第25話 魔王ガラスティア

私は魔王ガラスティア。


いや、元魔王だ。


今は魔王ガーロウ様の雌豚だ。


私は元々この世界の魔族でない。以前住んでいた世界を食い潰したためこの世界に転移してきた。


この世界には家畜である人間の他に三体の強力な敵がいた。


邪竜アプカプリトス


巨食人鬼ガラナーガ


ノーライフキング


こいつらとの食料争奪戦だった。我々魔族は人間は喰わない。人間の魔力と労力を搾取する。


だがあいつらは人間をひたすら喰らう。


我々の家畜を喰らうなら我々の敵だ。


人間の国を占領しつつ奴らとも戦う。


よく戦う事になったのは邪竜アプカプリトスだ。


あいつらは折角占領した街をまるごと喰い尽す。


しかも我々の得意とする魔法が利きにくい。


天敵である。


だが私は魔王。


私が考案した人間の命を魔力に変換した魔力バリスタが戦線に投入されてからはやつらは我々の敵ではなくなった。


この魔力バリスタは邪竜アプカプリトスの魔力障壁や硬い鱗すら貫く。


邪竜との争いはとりあえず一段落したため、再び人間の国を占領し始めた。


その中のシリウス神聖王国。


ここを攻めた時に女神が表れた。


「魔王よ。私のこの世界を貴女の好きにはさせません!」


人間の聖女の体に女神が降臨したのだ。


私は女神ごときには怯まない。むしろ大歓迎だ。


私には「神殺し」「神食い」のスキルがある。


私は舌舐めずりをした。


今までさんざん神を喰っては世界を食い潰してきた。


今回も女神もバリバリ生きたまま喰ってやった。


私の力はもはや神の領域に達しており、尚且つ私には神に対する特効がある。


片手間で女神を蹂躙する。


ははっ!魂だけの降臨、憑依だから逃げられると思ったか。


私の神殺しのフィールドに入った瞬間最早魂ですら逃げる事は不可能。


理解不可なまま泣き叫ぶ女神を喰らうのは最高だ。


体は人間だから不味いがな。


だがこれでまた私は強くなる。


邪竜、巨人、ノーライフキング。


とりあえずあいつらを駆除してくれるわっ!


私は部下にあいつらの居場所を探らせていた。


その時である。


遥遠くに巨大な魔力を感じた。


女神を喰らった私の魔力すら足下に及ばないほどの強大な魔力。


すぐに調査させた。


すると巨大な穴が魔力の残滓とともに発見された。


戦慄した。


直ぐに魔力バリスタの増設、人間の生命を使う魔力障壁の開発にとりくんだ。


そんな最中にあの方は表れた。


私がシリウス王国の王都の王座で寛いでいると、王都に張り巡らしていた魔法障壁を紙を破くようにあっさり破り、やってきた。


「魔王だな?」


金色の獣人が私に話かけてくる。


なんという強大な魔力。なんと言う覇気、そしてなんという美しくしさ。


余りの桁違いの存在に私は膝をついた。心が、本能がそうさせた。


此の方に逆らってはいけないと。


「ちょっ、いきなり膝つかれたら殺せないじゃんっ!おまっ、お前魔王なんだろ?」


私の選択は間違っていなかったようだ。


「ありがとうございます。よろしければ私を貴方様の配下、いえ配下などおこがましい。奴隷にしていただけませぬか?」


私は主様の余りの強さに瞬時に惚れてしまっていた。許されるのならば、この方の子がほしい。


魔族は力がすべて。


私をここまで上回る存在に巡りあったのは初めてだ。


恐怖より、私の中の雌が疼いてしかたがなかった。


「ど、奴隷?お、おかしいだろ?」


「ここまで圧倒的に私を上回る存在の貴方様に身も心も捧げたいのです。」


今ハッキリと自覚した。私は自らの主を探し世界を渡り歩いていたのだと。


そして見つけた。


絶対に離さない。


私は着ている服を脱ぐ。


私は魔族特有の黒い肌だ。見た目には自信はあるが主様に気に入っていただけるだろうか?


「ちょっ、服脱がないでっ!」


「主様、私に主様の下僕の証を刻んでくださいませ‥‥」


私は自分に隸属の魔法をかけ主様におおいかぶさった。


「ちょっ、まっ、あぁぁぁぁ!。」



こうして私は主様の第一下僕となった。


産まれ出でて1万年位か?


私はやっと魂の安らぎの地を見つけた。


永遠について行きます、主様❤️

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