7 王族、馬鹿しかいない

「な、なんで追放なんかされちゃったの!?」


「お、お姉さんこそなんで……」


「……」


「……」


「とりあえずどこかでゆっくり話さない? 私達ならお互いの話にある程度共感できそうだし」


 私も色々愚痴りたかったし、この子の話も聞いてあげたかった。


「そ、そうですね。丁度いい時間ですし晩御飯でも食べながらどうですか?」


「それいいね。じゃあそうしよう……あ、ところであなたの名前は?」


「シルヴィです。お姉さんは?」


「私はアンナ。よろしくね」


「はい、よろしくお願いします」


 そんなやり取りを交わしてギルドを出た私達は、近くのお店に入ったのだった。





「で、やった覚えのないミスを一杯突き付けられてクビになっちゃった訳ね」


「はい……本当に身に覚えがなくて。あ、でも覚えてないだけで何かやっちゃってたかもしれないし……」


 近くの店でパスタを食べながら聞いたシルヴィの話によると、どうやら私と同じように身に覚えの無いようなミスを突き付けられるという不当な解任と追放を喰らったらしい。


「うん、私結構ドジだから、本当に何かやってたかもしれない……うん、きっとそうですよ」


「いやいやいや、追放されるような事を身に覚えもなくやってるってのは流石に無いと思うよ」


「そ、そうですよね……そうだといいなぁ」


 ……多分、シルヴィは自分に自信が無い。

 それが今回追放する為に色々と言われちゃって輪にかけて酷くなったみたいな、そんな感じがする。

 多分私とギルドで会った時の反応は、本当に自分が何かをしてしまったんじゃないかとでも思っていたのだろう。

 ……なんか凄い気の毒。


 ……それにしてもシルヴィの居た国はどうしてシルヴィを追放しようと思ったのだろう。

 シルヴィが居ると都合が悪い事があった。

 ……私の時みたいに。

 流石にあんな馬鹿二人もいないだろうけど。


 ……いないよね?

 でも少なくとも一人は居たからなぁ。


「ねえシルヴィ。ちなみに聞きたいんだけど、シルヴィの代わりってちゃんと用意されたんだよね。流石に代わりの聖女もいないのに追い出したりはしないだろうし」


「あ、はい居ましたね。なんだか最近王子様と仲良くしてる人みたいで。えーっと、すっごい美人で、大人っぽくて……えーっと、その……ちょっとエッチな感じでした」


「二人目の馬鹿いたぁ!」


 何王族馬鹿しかいないの!?

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