D@壽-2λ:はgA/§¶
果たして。当の対局相手はトイレにでも出ていたのだろうか、見つからず。
「……」
何となくの戦う前からの不完全燃焼感に、いかんこれも「流れ」とやらを失っているゆえの事なのでは……と勝手に追い込まれつつ、対局開始時間5分前に、提示された「ボウル」前へと何とも言い難いテンションで向かうものの。
「……!!」
さらにちょっと揺さぶられる事象が。「ボウル」を挟んだ向こうで所在なさげに立っていたのは、何と
しかも清楚然としつつも、うつむき心なしかはにかんだような表情でこちらを上目遣いにしてくる最早手管と言ってもいいかのような所作に、勝手にどぎまぎしてしまう僕がいる。いや明らかに歳の離れた少女とも言っていいコにうっかり引き込まれてどうする。
いや「明らかに歳の離れた」? そう言えば自分の年齢ってどんだけのもんだったっけ……十代二十代では無いよな……いや「そうではないだろう」という意識だけで、正確な年齢だとか生年月日なんかはぱっと思い浮かんでこないぞ……おいおいどうした? ここに来て昏睡覚醒当初の不確かな感覚が甦ってきてしまうが。
落ち着け。もうそこはいい。一時的な記憶の混濁と、そう考えておこう。いまこの場で諸々詮無いことの考えを突き詰めていったとして、「完全正解」に至れるわけでも無し、判断のしようも無し。であれば「場」に乗っかる。それしか無い。
しかして、この眼前の少女の、こちらを引き倒してこんばかりの抗い不能的な醸される魅力は一体なんだ。肩までの焦げ茶の、空気を含んでふんわりしていそうな髪、決して派手なつくりでは無いが均整とれてまとまった、黒目がちな瞳と小作りな鼻、そして淡い色彩だが艶めく唇……いや駄目だ。注視している場合ではない。しかし、
その刹那だった。
「……木星の位置に、気を付けてくださいね」
!! ……またも、か。またもかよ。何なんだ「木星」。そしてそれを何故僕に告げてくる? 一気にまた揺さぶられる感覚。少女の声は、なんだか頭蓋に反響するかのように響いてきたわけだが。
もういい。もう考えるな。願わくば、全てが終わった後に、全てが明かされることを望んで。
<はいはいそれでは、『第三局』、皆々様のペースでよろしいので、始めてくださいねっ!!>
運営主催者のもはや軽薄な、そのような声が響き渡る中、僕は意を決し、というほどの覚悟は無かったものの、この訳の分からなさに若干の苛立ちを含ませながら、自分の
【068:855300】(4)
【154:644322】(20)
第一投、僕の目は【3】、相手は【4】。穏やかな滑り出しと、言えなくもない。そして僕は待っている。何を? 先の二回の対局で起こったあの「昏倒」を。
今回もあるんだろう? そんな確信じみた思考が、逆に拭おうとしても拭えないのだが。
二投目、痛恨の【0】、そして相手も最弱の目、だが【2】。明らかに流れの無い展開だが。
「……!!」
来た。視界が横から狭まるように迫る感覚。もうこの現象が何なのかは理解は出来ないが。これを、このいみふめいのじしょうをさかてにとって、
つ
き
す
す
む
ま
で
。
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