第13話
“ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・”
「おぃ!誠(まこと)もっと早く歩けないのか!」
「無理だって、俺が健(けん)みたいに運動神経がよくないの知ってんだろ~?!」
「全く、お前は体力無さすぎるんだよ(笑)」
「マジでちょっと、どっかで休まねぇ?」
「わかったよ。
じゃあそこの川の近くで休むかぁ」
「やったぜ!(笑)」
“バシャッバシャッ・・・”
誠は、川で顔を洗った。
「ふぅ~、生き返ったぁ~(笑)」
「フンッ・・・テメェはオヤジか!」
“パカッ”
健治は、携帯を開いた。
「17時23分かぁ・・・ん?」
「どした?」
「お前のケツの下・・・土が掘り返されてるぞ」
「ほんとだ・・・」
「どうする?」
「もちろんッ・・・」
「掘りかえ・・・」
「す!」
と健治は言った。
誠は、
「さない!」
意気投合しない二人は沈黙した。
「……………。」
「どうしてだよ!」
「だって、動物の墓だったらどーすんだよ!」
「かまいやしねぇさ、そん時ゃ、また戻しゃいいじゃねぇか」
「そぅだけど・・・」
「よしっ、決まりだな。さぁ、掘るぞ!オメェも手ぇ貸せ誠!」
“ザクッザクッ・・・ザクッザクッ・・・”
2人は地面を掘り始めた。
「・・・ん?」
「げっ・・・なんかあるぜ。健が言い出したんだから、先に見ろよ」
誠は、そう言って自分の目を、手でふさいだ。
「たくっ何ビビってんだよ・・・ん?!」
「おぃ!誠!これ見て見ろよ」
「動物の死体じゃねぇだろなぁ・・・」
「違うって!もっとすげぇもんだって!!」
「動物の死体よりすげぇって、・・・まさか・・・人間の死体!?」
「バカヤロォ!つべこべ言ってねぇで、その手外して、見てみろって!」
「ちょっ、待っ、待てって!」
健治は、誠の手を無理矢理外した。
「マ、マジでか?!これ本物かよ?」
そこには、銃が8丁あった。
「うひゃー!すげぇぜ!こんなにたくさん見た事ねぇ!でも何でこんな所にあんだ・・・?」
「まぁこれ見ろって、土が掘り返されてんのがまだ新しいだろ?てことは、おそらく今日誰かがここに隠したんだろうぜ。それに、こんだけ大量にあるんだ、持ち運ぶには不便だし、隠してるところからみて、全部本物っぽいしなぁ」
「なるほど、オモチャだったら別に隠す必要がないからこれは本物って事で、しかもこんなに有ったら、逆に不便、だからこんな所にこんなにあるのか。すげぇな!健!ちょっと見ただけでそんなに分かっちまうなんて。さすがIQ250の男!」
「バカヤロォ、IQは関係ねぇよ!それに俺もはっきり分かったわけじゃねぇし、あくまでこれは推測、まだ他の理由があるのかもしんねぇ。お前や俺のメモみたいに」
「そうだな。【あなたの頭脳がこのゲームの鍵になる】ってこの意味、一体どんな意味なんだ。そもそも、ゲームって一体・・・?」
「とにかく勝手にこのゲームってのに参加させられちまったんだ。助かるには、やっぱクリアするしかねぇんじゃねぇの?」
「じゃあこの銃どうする?」
「そんなの聞かねぇでもわかんだろ!?とりあえず・・・」
2人は、そこにあった銃を4丁ずつ携(たずさ)えた。
「よしっ、そろそろ行くとすっか」
「あぁ!でもどこに行きゃいいんだ?」
「そうだな、じゃあとりあえず、この銃を隠した奴みたいに、他に誰かいるかもしんねぇから、そうゆう奴らを探そうぜ。それに、銃が出回ってるって事は、他にも武器を持ってる奴がいるって事だから・・・」
「そうゆう奴に気をつけながら、俺らみたいな奴を探すって事だな!」
「そういうこと、このゲームってやつをクリアしないと自由になれない。絶対にクリアすっぞ!」
「おぅ!」
「それじゃあ行くか」
2人は、また歩き始めた。静かな森の中を。
“ザッザッ・・・ザッザッ・・・”
2人が歩き続けて数十分がたった。
「健ッ!これっ!みてみろよ!」
