吸血鬼ドラキュラの城 ブラン城

 ブラン城はルーマニアで最も有名な城だ。トランシルヴァニア地方ブラショフに位置する。

 ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』のドラキュラ伯爵の城のモデルとされており、多くの観光客が集まる。

 この城は13世紀にドイツ騎士団によって建てられた山城で、その後トランシルヴァニアの公の管理下に置かれる。


 史実のドラキュラ、ヴラド・ツェペシュとの関わりは薄い。彼の祖父ミルチャ老公が一時滞在していたとされるが、彼自身がここを居城をしたことはない。しかし、丘の上に断崖を利用して建てられた要塞ブラン城の厳めしい姿は吸血鬼ドラキュラの住まう城のイメージにぴったりではないか。


 ブラン城の周辺はのどかな田園地帯が広がる。城はルーマニアの一大観光地なのでホテルやレストランも多い。城のふもとにはスーベニアショップや露店がたくさん並び、ドラキュラグッズや民芸品を販売している。

 コッポラの映画「ドラキュラ」のロゴを勝手に拝借した城の写真のマグカップやTシャツ、ヴラド公のグラスや木彫り製品などまさにドラキュラ一色だ。

 ルーマニア各地でドラキュラに関するお土産は販売されているが、ブラン城が一番品数豊富だった。


 城は入城観光ができる。

 急な階段を上り、大きな木製の扉を通り抜けて城内へ。狭い部屋が連なる住居スペースにはベッドやタンス、テーブルなどの調度品や甲冑などが設置してある。ドラキュラ関連の史実やフィクションに関するパネル展示の部屋もあった。

 いずれも白い漆喰と黒い木を組み合わせたいかにもヨーロッパの田舎なテイストがかわいらしい部屋だ。


 狭い隠し階段を上ると、城の内側に沿ったベランダに出る。ベランダからは狭い中庭を見下ろすことができる。中庭には井戸があり、読んだ本では城下町への抜け道になっていたということだ。今は井戸にはアクリル板が設置してあり、覗き込むことしかできない。


 ブラン城は白い壁とオレンジ屋根が印象的なこじんまりした城だ。ドラキュラ城だと言われなければかわいいお城、という感想を持つだろう。


 当初、日本からの団体ツアーで訪問し、それから二回の合計三度訪問した。三度目は観光客が多くて驚いた。ヨーロッパ中からのルーマニアへの観光が人気で、年々観光客は増えているという話だった。

 10月にはハロウィンパーティが開催されるそうで、その時期にも訪問してみたいものだ。







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