第20話 聖女 嶋 日向
私は今は教会の大神殿の中にある、自分に充てられた一室にいる。
私は夜の開かれた窓から二つの月夜をぼんやりと眺めながらタメ息をついた。
一緒に異世界に召還された幼馴染と分かれて教会にいる今の現状についてだ。
凍也が自分を鍛えるためには冒険者になると言うことはわかる。
日向は直ぐに一緒に行くと凍也にすがりついた。
だが、凍也は日向を絶対危険な目には会わせたくない、日向を守るためには自分には力がたりない。だから待っていて欲しい。必ず迎えにくるから。
そう言われたら首肯くしかなかった。
むしろ、胸がきゅん❤️となってなんもいえねぇかった。
神殿の神官たちや、司祭さまたちは皆やさしい。でもいざ凍也と離ればなれなると非常に心細くて寂しかった。
やっぱり無理矢理ついて行くべきだった。
トントン。
その時扉が軽くノックされた。
こんな時間にだれだろ?
私はドアの覗き窓から覗きみた。
あっアインさんだ!
その顔は見間違いのないほどのイケメン、かつ勇者大好きの荷物もち、アインさんである。
私は驚きつつもドアを開けた。夜遅くに無用心だが、勇者オタクの彼は信頼できるし、同じように召還されたため、仲間意識があったので信頼していた。
「内緒で来ているので中に入れていただいてもよろしいですか?」
アインさんが申し訳無さそうに言った。
「うん、いいよ、入って入って。」
私は直ぐにアインさんを中に入れてすぐにカギを締める。けっしてビッチではない。
「ありがとうございます!とりあえずこれ、おみあげです!タグアという果実です!甘くておいしいですよ?」
アインは持ってきた果実を一つ丸かじりしてニッと笑う。
ヤバイ。かっこいいけどかわいい‥‥。
私には凍也という昔から大好きな人がいるのにっっ!
「あっ!日向様が凍也様のこと心配しているかなっと思って凍也様の現状を報告に来ました!」
アインさんが、眼をキラッキラッさせながら話だした。
ホンットかれは勇者オタクだ。
凍也が冒険者になったこと。
凍也の護衛のロイヤルガードが美人だったこと。
凍也の実戦のサポートするパーティーが女性のみで皆凍也に好意をいだいてること。
凍也が美人でスタイルのいい女性達にデレデレだったこと。
ナニソレーッッッッ!!
聞いてないよーッッッッ‼️
やっぱり今からでも行く!
私がつい立ち上がると慌ててアインさんも立ち上がった。
「大丈夫ですって!凍也様の正妻は日向様に間違いないですって!今はまだ凍也様は気づいておられませんが。」
「あの者達には凍也様の隣に並ぶための力はございません!凍也様をわかってあげられるのは日向様だけです!」
アインさんがアワアワしながら応えた。
えっ?ちょっとアワアワしてるアインさんかわいいな‥‥
「でもちょっと会いに来てくれてもいいよね?」
「わかります。しかし凍也様も今が大事な時。日向様も凍也様の隣に居続けるため今は魔法や、神聖魔法の更なる高みとこの世界の知識を学ぶべきかと。」
あまりに正論に私はブゥ垂れる。
「ブゥブゥ!わかってるけど寂しいんだもん!」
「代わりには慣れませんがおれが、日向さまに毎日会いに来ます!」
アインさんがキラッとイケメンスマイルでさらっとドキッとさせてくる。
「もう!でもありがと。実はちょっとさびしかったんだぁ‥‥」
「これからは大丈夫ですよ?おれが毎日会いに来ますから。」
ちょっとぉ、きゅん❤️としちゃうでしょっ!
「ハイハイ、ナンパ禁止ッ‼️」
「ナンパじゃないですよっ!でも今日は(凍也様のこと)お話しできてとても楽しかったてます。それではそろそろ夜もおそいので帰ります。」
「う、うん。ありがと。私も楽しかった。また来てね?」
「はい。ではおやすみなさい!」
アインさんは戸をそっと開けて帰っていった。
ホントに明日も来てくれるかな?
アインさんの帰ったあと
私はアインさんのことばかり考えている自分にこの時、気づいてなかった。
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