第4話 初めての予防注射

 はぁ、私がこの家に来て1週間経ったけどつい、ママやバスケ部の様子が気になってしまい精神力を使い果たしてしまったわ。そのせいで、困っている人を見つけ出す事は出来なかったわ💧探索時間も少しずつ増えてきたし、今日こそ探し出すわよ!


『チョコちゃん、さぁ病院に行こうね♪』

『キャン』(嫌よ、行きたくない!)

 塩顔の執事の腕をすり抜けて逃げました。

『今は遊びに来たんじゃないよ。さあ、おいでチョコちゃん、予防注射に行くよ!』

『アヴー』(注射大嫌い!) 

『おーい寧々ねね大輝だいき、犬をゲージにいれるの手伝ってくれ!』 

『全く、何のために犬と遊ばせたのか、分からないじゃない💢』 

『全く、何でいまだに懐かれてないんだ、黒田💢』

『すまない、言葉が理解出来るのか、病院行くぞと言ったらこの様で💦』

『わふっ』(私は女子高生よ。言葉を理解していて、注射は嫌いだから逃げるのよ!)


 逃げ回るが、執事とメイドが呼ばれて3人に追い詰められて捕まってしまい、ゲージに入れられてしまいました。そのまま、車で犬山動物病院に到着しました。眼鏡を掛けた薄らハゲが、にやけた顔をして注射を持って近付いて来ます。

『金城チョコちゃん、さぁ直ぐ終わるし、全然痛くないからね。』

『キャン、キャン』(嫌よ、こないで…)

『ギャン』(痛い!!)

『はいっ、頑張ったね。次は約1ヶ月後です。』

『アヴー』(1ヶ月後にまた注射、冗談じゃないわ💦)

ゲージの中に戻されていつもの部屋で下ろされました。

『頑張ったね、ご褒美のおやつだよ。』

『わふっ』(おやつは有りがたく貰っとくわ♪)


 さてと、黒田さんも出ていったから困っている人って念じてみましょう。お婆さんが荷物を沢山抱えながら階段を登っているわ!

成る程、エレベーターが点検中で使えないのね。このお婆さんを手伝うわよ。

『どんな姿になりますか?』

『そうね、力がありそうな男の人がいいわ。』

『お手伝いをしている間だけ、その姿を維持できます。』


『おっと、お兄さんすまないね、道をふさいじゃって邪魔でしょう?』

 (えっ、お婆さんには、そう見えてるのね。お兄さんって私の事らしいわね。)

『いいえ、良かったらお手伝いしましょうか?』

『良いのかい?』

『はい、エレベーターが点検中でこれだけの荷物、大変でしょう?』

『では、一番上の5階にある一番左の部屋までお願いします。扉は開いているので玄関に置いて下さい。』

『了解しました。』

 

 大量の荷物を持って階段を登って行きました。お婆さんの言った通り荷物を置くと、お手洗いから出てきたお爺さんと鉢合わせしてしまいました。

『誰じゃ、荷物を置く場所間違っとらんか?』

『いいえ、階段で立ち往生していた、お婆さんのお手伝いをしています。荷物は、こちらへ置いてくれとお願いされました。今から連れてきますね。』


 誰も居なかったので自分の体をよく確かめてみると凄く筋肉質で、男の人の体付きに成っていました。

お婆さんを探しに戻ると2階までしか上がっていませんでした。お婆さんを背負って連れて戻ると、荷物が外に出されて鍵が掛けられていました。


『すまないね、あの頑固爺い💢』

『家に運び入れるの手伝ってくれるかい?』

『了解しました。』

扉の鍵が開けられて居間で荷物を卸しました。

『さっきの男じゃないか、なぜまた居るんじゃ💦』

『私がお願いしたんだよ!話を聞かなかったのかい、このバカたれが💢』

『婆さんが、階段で立ち往生していると大嘘をついとたんじゃあ💦』

『本当のことだよ、エレベーターの点検が入る事を忘れて色々買い込んでしまったからね。』

『わしゃあ、自分家の荷物を外に捨てるバカをやらかしたのか、すまんかった💧』

『いいえ、こちらの説明が悪かったのかも知れないので💦』


『2往復もして喉が渇いたろう、お礼にお茶と饅頭食べてお行きよ。』

『お言葉に甘えて、頂きます。』

(1週間ぶりにお茶が飲めて、白玉饅頭が食べれたわ♪やっぱり、人間の食べ物のは味が色々あって美味しいわ♪)

『ご馳走さまでした。では、お暇します。』

『婆さんを助けてくれてありがとうな。』

『はい、お邪魔しました。』


 このまま、マンションから出ようとしていたが、人気が無くなると部屋に戻っていました。さっきは、声だけ聞こえた犬神が目の前にいます。


『初、お手伝いお疲れ様でした。先程のようになりたい自分を構成するワードを述べると、イメージが構成されて他人から認識されるようになります。』

『お手伝いが終わると強制敵に戻されるの?』

『いいえ、今日はもう精神力を使いきっています。最初なので補助説明をしているのです。』

『もし、力が残っていたら、肉体のまま探索出来たの?』

『一度、お手伝いが終わって、まわりに誰も居なかったので浮游霊状態に戻りました。人間が忽然と消えたと大騒ぎになってしまうのは、何かと面倒です。』

『そうなの、残念だわ…』

『今回、困っている人と念じて居合わせられたのは、とても運が良かったですね。』

『ちょっと、困っている人で念じると、いつでも出てくるわけじゃないの?』

『ええ、1週間以内に行った建物から半径0.5㎞以内しか反応しません!』

『短いわ!!』


『現在、13ポイントです。引き続き、頑張って下さいね』

『やった、3ポイント増えているわ♪』






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