2020 わかりたい私のための小説構成入門

 ストーリー構成を理解したい私のために作った4パート構成のストーリー構成講座です。

 シド・フィールドのストーリー構成をもとにしたおふたりの著作を参照しています。わからないことがあったらそちらをご覧ください。


■出典


ストラクチャーから書く小説再入門

K・M・ワイランド フィルムアート社 2014年


工学的ストーリー創作入門

ラリー・ブルックス フィルムアート社 2018年

■基本は三幕八場構成だけど


 基本は三幕八場構成ですが、こちらは四幕です。三幕だと序・破・急、四幕だと起・承・転・結ですが、人によってパートの分け方が違います。

 ラリー・ブルックスの『物語を書く人のための推敲入門』にいろいろな方のストーリー構成の表があるので、興味のある方は本を読んでください。


■パート1 設定 冒頭から25パーセントまで


パート1の使命は、「パート2~4のための設定」


主人公の紹介と舞台設定、バックストーリーを利用して人物の共感を促す

この先の危機への伏線を張る

プロットポイント1前の人物・状況説明をしておく

主人公にとって大切なもの、失うと困るものを読者に伝える

敵対者の紹介


パート1に置くもの

1.1 オープニング

1.2 フック

1.3 プロットポイント1(インサイティング・インシデント)


1.1 オープニング


オープニングで人物が登場する。主人公ならなおよい

対立・摩擦・ぶつかり合いを書く

動きのある描写ではじめる

舞台設定をすこし描いて、主人公の葛藤を描く

場面設定の映像イメージに読者を誘う

作品全体のトーンを伝える


1.2 フック(掴み)


最初の20ページまでに強烈な「掴み」を仕掛ける

登場人物に起きる出来事に読者が関心を持てるような理由を与える

舞台設定(時間と場所)、葛藤、テーマを打ち出す


1.3 プロットポイント1(インサイティング・インシデント/インサイティング・イベントでもOK)


最初から20~25パーセントのところに置く

状況を一変する出来事が起き、主人公の転機になる

流れを変えて人物の旅を決める瞬間である

物語が激変するため、人物を取り巻く環境(設定や脇役の顔ぶれ)も変わる

主人公は大きな影響を受け、強く反応する


□インサイティング・イベントとキー・イベント


・インサイティング・イベント

 物語を誘発する事件のこと。出発点。ここを起点に連鎖反応が起こる

・キー・イベント

 人物を事件に巻き込むイベント


プロットポイント1のいずれかの地点で入れること

インサイティング・イベントのあとでプロットがドミノ式に連鎖反応を起こして前進する

インサイティング・イベントのあとでキー・イベント

キー・イベントは主人公をプロットに巻き込む

過去に起きたインサイティング・イベントを受け、小説の一ページ目が始まる設定も可能。だが、キー・イベントは必ず作中で書き、主人公がプロットに巻き込まれる瞬間を読者に体験してもらう


□敵対者の紹介


パート1の最後で主要な敵対勢力の全貌を見せる

主人公がその存在を認識し、対面する

コンフリクトを起こす

ここで敵の要求を明らかにし、主人公の望みとどう矛盾するかを示す


■パート2 反応 25パーセントから50パーセントまで


パート2から主人公は新たなゴールに向かう


人物の暮らしや将来の生活がひっくり返る(大きく変わる)ため、人物はそれまでと違った方法で対応しなくてはならない。

深いレベルでさまざまなリアクションをさせよう。主人公は走り、隠れ、分析し、観察し、見直し、計画し、人材を探す

人物たちの連鎖反応でプロットを前進させる。シーンやサブプロット、テーマを絡め、深めるようなリアクションを描く

最終バトル(パート4)で必要な技術や品物を得る

必要なことは何でもするが、敵を打ちのめすには早い

主人公を活躍させない 試みるが失敗する程度におさめる


パート2に置くもの

2.1 ピンチポイント1

2.2 ミッドポイント


2.1 ピンチポイント1


全体のおよそ八分の三かパート2のど真ん中に入れる

敵対者が腕をふりかざし、強大な力を見せつけてくる

危機感を高め、クライマックスの伏線を張る


2.2 ミッドポイント


全体の半分の地点に入れる

新鮮でドラマティックな出来事を選ぶ。論理的な流れに沿いつつ、新たな展開を引き起こす

新しい認識から新たな決断・態度・行動が生まれる


前半50パーセントで人物像とジレンマ、内面の弱さを描き、後半50パーセントで決着する

前半と後半の転機がミッドポイント

目的は、人物が受け身で反応する部分と攻めの行動をする部分を均等にすること


■パート3 攻撃 50パーセントから75パーセントまで


パート3では主人公は態勢を立て直し、積極的になる


ミッドポイントを契機に流れが前進し、方向転換する

パート2では空回りしていた主人公が自分の弱さと向き合い、乗り越えようとする

主人公の「気づき」のとき。ミッドポイント後は敵のことも自分のことも、前よりはっきり見えてくる

パート3で主人公の問題の幾分かは解決されるが、不完全。内面の欠点や対外的な問題が解決するのはパート4になる


パート3に置くもの

3.1 ピンチポイント2

3.2 プロットポイント2


3.1 ピンチポイント2


全体の約八分の五か、パート3の真ん中に置く

敵対勢力の性質と力を示す描写を入れ、主人公を脅かす

最終決戦の前に、敵がいかに強いか見せて危機感を盛り上げる


3.2 プロットポイント2


全体の70~75パーセント地点に置く

ストーリーで最後に提示される新情報。以後、主人公のアクション以外に新しい状況説明はない

主人公に必要な情報はここですべて揃っていなければならない

主人公が戦士から英雄に変わる地点

パート3で人物が考えたことが激変したり、思わぬ事件が起きたり、自分で決断を下したり、敵と遭遇したりする


■パート4 解決 75パーセントから結末まで


パート4では主人公がいかにゴールを達成するかを書く


物語の「解決」部分。新しい情報は出さない

情報を出すならあらかじめ伏線を張るか、言及しておく


敵対勢力に勝つこと、富や名声を求めること、内面の悪魔を克服すること

ここで主人公は自力で戦い、ヒーローになる

人としてよい方向に変わる


パート4に置くもの

4.1 クライマックス

4.2 解決


4.1 クライマックス


全体の九十パーセントあたりに入れる

ラストシーンから、そのひとつ前のシーンに相当する

クライマックスは一連のシーンで構成され、決定的な「クライマックスの瞬間」に向かう

主な葛藤はクライマックスで決着がつく(主人公の勝ち負けに拘わらず)

人物はクライマックス付近で重要な「気づき」を体験し、変化を遂げる。主人公の「気づき」が葛藤にとどめをさすアクションにつながるとき、クライマックスはもっともパワフルになる

見せかけのクライマックスが真のクライマックスを呼ぶ二段構えも可能


4.2 解決


「解決」はクライマックス直後に来る、真のラストシーン

「解決」では主要な物事の結末を書き、読者の疑問の答える。情報を事務的に流すのは避ける

人物の未来を予感させるように描く。続編がなくても、未来の姿が想像できるようなシーンを出す

人物が変化したことを示す実例を「解決」で見せる。オープニングでわがままだった人物がどのように変化したか描く

作品全体のトーンに合った感情(面白い、ロマンティック、哀愁など)を表現し、読者の心を満たす



省略したシーンもありますので、詳細は本をご覧ください。

今回はここまでです。お付き合いありがとうございます。

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