第15話 居残り勇者

一緒に召還された、アイン、イリス、セシアが大勢の国軍を引き連れて旅立った。


俺達もあそこまでいかなくても早く強くならなければならない、せめていつもそばにいてくれた幼馴染を守れるくらいには。


大勢の市民に見送られながら出立する国軍をぼんやり城の窓から眺めながらそう思った。


とりあえずは魔法だ。俺の雷魔法は使える魔法使いが他にいないらしく、宮廷魔術師に魔法の基本的な扱い方から教えて貰う。


日向は神聖魔法に適性があるらしく神殿に学びに行っていた。


二人とも午前中に魔法の勉強、午後に剣術をみっちりと指導してもらっていた。


始めの自分の魔力を感じる、操るをマスターはするのには一週間ぐらいかかったが、これをマスターしてからは自分でも信じられない位簡単に魔法を操れるようになっていた。


剣術も最初は木刀にびびってしまい目を瞑ったりしてしまいボッコボコにされていたが、今ではすんなり剣筋が見えるようになり、相手の全体的な動きすら見えるようになっていた。


これがスキルの力ってことなんだろうか?


だが《かわす》《いなす》ことは上達しても《相手を傷つけること》これにまだ抵抗があり、

一ヶ月すぎる辺にはもう騎士団長の剣も当たらない位成長していたが、攻撃は相変わらず騎士団長に一撃たりとも当てることはできなかった。




「勇者様、訓練のほうはいかがですか?」


フレデリカ第一皇女が訓練施設で剣術の訓練を休憩していた凍也にタオルを手渡しながらたずねた。


「あっ、陛下!陛下自ら申し訳ありません!」


あわてて立ち上りタオルを受けとる。


「とんでもございません!勇者様は私たちこの世界のために、命懸けで訓練してくださっているのですからせめて此のくらいはさせて下さい」


フレデリカ姫がふんわり微笑む。


可愛いすぎるだろ!


でも


両親と兄を召喚で失ったのにもかかわらず、その笑顔の下にどれだけの悲しみと重圧を抱えているのだろう。


俺と同じ位の歳なのになんて強いんだろ?


せめてその1つの不安を取り除いてあげたい。


そう


思った。



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