第37話 橘るりりの独白

いつも下を向いていた。


見たくないものを見ずに済んだから。


いつからか人と一線を置くことが当たり前になっていた。


何か特別な理由があったわけではない。


これは生まれつき、と言うべきだろうか。


高校生になれば何か変われると思った。


いや、自分自身で変わろうとしたわけじゃない。


ただ勝手に、周りが変えてくれると思った。


それは自分自身に目を向けるより、変えてくれる人を探す方が簡単だと思ったのかもしれない。


だからこうして後悔に苛まれているのだろう。


あの時こうしていれば、なんで何度思ったかわからない。


けれどこの時、私はそんな生き方を死ぬほど恨んだ。


今までの後悔などちっぽけに見えてしまうほどに。


あぁどうか、彼を助けて。


やっぱり私は、誰かがこの現状を変えてくれるのを待つだけだった。

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