いい人

勝利だギューちゃん

第1話

♪雨、雨、降れ降れ、もっと降れ~

私のいい人連れてこい~


という唄がある。


今、ラジオから流れている。

私の両親、いや祖父母か・・・


若いころに流行った唄だ。


でも、それは嘘だ。

いくら待っていても、雨はいい人を連れて来てくれない。


今日も土砂降りの大雨。

でも、いい人はこない。


私は、こんなに待っているのに・・・


なので、声を大にしていいたい。

「詐欺だ」と・・・


雨が実体化したら、詐欺罪で訴えてやる。


「僕に言われても・・・」


振り返ると、そこには見知らぬ男の子がいた。


「あなたは、誰?」

「僕は、雨の精霊。呼んだでしょ?」

「いや。呼んでないよ」

「でも、詐欺罪で訴えてやるって・・・」


本当に雨の精霊のようだ。

なら、望み通りに訴えてやろう・・・


信じてくれないけど・・・


「あのう、お姉さん?」

「何?雨の精霊くん」


雨の精霊が、しばらくして答えた。


「なら、お姉さんが誰かのいい人になれば、いいのでは?」

「それもそうね。ならそうする」

「じゃあ、僕が連れて行ってあげる」


私は、雨の精霊と一緒に、クラスの男の子の家に向かった。

私が、想いを寄せている男の子だ。


彼のいい人に私がなろう。


  同時刻


♪雨、雨、降れ降れ、もっと降れ~

私のいい人連れてこい~


という唄がある。


今、ラジオから流れている。

私の両親、いや祖父母か・・・


若いころに流行った唄だ。


でも、それは嘘だ。

いくら待っていても、雨はいい人を連れて来てくれない。


今日も、土砂降りの大雨だ。

でも、いい人は来ない。


僕は、こんなに待っているのに・・・


なので、声を大にしていいたい。

「詐欺だ」と・・・


その時、家の呼び鈴が鳴った。

家族は出かけている。


仕方なく、僕が出た。


玄関を開ける。


そこには、見知らぬ男の子がいた。


「えーと、どちらさまですか?」

「僕は、雨の精霊です。お望み通り、お連れしました」

「誰を?」

「あなた・・・お兄さんのいい人ですう」


そういうと、その雨の精霊の後から、クラスメイトの女子が、顔を出した。

雨の精霊がいう。


「このお姉さんが、お兄さんのいい人です」

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