らを、悪の組織を倒すために使うことにしたのですよ」

 こいつ使うって言っちゃったよ。まあでも、悪の組織を倒そうだなんて、コイツにしてはいいことをするじゃないか。

「お前にも心があったんだな」

「ええ。まぁ、悪人の調整もボクの担当なんですけどね」

 前言撤回。コイツはただ楽してるだけだった。

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