第6話
ジリジリと初夏の日差しが地面を焦がす。こんな日は日陰にいたって暑いのに、校舎裏に集められて雑草を抜くことを強要されるなんて、もうほとんど奴隷になった気分だ。ため息が全部「あちー」と音になって汗とともに地面へと落ちる。期末試験が終わってすぐに今月の草むしり日を設定する先生は、生徒が可愛くないのだろうか。解放感が一気に萎んでしまった。投げやりに草を引きながら、ぼんやりとした焦点の定まらない視界に飯田先輩の手があるのに気がつく。また自分は無意識に目で追っていたのか。
嫌になるなと思いつつ、ブチブチと音を立てて力任せに草を引っぱる。根っこの部分がほとんど地面に残ってしまい、全てが面倒臭くなる。もう見たいんだったら見たらいいさ。頭を横に傾げて、周囲にバレないよう配慮しながらも視界の真ん中に先輩の手を据える。こんな劣悪な状況下だというのに、先輩の手は以前と変わらず実にまめまめしく動いていた。嫌だ嫌だと口では言いつつも、いざとなると至極真面目で、なんだかそんな姿が微笑ましくておかしくて、口の端が勝手に引き上がりそうになるのを隠すために、汗を拭くふりをして肩口で口元を覆った。
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