第44話 策略

「人柱・神滅結界。」


魔王バラモンズが魔力を乗せた言の葉を紡ぐ。

「なっ!」「えっ?」「そんなっ!」「なにっ?」


その瞬間、凍也の紫電は消え失せ、セシアの神気は霧散し、イリスの魔力はなりを潜めた。


「お主ら勇者、神々はほんっと脳筋だな?毎回毎回ワシらの策略に見事にはまりよる。」


魔王バラモンズは楽しそうにその美しい顔を歪める。


「この結界の中ではあらゆる強化術は使えん。ワシら以外はな。貴様らはもちろん、この城に入り込んでる外の勇者どももだ。」


バラモンズはゆっくりと王座からおりてくる。巨大な闇の闘気と魔力を纏って。


そこには一切の隙はない。


「くくっ。もちろん我等黒のエルフは強化魔法がつかえるがなっ!」


キンッ‼️


話をしている隙に飛びかかった凍也の聖剣がバラモンズの魔障壁に容易く弾かれる。


「ちっ!」


「おいおい‥‥話をしているときと、変身してるときは攻撃しちゃいけないってお父ちゃんから教えられとらんのかっ!」


カカッ‼️スガァァァァン‼️


「ぐぁっっ!」「ぐふっ!」「あぅっ!」「くぁっ!」


バラモンズの躰から闇のイカヅチが迸ると同時に凍也たち四人は壁まで吹き飛ばされる。


身体強化なしで弾き飛ばされ壁にめり込んでしまった四人は皆気をうしなってしまった。


「ちょっと!バラモンズ❗️もうちょっと手加減しなさいっ!殺すわよっ!」


穏業スキルで潜伏していたティアが姿を表してバラモンズをギロッと睨み付ける。


「なっ!ガラスティア様いらっしゃったんですかっ❗️」


先程までの尊大な態度から一転バラモンズは縮こまっていた。


なぜならバラモンズの力は元魔王ガラスティアの100分の1にも届かないからである。


「バラモンズ‼️人柱結界を今すぐ解除しろ!アイン様の大いなる作戦をじゃますんじゃないっ!」


ガラスティアが美しい女神の姿のまま、禍禍しい闇の波動を迸らせた。


最早女神なのか悪魔なのかよくわからないことになっている。


「ティア❗️おれに考えがあるから大丈夫だよ!ティアは入口のは入口前で準備おねがいしまーす!」


そんなガラスティアの迫力に全く怯まずアインはそそくさと入口に移動していた。


「え?は、はいっ❤️主しゃま❤️」


ガラスティアはすっと闇の波動を収め美しい笑顔で、いそいそと移動する。



「い、いやちょっとなんなのこれ‥‥‥」


バラモンズだけ、わけがわからずポカーンとたたずんでいた。



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