エピソード2 児童刑務所 リーダー:メゾッド
「今日はあたしが、布団全部使いまーす」
メゾッドは他の3人に指示して、布団を敷かせる。
ミズノトが、布団を敷きながら、
「ねえ、メゾット」
「ド」
メゾッドが即座に訂正した。
「メゾッド、なんでリーダーなんてあるの?」
“リーダー”というのは、毎朝4人でじゃんけんをして決まる、その日限りの隊長のようなものだ。
その日1日、他の人は“リーダーの言うことは“絶対”守らなくてはならない。
「ミズノトはここに来たばっかだから知らねぇのか。
リーダーっていうのが決まったきっかけは、布団だ。」
メゾッドはミズノトがつかんでいた布団を指さす。
お前がくるだいぶ前は、この部屋で布団ってよべるのはぼろい毛布くらいしかなかった。
つーか、ふつう、1つの部屋に何人ガキがいても、マットが1枚か、毛布が1枚ぐらいしかねーんだよ。
だから、誰が布団使うかってケンカを毎晩すんだ。
フレアが泣くし、アーサーはしつこいしで、めんどくせえんだよ。
で、ジャンケンで使うやつ決めることにしたんだ。
ん、今布団がいっぱいある理由?
それは、ジャンケンしても結局全員納得しなくて。フレアは泣くし、あたしとアーサーはケンカするし。
だいぶうるさくて、うざかったんだろうな。
ショクインが怒鳴りながら部屋に来て。
あたしらもイラついてたから、ボコボコにしてさ。
で、そいつからカギ取って、ショクインの部屋に行って毛布とマットをとってきたっつーわけよ。
メゾッドは上機嫌に、そう締めくくった。
「そのおかげで、もうふはいっぱいあるし、マットも、よっつあるから、みんなでねれるね」
ミズノトが笑うと、メゾッドは呆れ顔になった。
「だから、今日はあたしが全部使うっつったろ。
布団ほしかったら、あたし以外からもらえ」
「ええっ!でも、メゾッドしかふとんもってないよ」
オロオロしだすと、メゾッドはそれを見て笑う。
「“リーダーの言うことは、絶対”なんだよ。」
冬じゃなくて良かった、と思うミズノトであった。
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