6 聖女さん、あの馬鹿と再会する
ドルドット城へと辿り着いた私達は、一旦客室で待たされる事になった。
流石に何の連絡というか段取りも組まずにあの馬鹿と会うとなると、半分カチコミみたいな空気になりかねないからね。
先にミーシャとロイがあの馬鹿と話してくるそうだ。
……まあそういう緩衝材を用意するって意味でもその方が良いんだろうけど、ミーシャ的にもその方が良かったんじゃないかな。
一応喧嘩して飛び出して来たみたいな感じになっている訳だし、そんな中での再開に私達が居たらきっとノイズになる。
あの馬鹿はどうでも良いんだけど、それはミーシャ的には良くなさそうだしこれで良いよこれで。
「しかし結果オーライ。順調に事が運んでるっすね。正直ここまで来るまでに一悶着あると思ってたっすよ」
「順調どころか最初から話進んでましたもんね。これは私達、結構楽をさせて貰っているかもしれません」
「だね……多分今頃ルカ達はレリアさん達と一緒に例の地下を再捜索でしょ。絶対あっちの方が骨が折れるというか……なんか悪いね」
ステラはバイトだしそっち頑張ってって感じだけど、後の皆はそういう役割だ。
きっと私達みたいに簡単にいかない。
「これこっちが早めに片付けば向こうに合流した方が良いかもしれませんね」
「だね。もう半分終わってるようなもんだし、それ前提で動こうか。あの馬鹿が何か変な動きしなきゃ十分できるでしょ」
「……城の中に入ってまであの馬鹿呼ばわりは胆力凄いっすね」
「あの馬鹿はどう転んでもあの馬鹿でしょ。持ち上げようが無いし、これ以上貶しようがない……少なくとも私にとってはね」
うん、私にとっては。
「でもまあミーシャやロイの前では極力こういう暴言は抑えた方が良いのかも。あの馬鹿はどうでも良いけど、なんか二人に悪い」
あの二人はなんだかんだ言ってちゃんと慕ってる訳だし、良い気分じゃ無いでしょ。
「いやそうじゃなくても抑えましょうよ」
「そうっすよ、ボク達がヒヤヒヤするんで」
「なんかごめん」
と、そんな話をしていた時だった。
勢いよく客室の扉が開いたのは。
「よぉ、久しぶりだなぁ! アンナ・ベルナール!」
「……」
一気に場の空気が重くなる。
「なんだ、呼ばれるのかと思ったらそっちから来るんだ」
「態々来てやったぜ、感謝しろよ」
態々自分からやって来たのは準備が整った事を告げるロイやミーシャでは無く、このドルドット王国の国王。
グラン・ドルドット
通称、あの馬鹿である。
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