「どうした?」
誠は、地面に落ちていた何かを拾った。
「それって・・・地図だよな・・・?」
「そうだなぁ、でもどこの・・・」
「・・・ん?・・・誠!ちょっと貸せっ!」
「どうしたんだよ、急に!?」
「ここ見てみろって、この川の形・・・この道・"・それにここ!俺達が目覚めた高台じゃねぇか!?」
誠が拾った地図には淡路島ぐらいの大きさの島の地図がえがかれてあった。
「ってことは、この島の地図・・・俺達がいるのは、このばかでかい島なのか?!」
「そうみたいだなぁ。・・・ん?」
「どうしたんだよ?」
「ここ見てみろよ・・・」
健治は、指をさした。
「これって・・・城?」
「だよな・・・でも何で島のど真ん中に城が、それに、こんな島の形、見たこと無い」
島は、二つに別れていて健治や誠がいるのは、左の島であった。
「俺達がいた高台の大きさから見て、この島全体の大きさは、だいたい淡路島ぐらいはあると思うんだ」
「だよな、俺も地理には詳しい方だけど、日本にこんな島はねぇぞ」
2人に大きな謎が、降りかかった。
「マジで俺達、どこにいるんだろう?・・・」
「考えたってしょうがねぇさ、今の俺達には手掛かりが少な過ぎる、わかんねぇのも無理ねぇよ」
「そうだな。じゃあそろそろ・・・」
“・・・ダララララララ・・・”
「!!!?」
遠くの森の奥から、銃声が聞こえた。
「なんだ今の・・・」
「銃声だよな・・・」
“ドォォォォン”
「まただ!こんどは違う音だけど・・・」
「どうやらあっちで、やり合ってるようだな、どうする?行ってみっか?」
「そうだな、ちょい危険だけど、このまま闇雲に探すよりかは早く手掛かりが見つかるかもな」
2人は、銃声のなる方に向った。
“ドォォォン”
「まただ・・・」
「どうやら俺達の読みは当たってたようだな・・・」
“ドォォォン”
「だな・・・この様子じゃ、死人が出ててもおかしくねぇ。でも・・・」
「どうした?」
「なんで、どうしてこんな簡単に殺し合いが出来るんだ!?」
「それが、ゲームってやつじゃないのか?こんだけ武器が出回ってるんだ、自分の身を守ることは必須、残念だけど、これが現実だぜ。それに・・・」
「それに?」
「わかんねぇか?どんな人間でも、理由なく銃を向けたりしない、どっちかが仕掛けない限りな」
「そうか!じゃあ先に仕掛けて行く方は、何か理由があって、何か知ってるからかもしれないんだな?!」
「そうゆうこと。だから、そうゆう奴に何か、このゲームの事とかでも聞き出せばいい」
「じゃあ早くしないと、そいつが死ぬかもしんないぜ!」
「そうだな。急ごう!」
2人は森の奥に走って行った。
“ザッザッザッザッ・・・”
「こっちの方で、良かったんだよな・・・?」
「多分な、確かに銃声はしたけど、ここは森の中、正確な場所までは、わかんねぇさ」
「だよな・・・」
「!?」
「どうした?」
「どうやらこっちで良かったみたいだ」
「どうゆう事だ?」
「ほらっ、前、見て見ろよ!誰か来っぞ・・・」
「ほんとだ!!」
“サッ・・・”
2人は一人ずつ左右の木のかげに隠れた。
“サッサッ・・・サッサッ・・・”
健治が言ったように、前から白いワイシャツが真っ赤な血で染まった男がものすごい勢いで走って来る。
“サッサッサッサッサッサッ”
男はそのまんま健治や誠の間を抜けて、通り過ぎて行った。
「なんだったんだ。あいつ・・・」
「さぁな、なんか、パニクってた・・・・!・・・・もしかしたら!?」
「向こうでやっぱ、なんかあったって事だよな?・・・あいつ、何か知ってるかもしんねぇな!」
「わからねぇ。血だらけだったし、俺には関係があるとは・・・」
「よしっ、さっき走ってった奴に何か聞けば・・・」
「おぃっ待てよ!」
「なんだよ?あいつに聞いたらいいじゃねぇかよ!?わざわざ、危険をおかしてまであっちに行く必要ねぇだろ?」
