第13話

次の日、私はモノの街の北側にある広場に来ていた。

この広場は元々商人や隊商の荷馬車置き場である商人がこの場所で他の商人と取引を行ったのを皮切りに様々な隊商が荷馬車を広げ商人同士で情報や商品を交換する市を開催するようになったらしい。


フッカの話によると、モノの街からドウへ向かうには転移門と呼ばれる魔法の技術課金で行く方法と馬車や徒歩で向かう方法の二通りあるらしい。

ただ、徒歩で行く場合は道中のモンスターに狙われることが増え、その上ドウへたどり着くのに一週間かかるという鬼畜仕様らしく犯罪者でもない限り馬車を利用していくのが普通だそうだ。

今回は金銭的な事情により後者でドウまで行くことにした。しかし、今現在モノからドウへ向かう乗合馬車は無く、馬車で向かいたいプレイヤーは自力でドウへ向かう馬車を見つけなくてはならないそうだ。


私はゲームについて詳しい方ではないがこの仕様はいささか不要な気がする。


アンとウン?

屍人ゾンビに見えないからと言って一緒に行動しているとトラブルの元になると思ったから召喚はしないです。





ドウへすぐ向かうという人達を見つけたのは一時間ほど経った後だった。

意外にもモノから直接ドウへ向かう馬車というのは少なく、大抵はその間にある小さな村々や家を点々として商売を行うそうだ。

ゲームにはあまり詳しくはないけどそういうところまでリアルにする必要性があるのか甚だ疑問だ。



まあ、そんなことはどうでもいいとして、私が見つけたモノからドウへ直接行く人たちはどうやら小さな隊商の様で数台の馬車の中に大小様々な箱や樽などを積み込んでいる最中だった


「あ、すいません。

こちらの馬車がドウまで行くと聞いたのですが…」



荷物を積み込んでいる筋骨隆々のお兄さんたちに話しかけるのは少し気が引けたが、この際ドウへ行くためならしょうがない。私は思い切ってそのお兄さんの一人に話しかけることにした。


「お?変なマスク付けたお嬢ちゃんだな…。

確かにこの馬車はドウへ向かうが…、ひょっとして一緒に連れて行って欲しいのか?

それならアッチにいる旦那に聞いてみてくれないとわからんな。

オオイ、旦那ぁ!!この子が一緒にドウへ連れて行ってくれってよ!!」


荷物を積んでいた人たちはどうやら下働きの人でボスは丁度お兄さんの声で振り返ったぽっちゃりしたおじさんだろう。


「ハイハイ、どなたが付いていきたいって…。

あら、アナタ。そんな変なマスク付けていたら折角のお顔が台無しヨ?」


『旦那』と呼ばれたぽっちゃりしたおじさんはよく見ると妙に声が高かく顔には薄くではあるがメイクをしているようだ。


「アラ、この目の周り。気が付いちゃった?

これは最近ミッツの街で出回るようになった『ラメシャドウ』と言って目の周りを華やかで上品にしてくれるのヨ。」


隊商の代表のおじさんはこの『ラメシャドウ』を付けることで華やかで上品な雰囲気をだせることを長々と説明したり、ミッツという街はこの近辺にある街の中でも一番大きく、様々な物品が揃っている事、そして『TWO』を遊んでいる私達女性プレイヤ―についての不満など聞いてもいないのに私に長々と話した。


「もう!!

異人プレイヤーのほとんどの女子が自信がないって言って顔全体を覆うマスクとか甲冑を付けてるのヨ?

ありえないわよね!?みんな親からもらった顔を恥ずかしがっているのヨ?」


だから!!

と言っておじさんはバンっ!!と自分の胸板を強く叩いた。

私にも衝撃が来るほどの凄い力だった。


「私の商会ではドウを経由してミッツで『ラメシャドウ』以外にも色々な化粧品を仕入れてモノで商売しているのヨ!!

これによって往復する私達にも儲けがあるし、モノにいる異人プレイヤーの女の子も自分の顔を隠すことなく外に出れる!!

みんなハッピーになれると思わない?」


みんながハッピーになれるかどうか分からないけどどうやらこの世界の住人NPC達は私達のプレイヤーのことを異人と呼ぶらしい。初めて知った。


「ああ、そう言えばドウの街まで私達について行きたいのよネ?

別に構わないけど、道中で色々と手伝ってもらうことになるけどいいかしラ?」


おお、意外とあっさりドウへ行けそうだ。

私はおじさんの話に大きく頷いた。














[TWO] TWOでの愚痴を語るスレ

81 名無し:

女性プレイヤーがいない…、いなくない?





82 名無し:

出会い中で草





83 名無し:

>82厨な、





84 名無し:

誤字指摘兄貴オッスオッス!

でも女子がいないのは確か





85 名無し:

まあ、ファンタジー系のVRタイトルはもう色々出ているから物珍しさに欠けているしな




86 名無し:

女性プレイヤーはいるよ?

僕らの心の中にね...。





87 名無し:

勝手に女性プレイヤ―殺すなwww





88 名無し:

女の子のパーティーメンバーの話によると顔を隠している女性プレイヤーが多いらしいな

なんでもモノの街に化粧品が売ってないらしく、ゲーム内でスッピンを晒すのが嫌らしい





89 名無し:

あ、(察し)





90 名無し:

88>リア充爆発しろ

でも、なんで女性プレイヤーが見当たらないか理解したわ

皆フルフェイスなのね





91 名無し:

88>死ね

ぶっちゃけ鎧を着ると体型も分からなくなるしな





92 名無し:

88>この裏切者め!!

化粧品ならモノで売ってたぞ

なんかおかまっぽい商人だったけど





93 名無し:

90~92>辛辣すぎ...。

一個で五万クレジットとかでうちのパーティーのメンバーは買えないって言ってた





94 名無し:

93>すまソ

ぼったくりじゃない?





95 名無し:

94>元々化粧をするのが貴族みたいな特権階級だけ説

てか、88はパーティーメンバーの構成どうなってんの?





96 名無し:

95>俺以外は全員女子だな





97 名無し:

96>ハーレムパーティー死ね

623 名無し:

事件だ!!

モノの商人広場で馬たちが大暴れ!!

さっき言ってた化粧品売ってるNPC商人の馬車もぶっ壊れてたぞ!!





624 名無し:

623>いや何があったし





625 名無し:

とりまぼったくりざまあw





626 名無し:

>625化粧品を売るNPCがモノで活動できなくなるから女性プレイヤ―が困るんだよなあ





627 名無し:

626>そもそも値段が高すぎて買うプレイヤーいないんだよなあwww


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る