第48話 発令
同刻――。
謁見の間で開かれていた作戦会議はブラッドの参加で話が一気に現実味を帯びていた。
ファイント帝国軍はサウザント渓谷を越えジュノの目と鼻の先で野営をかまえていた。
そんなファイント帝国に対して、ブラッドは挟撃作戦を提案した。
ブラッドは秘境アナルタシアの魔物と繋がりがある。
ブラッドはタオ老師に話を付けて、知能が高いワイバーン族に助力を頼み、サウザント渓谷の後方まで部隊を運んでもらう。その後は、王宮騎士団と戦っているファイント帝国軍に対して後方から奇襲をしかける作戦を立案していた。
実際のワイバーン族が協力して部隊を送り込んだとしても人嫌いな種族のため、三十人も挟撃に回せられれば上々の交渉だとブラッドは語った。
最初は「魔物と一緒に戦うなど騎士道に背く非道だ!」と王宮騎士団長と一応の実力者「八双のジュウゴ」が猛反対をしていた。
だが、ブラッドが半分怒りながら「代案を出して見せろ!」と強めに話すと即座に黙り込んで「異議なし」と掌を返した。ブラッドは王宮騎士団の実力は相応に認めてはいた。だが、「頭の悪さは相当なものだ」と見解を改めた。
アガーテがブラッドの立案した作戦を採用し作戦名「帝国(エンパイアー)の(・)落日(ダウン)」と名付け発動を命じた。
レックスたちレジスタンス構成員がブラッドと共に奇襲役を受け持つ話になっていた。
ブラッドはレックスに「秘境に向かって話しを付けた後、合流する」と語った後、謁見の間を去ろうとした。
その時、アガーテがブラッドを呼び止めた。
「なんだよ? まだ、俺に何かをしろっていうのか?」
「ブラッドは約束を忘れた酷い奴とは違うと考えているけど? 僕は私室で休ませてもらう。ブラッドも僕の部屋においでよ」
ブラッドは面倒臭そうに「パス」と言いかけた。
するとアガーテが微笑みながら眉間に血管を浮かばせては「来るよね?」と念を押した。
ブラッドは次期王の申し出をないがしろにする不埒者と全員に睨まれている周りを確認すると「ヤレヤレ」と肩を落とすと「直ぐに向かう」と返答した。
アガーテは「それでは、全員任務にかかれ!」と命を下した。
全員が敬礼する中、ブラッドだけが髪をかきむしっては面倒臭そうに返事をした。
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