III

パパは日本人だけど、ママは中国人だ。

その両親の間に生まれた僕は、パパの戸籍に入り日本国籍を得たけど、生まれてからしばらくしてママの中国の実家でママの両親、つまり僕の祖父母の下で育てられるようになった。母方のお祖父ちゃんラオイェお祖母ちゃんラオラオの下から学校に上がることになった。

だから、幼稚園から小学校、中学校・・・と中国の現地の学校に通った。日本にもよく帰ってきたし、パパもママの実家に長期休暇の時にはできるだけ来てくれたから、パパと話すのは日本語、パパの実家にも時々は連れて行ってもらった時に父方の親戚と会話するのも不自由はなかった。日常生活を送る中国でも、ONE PEACEやクレヨンしんちゃんなどの日本のアニメは日本語のまま放送されていたし、World War IIの時の日本軍が悪者のドラマでも日本語には耳慣れていたから、日本語でのコミュニケーションはある程度できたと思う。パパには、ちょっと変な日本語の使い方を指摘されたりはしたけど。

でも、僕が中国現地の学校で「国語」として受けた教科は中国語だ。だから、中国語の方が、読み書き、文法、ともに正式に習った言語だ。ひらがなカタカナもパパにちゃんと教わった記憶もないけど、漢字にそれらが混じった短い文章は何とか読めるくらい。でも、かな漢字混じりの文章を書くのはちょっと無理だった。僕は日本のバスケットや野球、そしてJリーグが好きだったから、日本のスポーツ・ニュースをネットで読んで何となくわかる。僕の日本語はそんなものだ。

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