第6話

“ザッザッザッザッ”


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


翔太と春奈は息を切らしていた。


「ちょっとあんた・・・ハァ・・・、もう少し早く走れないの!?」


「ハァ・・・晴姉が、・・・ハァ・・・速いんだよ・・・ハァ・・・」


私達はあの建物から出て森の中を走っていた。


「・・・ハァ・・・なんなのよあいつ、・・・ハァ・・・なんでいきなり・・・ハァ・・・撃ってくんのよ!?」


「わかんないよ!・・・ハァ・・・これからどうするの?」


「・・・ハァ・・・とりあえず、あそこのでっかい木の陰に隠れよ!」


目の前に直径3mぐらいの大木があった。

私達はその木の後ろに隠れた。


「・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


だんだんと呼吸が落ち着いてきた。


「どう?さっきの奴、こっち来てる?」


春奈は翔太に聞いた。


「ううん、どうやらまいたらしいね」


2人は顔を見合わせた。


「それにしても、なんなのよあいつ・・・」


「さぁ、ショットガン持ってたね・・・って、晴姉!肩!!血ぃ出てるよ!!」


「あぁ、これ?大丈夫よこんなの、かすり傷だから・・・」


「ダメだよ!ちゃんと手当てしなくちゃ!ばい菌でも入ったら大変だよ!!」


“ビリッリリリリッ”


翔太は自分の服の袖そでを破り、晴奈の傷口を軽く縛った。


「アリガト、あんた、慣れてるんだね」


「まぁね、うち、パパもママも医者だし、ちっちゃい頃から見てたりしてたし、それでかな」


「へぇー、2人とも医者とかすごいね。じゃあ、翔太は金持ちなんだ(笑)」


「そんな事もないよ。ちっちゃい町の診療所みたいなトコだから」


「でもいいじゃない、私の親なんかフツーのリーマンと主婦だから」


「そっちの方がうらやましいよ」


翔太の表情が、少し悲しくなった。


「どうしたのよ。なんかあった?」


「実は・・・」


「待って!暗い話?」


「ちょっとね・・・」


「だったら聞かない!いちいち昔の事話しても、しょーがないじゃん!私、そーゆーの苦手だし、はいっ、終了!分かった??」


「うん!」


森は静かに揺れていた。

と、思い出すように晴奈が聞いた。


「あんた重そうだけどそん中、何入ってんの?」


「あっ・・・これ・・・」


“ガサッ・・・ジィィィィィィィィ”


翔太はリュックを地面に置き、ゆっくりとチャックを開けた。


「・・・!!なにこれ!?なんでこんなに持ってんの!?」


「わかんない、目が覚めたら、こん中に入ってたんだ」


「そうだ」


晴奈は、何か思い付いたようにリュックの中に手を入れた。


“ガサッガサッガサッガサッ”


晴奈は、リュックの中から2丁のサブマシンガンを取り出した。


「これってあれだよね。ダダダダッ・・・って撃つやつ・・・」


「そうだけど、どうしたの?」


晴奈は持っていたベレッタをリュックにしまい、1丁サブマシンガンを翔太に渡した。


「あんたこれ、使い方わかる?」


「うん・・・」


“カチンッ・・・カチンッ”


翔太は2丁のサブマシンガンのロックを外した。


「これで、後は引き金を引くだけかな。でも、どうすんの?」


「いい?さっきの奴が来たら、これで撃つのよ!」


「えっ?でもさっき、使っちゃダメだって・・・」


「今は別!あいつが来たら撃つ!分かった?」


「うん!」


“ガサガサッ”


少し遠くの方で、木の葉このはを踏む音が聞こえた。


「さっき、言った事分かった?」


「うん・・・」


“ガチャッ・・・”


2人は身構えた。




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