第37話 結末
「ブー君、ここで全ての決着をつけよう!」
ヴァンの言葉にブラッドは威勢良く答えた。
だが、ブラッドとヴァンの身体に異変が起きた。
自由に動いていた身体の自由が利かなくなった。
意識はある。
身体の感覚だけが痺れて動けない状態にブラッドとヴァンは陥っていた。
ファニアは満足そうに二人の異変をみては丁寧に説明をしてくれた。
「テメェらのように超人的な化け物を一人で二人を相手にするのは愚かな考えだからなぁ! 錬金術で作り出したアナルタシアに住む狂暴な魔豹も動けなくする痺れ薬の味はどうだぁ? 即効性があり長時間続く優れものだぁ!」
ブラッドは言葉もロクに話せない状態に陥りながらも眼には闘志を燃やしてフェニアとホライゾンを睨みつけていた。
ヴァンも必死に麻痺の身体を動かそうとするが立っているのがやっとの状態だった。
二人に対して圧倒的優位にたったフェニアは二人に近づくと暴力を振るい始めた。
「俺様のビシネスを邪魔する奴は大嫌いだ! だがな、弱い者をなぶるのを俺様は至極好きなんだぁ! こんな風に踏みつけて、殴って、蹂躙すると気持ちが晴々するんだよぉ!」
ブラッドは顔面に強烈な右掌底を叩きこまれて、赤色の絨毯上に派手に転がった。
ヴァンも右脇腹に強烈な蹴りを叩きこまれて、謁見の間の床に力なく倒れた。
フェニアはヴァンよりもブラッドを集中的に痛めつけた。
「特にブラッドよぉ。テメェは大きな貸しがあったなぁ。アイサット王宮での不様な退きかた……。あれはつまらなかったぁ。つまらなかったんだよぉ!」
ブラッドの鳩尾をフェニアは何度も踏みつけた。
フェニアはブラッドが不死の身体なのを知っていた。
その上で、「コイツは幾ら殺しても復活する」と考えて容赦のない攻撃を放っていた。
ブラッドは人体の急所、鳩尾を強烈な力で踏みつけられて口から吐血した。
フェニアはブラッドの血を吐く姿を見て歓喜の声をあげた。
「皇帝さん、見ろよ! どんなに不死身でも、痛みを感じる所はかわらねぇんだよ! こんな奴、ぐちゃぐちゃに尋問して、さっさとレジスタンスの居場所を吐かせば、次の研究課題に取り組めるぜ!」
フェニアは盛大に腹を抱えて笑うとホライゾンに提案した。
「そうだ、コイツ等の処刑を公衆の前で行うってのはどうだぁ? そうすれば、心の優しいレジスタンスは勝手に助けに来る。そこを人間爆弾でドッカーン――。最高の結末だぁ!」
ホライゾンはフェニアの提案を聞いて、「それも悪くない」と答えると最奥にある玉座に座って命令した。
「フェニア君、貴様には二人の処置を任せる。しっかり錬金工房と機械工房と話をした上で情報を採ってくれ。くれぐれも逃がすことがないように……な」
「テメェは俺様を信用してねぇなぁ。ここはじっくり研究させてもらうぜ」
最低の笑い声が謁見の間に響いた。
ブラッドとヴァンは二人共「悔しい!」と腹の底から感じていた。
一瞬の隙を突かれ、痴態を晒した二人は帝国城に捕らわれる身となった。
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