オブジェ注文
雪祭りのホームページを見ていると、一つ気になるものを見つけた。
それは、お金を払えば雪や氷で好きなデザインを作ってもらい、展示してもらえるというものだった。
値段はデザインやサイズによって大きく変わるらしい。
こういう時は梨央奈先輩だ!
早速梨央奈先輩に電話をかけた。
「もしもし」
「もしもし蓮くん?」
あ......そういえば、梨央奈先輩は今打ち上げ中だ!
「ま、また後でかけます!」
焦って電話を切ったが、すぐに折り返しの電話がきた。
「蓮くーん?」
「今打ち上げ中ですよね」
「外に出たよ!」
「よかったです!」
「どうしたの?蓮くんから電話なんて、なにかあったんでしょ?」
最初に、結愛先輩に聞いたことを説明した。
「家庭の事情は知ってたけど......」
「それで、雫先輩に怒られてでも乃愛先輩を連れて行きたいんですよ。梨央奈先輩も協力してくれませんか?」
「他のみんなにも協力してもらうの?」
「はい、その日だけはみんなで雫先輩に逆らおうかと思って」
「全員で逆らっても、雫には敵わないと思うよ?」
「それでもです!」
「まぁ、協力してあげるけど」
「本当ですか⁉︎」
「うん!蓮くんの頼みだもんね!それで?私はなにをしたらいい?」
「えっと......お金を......」
「うわ〜、私は蓮くんの金づるじゃないんだよ?」
「ですよね.......」
「冗談だよ。乃愛の為なんでしょ?」
「はい。乃愛先輩もですけど、結愛先輩もです。二人にとって、冬が本当の意味で好きな季節になってほしんです」
「それじゃ、お金の使い道を教えて」
雪や氷でオブジェを作ってもらえることを説明した。
「まだデザインも決まってないので値段は決まってないんですけど、なんか二人が喜んでくれてるオブジェを作りたいなって」
「いいんじゃない?それいつまでに申し込むとか書いてない?」
「今確認します!」
携帯でもう一度確認すると、今日の18時までで受け付け終了だった。
「今日の18時までです!どうしましょう!」
「まだ時間あるし、頑張って考えて!」
「わ、分かりました。一回切りますね」
「うん!千華には私から協力してもらえるように言っておくね」
「ありがとうございます!」
電話を切り、頭をフル回転させてデザインを考えた。
家族愛をイメージしたものにしたいけど......なにも浮かばな〜い‼︎......そうだ!
僕は結愛先輩に電話をして、家族の思い出の品とかがないか聞くことにした。
「もしもし!」
「はーい」
「なにか、家族の思い出の品とかありませんか?」
「思い出の品?写真とか?」
「写真以外でありませんか?」
「あるとすれば掛け時計かな」
「掛け時計ですか?」
「そう。お母さんの誕生日に乃愛とお父さんと一緒に買ったの」
「その時計の写真送ってください!」
「分かった。切るね」
そして、すぐに写真は送られてきた。
掛け時計のデザインは、真四角で数字の部分は全て数字ではなく、ピンクの花になっていた。
「よし、これを作ってもらおう」
早速、雪祭りのお問い合わせ先に写真を送り、見積もりを出してもらうことにした。
しばらくしてメールが届き、注意書きに、色はつけられませんと書いてあり、肝心の値段は、雪だと高さ1メートルで8万円、3メートルで13万円。氷だと1メートル15万円、3メートル25万円と書いてあった。
「こんなにするのか......」
雪と氷で値段が違いすぎるけど、花びらとか繊細な部分が多いし、絶対氷の方が綺麗だよな......
梨央奈先輩は何かとお金を払ってくれるし、勢いでお願いして、OKもらえたら少しずつ返そうかな。
悩んでいると、梨央奈先輩の方から電話がかかってきた。
「はい、もしもし」
「デザイン決まった?」
「決まったんですけど、約25万円かかるらしくて......」
「私が全額払ったら、蓮くんは私になにをしてくれる?」
「払ってくれたら、少しずつ返そうと思ってます」
「いつ返す?」
「出世払いでなんとか......」
「冗談冗談!返さなくていいから、その代わり絶対二人を喜ばせてね」
「は、はい!」
電話を切って25万円でオブジェを注文した。
返さなくていいのは助かるけど、なにかお返しはしなきゃな。
そして雪祭り当日、想像していた通り雪が積もり、最高の雪祭り日和になった。
今日は午前授業で、全ての授業が終わって生徒会室に行くと、乃愛先輩は暗い表情をして元気のゲの字も感じられなかった。
「さて、雪祭りはこの学校の生徒も行く人が多いわ。夏祭りよりは小さな祭りだから、全員見回りしつつ楽しんでちょうだい。13時半には会場で各自見回りしているように。解散」
生徒会室を出ると、結愛先輩は不安そうに僕を見つめてきた。
その時瑠奈が雪祭りのパンフレットを持って駆け寄ってきた。
「蓮!雪祭りって今日らしいよ!」
「う、うん。そうだね」
「この後暇でしょ?行こ!」
「少し用事あるから、先に行っててくれる?」
「分かった!早くしてね!」
それを聞いて乃愛先輩はますます元気がなくなってしまったが、それも今だけ!
予め二人の家の住所は聞いてあって、僕は千華先輩が用事したサンタクロースのコスプレをして迎えに行くことになっている。
かなり恥ずかしいけど、喜んでくれたらいいな。
その頃、梨央奈は生徒会室に残る雫と話していた。
「とっくの前に気付いてるくせに、なんで言わないの?」
「言えば貴方達はやめるかしら」
「どうだろうね。さて、私も罰を受ける覚悟で行ってきまーす」
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