第30話
「まず最初にこのイベントで運営側が何を求めているか、ハユさんはどう思いますか?」
「それは、島に隠されたレアなアイテムを集めてお金を稼いだり、強化することなんじゃないかなぁ」
ユリアの問いかけに私は即座に答えた。
私のイベント参加目的はズバリそれだからだ。
「確かにそれはプレイヤーたちはそうでしょうね。ただ、運営側としてはそれにプラスしてプレイヤー同士でもっと交流してもらいたい、そんなことを感じます。」
プレイヤー同士の交流?
「そう思った理由は二つ。まず、このイベントで各プレイヤーで持ち込みが許されたアイテムは一つだけということ。これは、戦闘でもサバイバルでもそれぞれのアイテムを持ち寄ってなんとかする必要があることを意味します。」
もしもアイテム制限が無かったら結局は普通のゲームの延長線上で新たなプレイヤーとの交流は活発に行われない。だが、それは運営の意に反することなのだろう。
「そしてもう一つの理由、それは私たちがかなり近い場所に転移させられたことです。この湖に向かう道中、ゲーム内チャットを使って別パーティーにいる私個人の知り合いと連絡を取り合ったのですが、その人たちもどうやら私たちと近い場所に転移しているらしいです。」
「それはつまり…、」
私の言葉にユリアは頷く。
「はい。きっと
なるほど、初対面同士では交流が難しくても共通の知り合いがいれば大丈夫というわけか。
どうやらこのゲームの運営はコミュ障を大分舐めているようだ。
「フフフ、まあ運営側も少し思慮が浅いかなとは思いますが、そのおかげでハユさんともすぐに合流できたんだからいいじゃないですか。それより皆さんこれからどうします?ここを拠点として探索を進めるか、もっと他の場所に行ってみるか。」
ユリアはそう言うと私たちに疑問を問いかけた。何となくだが彼女がこのパーティーの参謀役なのだろう。
「
「わ、私もヒナちゃんに賛成です…。少し周りを索敵してみたけどこの湖の周りは強いモンスターはもういないようなので…。」
「えー!強いモンスターがいないならもっと別の場所に行こうよ‼お宝もいっぱい見つけたいし。」
「私個人の意見ですが、もっと他のプレイヤーを巻き込みたいので他の場所に移動したいですね。」
四人の意見は
「ん~、じゃあお姉ちゃんはどう思う?」
「え、そこで私に振るか。そんなことフッカたちで決めちゃっていいよ。」
「うちのパーティーは基本的に多数決で物事を決めるスタンスなの。それにお姉ちゃんもこれから一緒に行動するだろうし決定権は持ってるとリーダーの私は思うよ。」
なるほど、そう言うことなら。
「私もここを拠点にした方がいいと思う。水も食料も確保できるし他のプレイヤーと合流することになったときにいい目印になると思うから。」
私がそう言うとフッカは何故か満足そうに頷いた。
「オッケーそれじゃあ、『ここをキャンプ地とする』。いやー、一度言ってみたかったんだよねぇ‼」
いや、それが言いたかっただけかい!?
「と、言うことでお姉ちゃん、さっきのボスみたいなのからお宝でた!?」
フッカがもう待ちきれない、というような顔で迫ってきた。
「なにが『と、言うことで』なのか良く分からないけど、報酬がどうとか頭の中で声がしてたね。」
「ソレ、ホンマ!?なあ、
と、今度はヒナが詰め寄る。
声には出さずともユリアやアオイも興味津々のようだ。
ええい、このゲーマーどもめ!
「はいはい、今出しますから、ちょっと待ってて、」
私はゲームのメニュー画面からイベント報酬を選択すると具現化させると、現れたのは巨大なこん棒だった。
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