番外編いろいろ

第18話 彼らの日常

 みなさんおはようございます。雪流です。今日は、僕たちの一日を紹介したいと思います



 僕たちの一日は、外から聞こえる激しい音から始まります。ちょっとそこの窓から覗いてみましょうか


「うるぁ! 逃げんな頭夜!! 特訓になんないだろ!」

「お前の一撃受け止めたら、骨折どころじゃ済まないんだよ! おわああ!」


 今日も金魚さんと頭夜さんは、朝の手合わせをしているようです。ふふ、本当にあの2人は良いコンビですよね


「ちょっと雪流。アンタ誰に向かって話しかけてんのよ、ヒマならこの玉子割っておいてちょうだい」

「あ、はぁい」


 朝ごはんは灰音さんが作ってくれるんです。お料理上手で本当に美味しいんですよ。褒めると怒るんですけどね


「あんたら、適度なところで切り上げて家に入ってきなさいよ!この前みたいに家こわしたら承知しないんだからっ」

「あっ、あれは頭夜が私の渾身の一撃をよけるから――」

「お前、いつか俺を殺す気だろう!」

「ケンカ両成敗!」


 パァン!


 こんな風にして、朝の訓練は灰音さんの介入で終わります。

 朝ごはんを食べた後は、街で受けた依頼をこなしにそれぞれが出かけます


「えっと、今日の依頼は確か『薪割り』と『室内清掃』と『子守り』だったか?」

「ぜんぶ同じ街での仕事だな。めずらしい」

「……」


 あ、灰音さんがちょっと嬉しそう。頭夜さんと同じ仕事ができるかも知れないからでしょう

 こうして僕たちは夕方いっぱいまで、お仕事をします。たまに見回りとかの夜のお仕事もあるんですけどね


「なぁ、たまには私も子守りの仕事やらせてくれよ、泣く子もだまる子守りテクを披露してやっから」

「ダ・メ・よ。アンタそう言ってこの前、子供達を連れて大冒険の旅に出かけたじゃない。危うく誘拐事件になりかけたんだからね」

「子供は外で遊ぶべきだろ! まったく最近のおこさまは軟弱でいけねーや、クマの一頭くらい仕留めて、初めて一人前と呼べるだろうに」

「お前の心構えは子供に悪影響だ」


 結局、いつものように力仕事は金魚さんと頭夜さん、繊細な仕事は僕と灰音さんが担当することに決まりました。今日は泣かないように気をつけなくちゃ


 ・

 ・

 ・


 ううう、まさか最近の子供があんなに凶暴だとは思いませんでした……ぐすん


「おつかれさま。あっちもそろそろ終わった頃かしら?」

「あ、灰音さん。おつかれさまですー。どうでしょう、向かってみます?」


 それにしても、今回の仕事、なんでメイド服なんて用意されてたんでしょう?

 ……似合ってます? ふふ


「だから誰と話をしてるのよ。もしかして疲れてる?」

「あっ、いいえ。灰音さんよく似合ってますよ、その服」

「うっ、嬉しくなんかないんだから!」


 そんな雑談をしながら僕たちはお屋敷の裏手に回りました。あれ? 何か聞こえますね


「あっ、ちょっ、そこはダメだって頭夜!」

「うるさい、こんな時ぐらい俺の言うことを大人しく聞け」


 こっ、これは……!?


「ななな、何やってんのよあいつらは! 仕事サボって何をしてんのよ……!」

「はっ、灰音さん銃をしまってください!なんか震えてますし危ないですってば!」


 え? え? まさかあのお二人が?


「その不思議生物、そんな高いところに置くなってばー! 食わせろよ! 味見させてくれよ!」

「ドブネズミを喰うつもりか! その悪食をいい加減どうにかしろ!!」


 ……。

 なんとなくオチは読めてましたけれどね


「まぎらわしいのよアンタたちー!!」


 お仕事を終えると、僕らの家に帰ります。まだ住み始めて半月ですけれど、なんだか帰ってくるとホッとするんですよねぇ、あなたにもそんな場所、ありますか?


「腹へった……」

「まったくしょうがないわね、金魚、手伝って」

「おう!」


 金魚さんが料理をすると、見た目は壊滅的ですけれどなぜかビックリするほど美味しい料理ができるんですよね……今日は灰音さんがついてるから大丈夫だとは思いますけど


 お夕飯を食べた後は、それぞれ自由な時間を過ごします。今日は僕はガーデニング、灰音さんは刺繍を、頭夜さんは本を読んでいるみたいですね。金魚さんはいつも通りに武器の手入れをしています


「悪い雪、ちょっとこれ持っててくれないか。研磨剤とってくる」

「あ、はい。 いいいいっ!? 重い! 金魚さんこの刀ものすごく重いです!」

「そうか? 60kgしかないぞ」


 ううう、僕もちょっとは鍛えるべきなんでしょうか……


 そして日付が変わると消灯時間です。僕たちの寝室は、大きな部屋に4つのベッドがあるんです。一応真ん中で布を張って、男女のしきりはあるんですけどね


「そいじゃ、おやすみー」

「歯ぁみがいたか?」

「失礼ねっ。ちゃんとしたわよ」

「ふああ……」


 そしてゆっくりと会話が途切れていって、いつの間にかみんな眠りにつきます

 どうでしたか? 僕たちの一日。今度ぜひ遊びに来てくださいね、森の中の一軒家でお待ちしています


 おわり。

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