第11話

2人は、ヒントのポイントである、『A/Z・・・001/100』へ向っていた。


“サッ・・・”


優は天井を、麻美の持っていた懐中電灯で、照らした。


「『C/Z・・・016/100』かぁ。麻美ちゃんが起きた場所が近くなってきたな」


「えぇ。でもどうして、この文字を見ただけで、分かっちゃうの?」


「そうだった、まだこの英数字の意味をゆってなかったっけ」


「えぇっと、これは、俺が推理するには 縦26、つまり、アルファベットのA~Zまでの列と、横100の1~100までの列の地図を想像すると分かりやすいんだ」


「ってことは、私が起きた場所は、上から2番目と横25番目の重なり合うポイントってことね、」


「そうゆう事。

よしっ、説明も済んだところで、先を急ごう」


「えぇ」


2人はまた歩き始めた。


“コツッコツッコツッコツッ・・・”


「俺も、麻美ちゃんに聞いてもいいかな?」


「何?」


「麻美ちゃんは、歳はいくつぐらいなんだ?」


「私?私は18よ」


「ってことは、俺の一コ下かぁ」


「じゃあ優は、19なんだぁ。私の兄と一緒ね」


「へぇ~、麻美ちゃん、兄貴いるんだぁ」


「えぇ、今は私も兄も別々の親戚の家にいて、今は全然連絡とってないんだ」


「別々って、なんかあったのか?」


「・・・5年ぐらい前に、両親が事故に巻き込まれて、それで私は近くの親戚の家に、兄は大阪の親戚の所に引き取られる事になったの」


「ごめん・・・なんか変な事聞いちまったな」


「ううん。全然いいの、もう昔の事だし。でも・・・」


「でも?」


「風戸 仁って知ってる?」


「あぁ・・・確か5年くらい前に、銀行強盗に失敗して捕まった連続殺人鬼・・・ってまさか!?」


「そうよ・・・あいつが両親を殺したの」


「あの時、私と兄は、車の中にいて助かったけど。父と母は銀行の中にいて、そして事件に巻き込まれて そのまま・・・」


「……………」


「私も、兄も、顔は見ていないけど、あいつの事が許せない」


「そうかぁ。そんな事があったのか」


「ごめんなさい。なんか、暗い話ししちゃって・・・」


「俺も、麻美ちゃんの気持ち分かるよ。俺も昔、大切な人を亡くした事があったから・・・」


「そうなんだぁ」


2人とも、気まずくなり少し黙りこんだ。


「いけねぇ、暗くなっちまったな。はいっ終了!もうこんな話しは、お終いだ。もっと楽しく行こうぜ!」


「ええ!」


優の明るく振る舞う姿に、麻美は心の中で『ありがとう・・・』と言った。


“サッ・・・”


優は天井にライトを向けた。


「『C/Z・・・023/100』もうすぐだな」


「えぇ、そこの角を左に曲がった所よ」


“コツッコツッコツッ・・・”


2人の足跡が、通路に響く。


「ここよ」


麻美は自分のいた場所に指をさした。


「ん?・・・あれなんだ?」


「どれ?」


「あそこだって!あの端っこのやつ・・・」


「!」


「私、気付かなかった。あそこになんかあったなんて」


「無理もないって、俺だって天井には、気付かなかったんだ」


2人は、そこにある何かの所まで行った。

そこには黒いかばんが置いてあった。


“ジィィィィィ・・・”


優はそっと、そのかばんを開けた。


“ガサッガサッガサッ・・・”


優は、かばんの中を探った。


「ん?なんだこれ?」


「あっ!それ、私の化粧品!」


「じゃあこれ・・・」


「うん・・・私のみたい」


「ん?これも君の?」


「え?知らないわ。私のじゃない・・・何?・・・地図?」


「だな。何の地図だ?なんかの島の地図みたいだけど。まさか!?・・・」


「ん?まだなんか入ってるわよ・・・『鍵人(キーマン)を探せ!』?」


「・・・え?どうゆう事だ?」


優は考え始めた。


「麻美ちゃん、その麻美ちゃんが持っていた本は、起きた時にはもう持ってたんだよね?」


「・・・いいえ・・・優に合う前に拾ったの」


「なんだって!?・・・ってことは、麻美ちゃんは攻略人(ヒントマン)じゃなくて、地図人(マップマン)って事になる。ヤバいなぁ」


「えっ?それってなんかダメな事でもあるの?」


「あぁ、つまり、さっきの武器人(ウェポンマン)か狩人(ハントマン)の他に、まだ他に誰かいるって事だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る