Dado-26:継承は/選別的に
何だ? 今の感覚?
「……!!」
辺りに響くのは、男女問わずの控えめがちなどよめき。なかなかに豪奢なホテルらしき建物の一室……百人は入れるだろうホールにいきなり連れ込まれてからは……そう、俺は
いかん、また意識が混濁し始めようとしている。現状の把握に努めよう。
目の前には、これ以上は見た事もないほどの、仰向けに大の字で引っくり返った若者……この国の青年……「青年」とは俺の見立てに過ぎないが、「少年」というほどでは無いというくらいの推察だ。日本人の歳は男女共に俺には分からない。
今の今までも「サイコロを延々と振らされる」それにより「得体の知れないカネを掴まされる」というような、かなりの
それがここに来ての、のっぴきならない空気。赤いカーペットに仰臥したままの「青年」は完全に自発的な動きをしていないように……5フィートほども離れてはいないこの俺から見ても、そう感じる。ひと目、尋常ではない気配……職業柄、人の生き死にには数多く接して慣れているつもりだが、それでもこんな状況下では、そして原因が掴めていないだけに一瞬躊躇してしまう。
他ならぬ、俺の今の「対戦者」であることもあるが。と、
オイアイボウッ、のような声が傍らからかかり、真っ黒な長髪の、やけに顎の長い細く猫背の男が、その「青年」の側に座り込むと、その動きを見せていない首筋に、慌ただしく自分の骨ばった指先を沿わせて脈を測ったり、オウキュウキュウシャヨンデクレェッ、と辺りにそんなしゃがれた怒鳴り声を張り上げたりしているが。
何と言うか、係員らしき(というのもアレだが)黒服の男たちの動きは緩慢で、あまり非常事態に接しているという感じはしない。きわめて「通常事」のような雰囲気でことに当たっているように見える。異質……のっけからの「異質感」がありきで改めてそう考えるのもどうかだが、そう感じた。
それと。
自身に感じている、この、何と表現したらよいか分からない、「ピントが合った感」は一体なんだ? 「青年氏」が眼前でぶっ倒れてから、急激に周囲が「見え」てきた。鮮明に。この感覚は一体……?
いやそんな詮無きことを考えていても始まらないだろう。俺はその青年氏を担ぎ出すために持ち込まれた担架にその身体を乗せ上げるという作業に手を貸すが。
触ってみてのそのぐにゃりとした物体感のような感触に一瞬慄いてしまう。「最悪」が……この青年の身に起こっていないことを祈るばかりだ。
それにしても屈みこんだ俺に向けて、スマネエナ、との声を発したこの痩身の男は、この青年の知り合いなのだろうか? この意味不明なる集い? の主催者なる男の言動からは、ここに集められたのは無作為の者たち、といった印象ではあったが。
とにもかくにも、またしても勝ちを拾った体ではあったが、不穏さは自らの中でどんどん膨れ上がるようで何とも落ち着かない。しかして、この行く末を見極めたいと思う自分も確かに奥底にいる。
どうなるかは、
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