8 聖女さん、二度ある事は三度あってビビる
「二人目の馬鹿って……え、それってつまりどういう……」
イマイチ自分の置かれていた立場や私の言った言葉の意味を理解できていないシルヴィに私は軽く説明してあげる事にした。
「聖女ってのは国の大事な役職な訳でしょ? そしてその大事な役職に、自分の気になる異性を置きたかった。まあ結構壮大なプレゼントって事だよ」
「なるほどじゃあアンナさんの所の王様は、自分の好きな人の気を引く為に……ってもしかして私の所も!? 私そんな理由で聖女辞めさせられて追放されてるんですか!?」
「99%そうだと思うよ」
「そんなぁ……」
結構衝撃的な話だったのだろう。
シルヴィはかなりのショックを受けている様子。
うん、そりゃショックだと思うよ。
「そ、そんな事であんなに大事な仕事の人員変えちゃうなんて……もしかしてウチの国の王子様は馬鹿なんですかね!?」
「ウチの国の馬鹿もシルヴィの所の馬鹿もみんな馬鹿だよ」
「うわぁ……」
「……」
「……」
「……」
「……というかそんな馬鹿同時期に二人も居たんですね」
「居たんだよねこれが……」
どうなってるんだろうこの世界この時代の王族の方々。
……どんな教育受けたんだろう。
前の王様は普通に尊敬できる人だと思ったけど、多分息子さんの教育は色々ミスってたんだろうなぁ。
私はため息を吐きながら言う。
「よくさ、二度ある事は三度あるって言うじゃん。もしかするともう一人位同じ境遇で追放された聖女がこの辺うろついてるかもしれないよ」
「ははは、まさかぁ……だとしたら完全に聖女追放ブームじゃないですか」
「いや、本当に聖女追放ブームって奴かもしれねえぜ?」
「「……え?」」
私とシルヴィの冗談に突然割って入って来た男口調の女性の声の方に視線を向ける。
そこに居たのは、近くのテーブルを拭いていたボーイッシュな感じのウェイトレスさん。
……ま、まさか……。
「まさかこんな所で同じ目にあってる仲間がいるとは。実は俺もこの前まで聖女やってたんだ」
せ、聖女追放ブーム来ちゃってるじゃん……。
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