第6話

「・・・という訳で、私はイタコウに編入してきたの。」


「ホヘ―。」


心地よい冷房を肌に感じながら馬鹿みたいに口を開けて俺は話を聞いていた。

俺とアマルが乗った高級そうな車は高校へ向けて裏道を走っていた。


なぜ、こうなったのか・・・



「それならタクト君、私が車手配しよっか!」


「え?」


駅のベンチで項垂れる俺の前で、アマルはいかにも名案だと言わんばかりのドヤ顔で俺に提案した。


車手配しようか、なんて俺が発言する機会は一生かけても恐らくないだろう。


「今すぐ呼べば5分とかからないと思うし・・・テストも・・・ね?」


これくらいしか出来なくてごめんね、とアマルは付け加えた。とんでもない、十分すぎるほどの処遇である。神か。


「い、いいのか・・・」


「勿論!私の話に付き合ってもらったわけだし!」


「いや、俺も楽しかったしそこは大丈夫だけど。」


「ほんと?じゃあまたパラゴン談義付き合ってくれる?」


・・・俺は少し驚いてしまった。アマルがあまりにも嬉しそうに俺に問いかけるものだから。



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『俺の好きな人』が好きな人は『俺』だった世界 そこらへんの社会人 @cider_mituo

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