私。
千島令法
私
仕事終わり、今日はカレーでも作ろうかと思いながら、いつものように
ガチャ。
「おかえり」
と、声がした。一人暮らしをしているはずなのに、誰かの声がした。
すると、そこには私がいた。
……。
完全に
「お疲れ様」
私は何も発していないはずなのに、私の声がする。
しかし、目の前にいる私ではない。
目の前にいる私のさらに奥にいるもう一人の私が顔を
「おいおいおい……」
たまらず
「おや、帰ってきたの?」
また別の私だ。
「……ふっ」
思わず、笑いがこみあげてくる。人は
「お帰り! カレー出来てるよ」
また別の私。
「おいおい! 一体何人いるんだよ!」
「えっと……」
目の前にいる私が、私に背を向けて、私を数え始めた。
「いち、に、さん、よん、ご、ろく、なな」
そこまで数えた目の前の私は、私へ向きなおす。
「七人だね。君も合わせると、八人」
ワンルームの
もう思考が追い付かない。なぜ、こんなに私がいるのだ。
「おい! どうなってるんだ?」
「なんでだろうね」
「分からないね」
「どうしてだろう」
私ではない私と顔を合わせて、各々が会話をしている。
「そんなことより、ご飯食べよ」
「そうだね、ご飯にしよう」
目の前の私がそう言いながら、私の
そのまま
自室には、また別の三人の私がいた。
私。 千島令法 @RyobuChijima
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