第31話 お金問題その後

 色々あって(詳しくは私という人間をご覧ください)私は二度と帰らないと思っていた実家に帰った。


 いきなり飛び出してきた私の清算金や再就職後の初給料までのお金を、ターロの弟さんが出してくれた。


 それだけじゃなく、何十年も働いた事の無かったターロが仕事に行き始めたのだ。


 私のためだった。


 ボロボロになって帰ってきた私の代わりに、家にお金を入れるためにターロは働き始めた。

 それまでいくら母がお金を要求しても働かなかったのに。


 それが母には気に食わないかと思いきや、お金さえもらえれば問題無いようで、それに対する当たりは無かった。


 私もすぐに就職した。

 そしてまたまたお金を母が牛耳る事になる。


 けれど今度は文句も言えなかったし、私もそれで仕方が無いと思った。


 突然の出戻りで、かなり迷惑をかけたからだ。


 今度は五万円ものお小遣いはもらえなかった。

 二万円と、たまにターロからこっそりお小遣いをもらう、そういう生活になったのだ。

 お給料も昔より8万くらい少なかったしね。納得せざるおえなかった。



 とはいえ、この家にはその時もS兄ちゃんが住んでいたのだ。

 どうやら、離婚した後に一人暮らしをしていても家賃も食事も大変なので、ならばうちは部屋も余っているしという事できたらしい。


 母はもちろん、私が戻ってきてもそのままS兄ちゃんからも食費をもらっていた。食費には多い金額を。


 けれどS兄ちゃんがいてくれた事で、母の相手はS兄ちゃんに引き受けてもらう事が出来た。

 話し相手になったり、一緒にテレビを見たり、そういう事はS兄ちゃんがしてくれるので私は自由に出来た。


 そのおかげで、実家にいながらも母と私の距離は少し離れて保たれていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る