「バカヤロォ!あいつを追う方が危険だって言ってんだよ」
「どうして?」
「オメェ見なかったのかよっ・・・走ってたあいつの腰につけてるもんをよ」
「腰?・・・え~と・・・」
誠は思い出そうとした。走っていた奴のことを。
「え~と、確か、あれは・・・黒い・・・長細い・・・棒?」
「そこまで思い出せりゃ、もう分かるだろ?腰につける、長細い棒とくりゃ?」
「まさか!?・・・刀?!」
「そういう事だ」
「でもどうしてそれが危険何だよ?」
「まだわかんねぇのか?お前、あいつの服が血だらけだったのどう思う?」
「どこか怪我してるとかそんな感じの事だけど、それが一体?」
健「俺の考えじゃおそらく、あいつは怪我なんかしてねぇ・・・」
「え?」
「だって、変だとは思わねぇか?あの血の量・・・普通じゃ大怪我だ」
「だから、怪我してるんだって・・・」
「だとしたら、ひとつ矛盾が出来る」
「・・・え?・・・・・はっ!?」
「気付いたか?」
「走ってた・・・」
「そう・・ あいつは走ってたんだよ、すごい勢いでな」
健治は話しを続ける。
「体から血が出るほどの怪我なら誰だって、普通はそのままにはしない。怪我した場所をかばったり、止血したり、ましてや、走ったりなんか絶対にな・・・」
「じゃああの血は、もしかして・・・」
「あぁ、自分の血じゃなく、おそらく・・・返り血・・・」
「多分あいつはあの刀で、誰かを殺してる」
「そうか、返り血はその時についた。それに、人を殺してパニクって、だから逃げるように走ってたのか」
「人を殺してパニクった人間の心理はお前も習ったろ?」
「あぁ、人を殺した後の強烈な罪悪感、後悔、孤独感、そこから生まれるのは、自分を正当化する為の現実逃避、または自ら自分の命をたつか・・・・」
「分かったか?今あいつを追うのがどれだけ危険か」
「あぁ、健治のおかげで助かったよ」
「少し喋り過ぎた。よしっ行くか」
「おぅ!」
2人は、また歩き始めた。
“ザクッザクッザクッザクッザクッザクッ”
「くそっ・・・!結構歩いたのに荒らそい合った形跡もねぇ」
2人は30分近く、銃声のした方へ歩き続けていた。
「多分、もう どっか行ったんじゃねぇか。それより、ちょっと疲れたぜ・・・」
「あぁ・・・それは俺も同感だ」
「どっか休める場所ねぇか?」
「ちょっと待てよ・・・」
“パサッ・・・”
健は持っていた地図を開いた。
「え~と、人間の歩くスピードは時速約4km・・・俺達が歩いた時間は約30分・・#2kmってところか。え~と、さっきいたのがここだろ?ここから約2km、俺達がいるのは大体この辺か・・・ん?」
「なんか、あったのか?」
「あぁ、喜べ。誠!この近くに小屋があるぞ!」
「マジかよっ!早く行こうぜ」
2人は少し方向を変え、小屋を目指す事にした。
“ザクッザクッザクッザクッ”
「あった!小屋ってあそこの事だよな?!」
「多分な」
「よしっ、早く行こうぜ!」
誠がそう言った瞬間だった。
小屋から男が飛び出して、健治と誠とは逆の方向に走り去って行った。
だが、その事に2人は気付いてはいなかった。
“ザクッザクッザクッザクッ”
2人ゆっくりとその小屋に近付いて行く。
「布団とかあったらいいな!」
「あるわけねぇだろ?こんなボロ小屋に・・・それに、お前、寝る気満々だな」
“ザクッザクッザクッザクッ”
「あたりめぇだろ!?だって朝はコンクリートの上で寝てたんだから」
2人は小屋の前についた。
「そうだな、あればいいな布団・・・」
健治はそっと扉に手をかける
健治はいつものように警戒はしていなかった。
しばらく歩き続けた事による疲れと、様々な出来事、そして、その全てが一瞬すきをつくる。
“ガラガラガラガラ”
“ドォォォォォォン”
「健ッ!!」
銃声と誠の声が辺りに響いた。
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