第44話 パート エイト 近づく終わり
目がようやく覚めた。今は、そうだった、ジムニーの倒された助手席で寝ている。飯田達は、どうなったんだろう...最上から逃げられたならいいが...
頭を上げると、東が口を開けてこっちを見るが、何も言わずに前をまた見る。トンネルに入った。決まった配置に置かれている点灯は、ゆらりと車の上を光らせる。車内には疲れが充満し、すごく落ち着いてきた。後ろを振り返ってみるが、やっぱり誰もいない。頭痛が軽く脳を通り過ぎた。道路を共有する車は少なく、エンジンが発する一定の振動は睡眠薬と同様だった。ずっとこれが続けばいいのに。
しばらくすると田舎の古い家が点々と出現してきた。山もあたりを囲んでおり、セミの鳴き声が下の住民などに気にかけなく降り注いでいた。
「とりあえず、なんか、どっかに停めるわ」
東が眠気を隠さずに言った。あたりを眺めた後、人がいなさそうな家を探し、その横で車を停めた。長年放置されてそうな家の周りには草が高く伸びており、窓の一つが割れていた。エンジンを切った後すぐに寝てしまった東をいったん車に置いとき、家の中を調べに入った。
ほこりが身動き一つ一つを敏感に察知し、逃げるように私の周りを囲む。シャツの襟を高く上げて口を覆う。家の中は以外と広く、所々にリフォームの形跡があった。奥にあるドアを開けると、階段が下へと続いている。壮大の地下も建設の途中で、至る所に狭い路地裏みたいな通路があったが、さすがにその中には入りたくない。水たまりもあり、地面から突き刺す折れた鉄の棒をスマホのライトで照らした。地下を出た後は和室に入り、窓を開けてはため息をついて壁を背に座った。ボーっとしている内に、時間の流れる感覚が曖昧になり、日がくれる時が近くなっていた。窓に向かうと車が数台向かってくる音がした。
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