第19話 自分の気持ち
私は高梨さんがいつから気になっていたのでしょう…
高梨さんが疑問に思うのは最もな話なのですが、私自身も気がつけば他の男子とは違うと感じていたのです。
そもそも私自身を考えてみますと…
他人に対してあまりいい印象を抱かない、抱いていないことが殆どです。
特に男子に対して私は、かつての経験、いまだ子供じみた言動、私のことを何も知らない癖に下心丸出しで平然と告白してくる不誠実さ…
そんな人ばかりが関わってきたこともあり忌諱を感じています。
勿論、会長を始め、真面目な人やしっかりしているであろう人もいることは理解しています。
そういう人にまで忌諱感を持って接してはいないつもりですが、どこかで壁を作っているのも事実です。
そして女子に対しても壁を作っています。
色々ありますが、特に酷かったのは、私に不誠実な告白をしてきた男子を断った事に対し、逆恨みをぶつけられることが多かったことです。
思い出したくはありませんが、かなりのことを言われた覚えがあります。
中には私が全て断っていることが気に入らないという人もいました。
きっと、影でもかなり言われていたのでしょう。
でも夏海とはこの逆恨みが続く中で私を助けてくれたことが切っ掛けで仲良くなりましたが。
他にも…もうやめましょう、思い出すだけで不快です。
私は「あの人なら仕方ない」と思わせられれば、煩い周囲を黙らせることもできるだろうと考え、成績を上げ、生徒会副会長にまでなり、寄せられる要望や生徒の意見を可能な範囲で対応し実績を上げてきました。
そして手のひらを返したかのように称賛して頂けました…陰口を叩いていた人も混じってますが。
これが今の私です。
……こうして考えてみて、少なくとも高梨さんは悪い要素に当たりません。
私の中で高梨さんに対する印象の強かったことは…
花壇のことは勿論です
誰にも気にされず、何も言われず、それでも黙ってお世話をしてくれていたのです。
感謝しております。
そして…商店街で、泣いている子供をあやしている姿は特に印象に残りました
「にゃんにゃん、お母さんがいないの?」
何とも可愛らしい喋り方で女の子に話しかけている様子でした。
凄く自然な感じで、子供に対しあのように接することができるなんて。
その後、泣き止んだ女の子と手を繋ぎ、女の子が来たであろう方向へ戻っていきました。
恐らく、お母さんを探しに行ったのだと思います。
このとき私は、高梨さんの子供に対する笑顔と、手を繋いで歩く後ろ姿が強く印象に残りました。
その後も、登校中にあの女の子を抱っこしている高梨さんを何度か見かけました。
あの優しそうな顔がやはり印象的でした。
このようなことは、今まで散々見てきた幼稚な男子達では想像できない姿でした
そんな折に屋上でのことがあり、いつもは来ない昼休みに高梨さんが現れ、初めてお話ができたのです。
……この時点でもう私は高梨さんが他の男子達とは違うと感じていたんですね…
お祖母ちゃんがお世話になった男子も高梨さんでした
お礼は要らないと、名前も告げずに帰ってしまったらしく、いつか出会えたらお礼をと考えていましたが…高梨さんだと知り、ある意味納得もしました。
お祖母ちゃんの分も含めて、今までの分もしっかりお礼をしなければと考えていました。
出会う前、出会った後、色々な積み重ねがあり、私は高梨さんが信用できる人、他の人とは違うと感じた…好感が持てる人だと思えた。
だから、仲良くして頂きたいと感じた。
自分で「不思議」と片付けていたことが、やっとわかったような気がしました。
それで私は、高梨さんに誤解を与え悲しませてしまったことをかつてなく焦り、結果、今回のことで更に迷惑をおかけしてしまった
自覚すれば…確かに親友を感じています。
夏海とは少し違う感じがしますが、性別の違いもありますし、高梨さんの場合は今日のことも含め色々あってのことですから、その分違いがあるのでしょう
これから仲良くして頂きたい
…これが私の気持ちなんですね。
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申し訳ございません、話の抜けがあり、こちらを一つ後の19話に変更させて頂きました。既に読まれた方は18話が追加されておりますので、そちらを先にご覧下さい。
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