(三)‐2
「ねえ、一つ聞いていい?」
「何?」
「あのとき、私に告白してくれたよね」
「ああ、卒業式の日……」
「うれしかった。引っ越しするんじゃなければ、私、お付き合いしていたかもしれないわ」
「そうだったの?!」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「そうよ。あのクラスには鷹野君と仲のいい女子だっていたじゃない。萩山さんだっけ? ソフト部の」
「それは新津亜紀だな。ガサツなヤツ。萩山はバレー部の背の高いヤツだよ」
「あー、そういえば、そうそう思い出した。そうね、そうだったわね。懐かしいなあ……。それにしても、なんで私だったの?」
「そりゃあ、好きだったからに決まってるじゃないか」
「それはわかるわよ。好きじゃない人に告白なんてしないわ。でもどうして? 他の人じゃなくて私だったの? やっぱり容姿?」
俺はコップに三分の二ほど入っていた焼酎を全部飲んだ。
「……大会の前の日に『頑張って』って言ってくれたじゃん。それが嬉しくって」
「そんなこと言ったっけ? 多分私、いろんな人に同じこと言ってたはずだから……」
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます