第7話 犬神伝説
斗真君達が学校へ行くのをお散歩トレーニングがてら玄関まで見送って部屋に戻った直後…
『緊急事態発生です。転送しますので後は、宜しくお願いします。助けになってあげてください!』
突然犬神の声が聞こえて景色が変わると、お婆さんが倒れていて黒のラブラドールが必死に前足で揺すりながら必死に呼び掛けていました。
『ハル、起きてよ💦』
『いったいどおしたの?』
『ハルが入れ物の中身食べたら、急に倒れて呼んでも起きないんだ💦』
近くに転がっていた瓶を見ると、何かの錠剤がありました。
『大変、お薬飲みすぎちゃったみたいね。医者が必要だわ💦』
電話を探して辺りを見回していると…
『お医者さんなら近くのお家にいるよ!』
『私が運ぶから案内出来る?』
『案内なら任せとけ!』
愛梨はがっちり体型の女アスリートに変身して、お婆さんを抱えました。
ラブラドールの案内で3軒隣のお家まで運びました。犬の騒ぐ声が聴こえるので、丁度住人の方も見に来たみたいです。
『バウバウ』(ここがお医者さんの家だよ。速く来て!)
『ラブ君じゃないか、ハルさんが見当たらんね。』
『ドクター、お婆さんが薬のみすぎて意識ないみたいなんです。』
『それは、大変だ。こちらへどうぞ!』
持ってきた薬品を確認して適切な処置が行われました。
『貴方が運んでくれたお陰でハルさん助かったばい。ここいらで見たことないけど、どうして気がついたんだい?』
ドクターから、アイスのブラックモンブランが渡されました。
『ありがとうございます♪それは、あの黒のラブラドールがお婆さんが危ない事を知らせてくれた様なものです。』
『へえ、ラブ君がねえ、まるで、犬の遣い伝説そのものばい。』
『犬の遣い伝説ですか?』
昔々、在るところに犬1匹と男が森の中に暮らしていました。ある日、男は、仕事から帰ってきたとたんに倒れてしまいました。犬は、自分はどうなってもいいから、男を助けたい一心で願うと身体が変化して、青年の人間に成っていました。その身体を使い布団に男を寝かせ、部屋を暖かくするとお金を持って医者を呼びに麓の村まで向かいました。
そして、無事に医者を呼んでくる事が出来ました。いつも主人がしていた事を思い浮かべながら人間の生活をしていました。数日後、無事に主人が回復し、起き上がった姿を見届けると、青年の姿から、元の柴犬の姿に戻り、半刻ほどすると息を引き取ってしまいました。悲しみにくれていると、都に自分の弟子が医者をしているから行ってみないかと提案がありました。
男は、愛犬がくれた命だと感謝して、本格的に療養する為に都にいる娘夫婦の世話になる事にしました。すると、ほとんど使わずに貯めていてお金を持っていたせいで、盗賊に狙われたそうです。そのもの達は、とても奇妙な死に方をしました。爪で引き裂かれた跡や牙で肉をえぐりとった見るも無惨な死体に成ってしまいました。男は、愛犬が助けてくれたんだと言い張ったが、信じる者は誰もいなかった。無事に病が回復すると大工を大勢集めて自らが設計した犬鳴神社を建てて、その完成を見届けると亡くなったそうです。
(ブラックモンブラン、ザクザクの食感で美味しかったわ♡)
『飼い主を守るのがルーツだったんですね。初めて知りました。』
『おや、犬神伝説、全く知らんかったとね?』
『知っているのは、甦り伝説と愛犬家か犬に悪いことしたものには、いずれ制裁が下されると言う事だけです。』
『生き返り伝説は、治療法が確立していない中、奇跡的な回復をして男が助かった所からきとると言われとるんよ。』
『そうなんですね。アイス、ご馳走さまでした。そろそろお暇しますね。』
『はーい』
家を出るとラブ君が玄関先でフセをして待っていました。
『ねえ、ハルは、大丈夫だったあ?』
『ええ、目を覚まして起きれるまで回復を待っている状態よ。』
『そっかあ、良かった。僕のお願い叶えにきてくれてありがとう♪』
立ち上がって顔回りをペロペロされました。
『くすぐったいわ、私はもう戻るわね』
『うん、僕は、怒られないならここでハルが来るのを待っていたいけど良いかな?』
『ちょっと聴いてみるね。』
『ドクター、すいません、ラブ君が玄関先でお婆さんを待っているみたいですけど、ここにいても大丈夫でしょうか?』
『ラブ君、ここにいて良いばい。ここいらは、犬好きな人が多いし、悪そせん良い子やしね。』
『良かったね、ラブ君♪』
『良かった、ハルをここで待ってていんだね♪』
元の場所に戻るとまた、枕をボロボロにしていたが、おしっこはトイレマットの上にちゃんとしていました。犬神が来ていました。
『緊急指令対処、ご苦労様です。』
『びっくりしたわ。突然、景色が変わると、お婆さんが倒れているんだもの💦』
『ラブ君からのお願いで、ハルさんを助けて欲しいとの強い思いをキャッチしたので、丁度、手が空いていた貴方を転送させてもらいました。』
『お婆さん助かったみたいで良かったけど、伝説通りならラブ君は、このまま死んじゃうの?』
『いいえ、ラブ君は、死にませんよ!実際は、強い思いが私に届いて貴方が派遣されただけです。』
『そうなの、一安心だわ♪犬神そのものが彼の愛犬だったって事でしょ?』
『さあ、神になる前の記憶は在りませんので、彼の愛犬であったかは、不明です。』
『そうなのね。ポイントは、付くのよね?』
『ええ、ポイントは、14ポイント付きますよ。引き続き、頑張って下さいね。』
『現在、40ポイントかぁ、まだまだ、道のりは長いわね💧』
また、枕が破壊されている事に気が付き、次の枕は来ず、変わりに色んな素材の玩具が置かれました。
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