第21話 聖女 嶋 日向2

コンコン


ドアのノックする音が聞こえる。


私は高鳴る胸の鼓動を抑え、ドアの小窓から外を覗く。


アインさんだ。


また今日も来てくれた❤️


「合言葉はなぁ~んだっ?」


嬉しすぎて打ち合わせしていない合言葉をふってみる。


「福山凍也さまっ最高っ!!」


ホントかれは勇者オタクだ。ちょっと引いた。


「はい。どうぞ入って入って🎵」


こうして彼は約束通り毎晩訪ねてきてくれていた。


彼のお陰で今凍也がどうしているのか大体わかっていた。


凍也はサポートメンバーの冒険者に助けられ、最初こそ、ゴブリンを殺すのにも一苦労し、そのたびに殺すことによる罪悪感にさいなまれ嘔吐していたが、そのたびに冒険者に励ましなど、精神的にフォローしてもらい敵を倒す剣先には迷いがなくなってタガが外れたかのようにメキメキ力をつけていた。




「と言う感じで凍也様がオーガを一振りでぶった切ったんですよ~!」


アインさんが目をキラッキラッさせながら、立ち上がって身ぶり手振り交えながら話てくれる。


フフっ❤️かわいい❤️


「ですけど、問題はその夜でした。余りの凍也様の勇姿に女性達が興奮しちゃって‥‥‥」


なに!?


「日向様、落ち着いて聞いてくださいね?冒険者は命のやりとりをすると子孫を残そうという生存本能がしげきされる場合が‥‥」


私はついついアインさんの胸ぐらを掴んでしまった。


「し、しちゃったの?エッチしちゃったの?」


「ぐ、ぐるしぃ。た、たぶんしちゃったかとおもいますぅ。さすがにそれを覗くのは不味いからもしかしたら単なるマッサージかもしれませんが」


私は呆然となり、アインさんを掴んでいた手をはなした。


私と凍也は付き合ってはいないし、私が大好きなだけで、単なる小さいころからの幼馴染だ。


でも悲しい。


迎えにきてくれるって言ったのにっ!


私、凍也に役にたつため一生懸命頑張ってたのにっ!


私はアインさんの腕を掴んでベッドに引っ張って行くとアインをえぃ!と押し倒した。


「ちょっ、日向様?!」


アインさんがアワアワする。


かわいい❤️


「じゃあ私も我慢しないっ!アインさん、慰めてよねっ!勇者命令なんだからっ!」


こうして私はアインさんにいろいろ勇者命令をしてしまった!


思ったより痛くなかったとだけ言っておきます‼️


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