第2話 南の海

マーシャル諸島共和国などというのどかに違いない国に、忍術や妖術を使って行っては、地元の人々を驚かせるに違いない。

慎之介は、そのことを気にしている。

ましてや、慎之介の空中浮遊術は、演出が派手。

ほとんど魔法である。

『いきなり、海に降りるか。』

3人なら不可能ではない。

しかも、飛ぶ高さは、1万メートル以上の高さを飛んで、

『なるほど、それなら現地人には、見つからないな。』

慎之介、真面目に考え出している。

『アホ。

 グアムの米軍基地のレーダー

 に、はっきりくっきりやな

 いか。』

慎之介、横にいたガマ介に話しかけた。

『なぁ、ガマ介・・・

 話し聞いてたが。

 なんとかなんねぇかな。』

『レーダーを掻い潜るのは。

 高くてもダメさ。

 とことん低く飛ぶ。

 海面から10メートル以下

 を飛んで行く。』

3人は、その難しさを知っている。

ましてや、米軍は、場所によっては5メートル程度の低くさまでカバーしている。

海面ギリギリで、下手をすると涙の高さである。

『雑作もないよ。

 ただし、乗り心地は無いと

 思え。

 俺も元々の姿にならないと

 無理だ。

 それと、先に挨拶しておく

 べき奴がいる。』

そこまで言うと、ガマ介は消えた。

ガマ介は元々青龍である。

水を司る神獣である。

海面スレスレに飛ぶだけなら、簡単な技に違いない。

その頃、ガマ介は南太平洋の海上で、旧知の仲間に会おうとしていた。

『よぉ、青龍・・・

 なんだ、そのガマの姿。』

海の神、ポセイドンである。

『今、着いてる大将がさ。

 龍神池に沈められてだとこ

 ろを助けてくれてな。

 大変な原石なんだわ、この

 人が。

 なんとか、手助けがしたく

 ってよ。

 そばにいるのに、この姿が

 一番便利だったんだ。』

ポセイドンは感心していた。

『暴れ者の青龍どんに、そこ

 まで言わせるとは、相当な

 人物だべ。

 よっしゃ、この海で潜るこ

 とは、何も言わねぇ。

 そいつの姿、俺にも見せて

 けろ。』

水を司る神獣と海の神の会話にしては、変な方言だらけだが、この際、気になさらないようにお願いいたします。

『それと、青龍どんの探して

 いる小柄って、この小刀

 だべ。』

驚いたことに、ポセイドンはもう発見してしまっていた。

『この小刀の輝きは、オリハ

 ルコンだべ。

 人間に扱える代物じゃねぇ

 ぞなもし。』

『そりゃ、本当に生身の人間

 には無理ぞなもし。

 けど、うちの大将は斉天大

 聖だべさ。

 だから、本物の斉天大聖に

 なってもらうためには、オ

 リハルコンの輝きが必要だ

 べさ。』

『なんと・・・

 青龍どんの、今の大将っての

 は、霧隠慎之介どんか。

 なら、小柄持って帰れな

 もし。』

『ありがたく頂戴するぞな

 もし。

 じゃが、大将の修行じゃに

 この海には潜らせるぞな

 もし。』

『おぅ・・・

 それこそ望むところだ。

 その時、儂も会いたいが。』

『おぅ・・・

 姿見せて、やってくれ。』

翌朝、龍門館の龍神池が騒然となっていた。

当たり前である。

龍神池を埋め尽くすほどの巨大な青龍が浮かんでいるのだから。

白雲斎と月山宗幸と風磨小太郎が、並んで驚いている。

他の生徒は、恐る恐る見学していた。

『おはようガマ介・・・

 準備は良いのかい。』

慎之介が、平然とガマ介を呼んだものだから、余計に騒ぎが大きくなってしまった。

『おい、慎之介・・・

 昨日、ガマ介が、本当の姿

 と言っていたのは。』

宗幸と小太郎は、苦笑いしかできない。

『だって、この姿じゃ俺の側にいられねぇべさ。』

慎之介。あくまでも平然としている。

吉祥天女姿の雅も揃って、慎之介と雅がガマ介の上に乗った。

『ビキニ環礁まで低空飛行して

 一気に深海まで潜る。

 2人共大丈夫だな。』

ガマ介の質問に、慎之介と雅はニッコリして。

『んじゃ、行くべ。』

慎之介の合図で、ガマ介は、猛スピードで飛び出した。

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