第3話 村長の元へ

夏菜子と沙織はぐっすりと眠れたのかスッキリとした顔で、食堂に来ました。凛は一度起きてからしばらく眠ることができなかったために、すごく眠そうでした。

夏菜子と沙織は凛の心配をしつつ、朝食を食べて元気つけて帰ろうねと明るく言いました。凛もそうだねと笑って答えました。


朝食を食べ終えた頃、3人の元へ、昨夜の女の子がやってきました。昨日はよく見えなかったが、女の子は綺麗な褐色の肌をもち、綺麗な黒い髪が肩で切りそろえられ、白いワンピースの裾に模様が入ったどこかの民族衣装を着ていました。3人とも綺麗な子だと思いました。


女の子はスカートをつまみ、裾を広げて挨拶しました。

「おはようございます。よくお眠りになられましたか?私はラディアと申します。村長様からお客様をお迎えする様に申し使いましたので、昨夜貴方達をお迎えに参りました。この街にいる間は、私めを頼ってくださいませ。」


3人はあまりにも丁寧な挨拶にびっくりしましたが、すごく面白いバーチャル世界だなと思いました。それにお助けキャラがいれば、帰ることは可能だろうと思ったのです。よかったと3人は同じ事を思ったのか、顔を見合わせ、ニコニコと嬉しくなりました。


3人はこの世界のことをラディアに聞きました。

ラディアによるとこの世界は、多種多様な人々で構成され、村長と呼ばれる人によって統治されていることが分かった。村長は生まれた時から村長で、本当に素晴らしい方なのです!とラディアは目を輝かせて語った。


この街のルールでは、夜になると家から出てはいけない。窓を開けて外を見ることは良いが、たまにそうして人が消えていることがあるので、あまりおすすめはしませんとのことであった。だから、昨夜は夕方でも人の影すらなかったのかと3人は納得した。ちなみになぜ夜の外が危険なのかというと、夜になると神様が人を探しているからだそうだ。目があまり良くない神様なので、似ていると間違って連れていかれるのだとか。


3人はおおよそ街の概要を聞き、不思議な設定だなと思いました。そして、この変な街から早く帰らないといけない気がしました。


夏菜子はラディアに、どうすれば帰れるのかを聞きました。ラディアはそれは……と少し考えてから、

「私めでは教えることが出来かねますので、よろしければ村長様にお会いしませんか?村長様ならば、困っている客人を無下に扱うことはございません」


3人は顔を見合わせ、ラディアの提案にのりました。


ラディアのあとに続き、村長の元へ向かっている時に、何故ラディアはそんなにも村長を慕っているのかを聞きました。


ラディアは、自分は光栄にも村長様の婚約者として選ばれたと言い、婚姻が結ばれるまでの間も使いとして側に遣わせて下さると。それに、この国の制度を作ったのは全て村長様であり、荒れていた国を治めたのも全て村長様の功績なのだと教えてくれた。


とりあえずとてもすごい人で、ラディアの婚約者なのだという理解だけして、3人は村長前にやってきたのであった。


「やあやあいらっしゃい!外からわざわざお越しくださり、ありがとうございます!私、この国の村長をしておりますオノール・ベンディシオンと申します。村長とお呼びください。」


オノールと名乗る男は、3人が来るとそう挨拶をした。村長は色が白く、髪まで真っ白であった。それに村長と聞いて、かなり年のいった人を想像していたが、18くらいに見える。私もこれには驚いた。


「皆様は元の世界へとお帰りになりたいと聞き及んでおりますが、本当でしょうか?」


3人は首を縦に振り、夏菜子が出口の場所を教えてくださいと頼んだ。村長は快く承諾し、ラディアに場所を教えてあげなさいと言った。


3人は村長に礼を言い、すぐにでも出て行こうとしたが、村長が凛さんとお話したいのだがと凛だけ呼び止めた。ラディアが他の二人と外に出ていった。


「すまないね、君に聞きたいことがあったんだ。」


村長の笑顔は優しいものなのに、すごく恐怖を感じた凛は、少し怯えながらも何でしょうかと村長を見上げた。


「怯えなくても大丈夫だよ!一つだけ質問に答えてほしいだけなんだ。」


村長はにやりと笑い、


「君がここに入ってくる時に誰かの存在を感じなかったかい?」


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