第31話
巨大なこん棒は大きさもさることながら重量もかなり重く、私の腕力だと両手で引きずることしかできない。それにしてもこん棒…、こっちが死にかけてまで湖に沈めた大猪の報酬がこん棒…?
「…私このゲームやめようかな。」
「いやいやいや、そんなただのこん棒のはずあらへんやん‼ちょい見せてみて、」
言われるがままにこん棒をヒナに渡す。ヒナはこん棒を持つとどこぞの鑑定団の先生のように詳細に眺め始めた。
「ヒナちゃんはドウの街の種屋さんで『鍛冶屋』の才能を取っているので武器の目利きが出来るんですよ。」
私が不思議そうにヒナを眺めていたからなのか、アオイが横でそっと教えてくれた。ほう、才能の種にはそんなものもあるのか。そういえば最近モノの街の市場にもプレイヤーメイドという名前で高額のアイテムが売られているのをちらほら見るがきっと才能を手に入れたプレイヤーが作ったものなのだろう。
「ふーん、銘が無いからユニークじゃないことは確かなんやがそれにしてはこの補正はえげつないなぁ。プレイヤーメイドでもこんなん作れる奴はおらんし売ったら大体10万以上の値が付くやろなぁ。
ただ…。」
「ただ?」
「こん棒ってぶっちゃけあんまポピュラーな武器とちゃうから欲しい人がかなり限られる。それに、この重量だと才能が両手派生の奴になってないとうまく使うことはできんなぁ。」
つまり、高性能で高価格はつくが買い手が現れるかは怪しいと。
うーん、私は換金しやすいものがいいのだが。
「それならお姉ちゃん、アンちゃんかウンちゃんのどっちかに持たせてみたら?あの子たちだったらその重さのこん棒でも十分に扱えると思うよ。」
なるほど、その手があったか。そうするとどちらに持たせるべきか…。まあ、これはまた召喚できるようになったら考えればいいか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます