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「第四局」。始まる。
「……」
の、その前から、何となくの「いやな予感」が、あからさまにしなだれかかるでもなく、かと言って完全に離れるわけでも無く、あくまでイメージなのだが、黒い影の様相であるところの「いやな予感氏」が、僕のシャツの右二の腕辺りを後ろから、僕が少し首を回してもはっきりとは視界に入らないような、そんな位置で気配は消しつつも、引っ張られるという触覚一点のみでその存在をうっすらと主張してくるかのような、そんな意味不明の感覚に包まれていた。
互いの「対局ボウル」に向かう別れ際、アオナギからは「骨は拾ってやんぜー」との有難い御言葉をいただきつつも、キシキシ音を立てるかのような自分の脳内は鎮まりそうにはない。
大丈夫大丈夫だと、自分に先ほどより言い聞かせてはいるものの、それは何と言うか、自らの内でごんごん強まってきている不安の裏返しに他ならないわけで、すなわち、
これまでとは、はっきり違う。
大袈裟かも知れないが、全てが終わってしまうかのような、「意識」とやらがぶち断たれてしまうかのような、そしてそれほど
なんだろう。本当に、この感覚は何なんだろう……意識していないとどんどん浅くなってしまう呼吸を無理やりにゆったりとしたリズムで刻むようにして、「対局者」が最早「22名」までに絞られたゆえにホール内にまばらに設置されるようになった「ボウル」のひとつに向けて、僕はゆっくりと歩みを進める。
「……オ手柔ラカニ、オ願イシマスノコトネー」
そんな内面ガチガチな僕に真っ向からそんな気の抜けたイントネーションの声を掛けて来たのは、他ならぬ次の対戦相手であったわけで。
「……」
「レノマン」氏……イタリアとか、スペインとか、ラテン系の血を思わせる雰囲気と外見。年齢は30代くらい……だろうか。自然に無駄のない感じに筋肉が覆ったがっちりとした体躯は上背が相当あって、対峙しているだけで結構な威圧感だ。日に焼けた小麦色の肌と、それより少し明るいぼさぼさの中途半端な長さの髪。傲岸そうな作りの顔はしかし、少し人を食ったような笑みを浮かべると、途端に何とも言えない愛嬌を醸し出してもくるようで。
あまり悪い人では無さそうだな……でもこうして向き合うと尚更自分の中で咀嚼不可な「いやな予感」が渦巻いてくるな……とか、そんなままならない思考を持て余すばかりなのであって。
いやいかん、集中しろ。集中してどうとなるかは分からないが、とにかく気を張らないと……
……例の「昏倒」も呼び込めない気がして。
でも本当に何だ? 精神……思考の「芯」的なものにまとわりつくかのようなこの不穏さ、不快感は……?
<では、お好きなタイミングで、お始めくださいましねぇー、『第四局』、一斉開始ッ!!>
実況主催者の間の抜けた声の中、僕は何とか右脚をカーペットに軽く叩きつけて自分の立ち位置みたいなものを再確認した後で。
「……」
供されていた、卓上の青い「賽」を摘まみ上げる。ここまで来たら、もう後は振るしかない。
レノマン【042:933321】
ザイツ 【068:855300】
相手の【9】さえ出なければ、こちらに分のある布陣。そう思うことにする。そう思うことしかもう出来ない。
第一投。相手【3】に対し、僕は【5】。上々のすべり出し。だが、
第二投は【3】対【0】。第三投は【1】対【0】。これで残りライフは「8対6」と僕が押され気味だ。
そろそろか? そろそろ「昏倒」来るか? と、もう待ち望むほどになっていた例の不可思議な現象。今までもその「来る」気配のようなものはあまり無かったと記憶しているが、何と言うか今は。
「……」
「無音」というか何と言うか。本当に……何だ、この「気配」はッ!?
渦巻く内面の全部を全部押し留め、僕は再度、賽を投げ入れる。しかし、
しかし、だった……
「!!」
一瞬早く、静止した相手の赤い賽の目は【9】。最強の【9】。対して僕の目は……?
スローモーションのような瞬間が引き延ばすかのように訪れていた。「ボウル」の端辺りをコロコロと力無く転がり続けていた青の賽。その目は、
【3】。
9-3=6。
ということは、僕のライフはちょうど「0」となって……
負け?
え?
ええ?
ぐらりと、僕の視界全体が大きく右に傾いたように感じた。
―ひーらがな。
え?
―カータカナ。
ええ?
頭の中に、幼い子供が歌っているような声が響いてきている。どこから? どこからこの歌声は?
―ぜんぶ、ぜぇんぶ、シラバリィ。
なにが……なにが……? 顎が上向いていくのだけを知覚している。でもいま自分がどういう格好でいるのかが分からない。視覚も、聴覚も、触覚でさえも意識を向けても何も手ごたえを感じず、ただただ、流れだしていくかのようで。
自分の奥の底の底。そこから黒い玉状のものが、すり抜け天にのぼっていくような、
そんなふあんていな、かんかくだけをのこして、
ボクノ、ボクノイシキハ、
死
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