他編 奮イタツ色ノ移リユキ
17歳
月ノ都学園生徒会長、その実力は生徒会内でも頭一つ飛び抜けており
妖刀
16歳
生徒会役員の一人。
役職は第二学年生徒内風紀監査と会長補佐を兼任している
最近生徒会入りしたが役職柄よく
役表
※ナレーションを3人目にするのも可です
その場合はナレーションのみの担当でお願いします
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血桜ハ還リ咲ク 零章
「 奮イタツ色ノ移リユキ」
学園で起きた無差別殺傷事件
数十名の生徒が死亡したこの件は同好会事件と呼ばれ、世間に大きく報道された。
数日後、生徒会が調査にあたっていたが
その最中、生徒会長
生徒会役員を襲う事件が発生。
生徒会副会長の
ここで事件は終息したかに思われた。
しかしその後、再度調査を行った際に再び生徒会内での事件が発生。
同好会事件の真犯人が生徒会内に現れ、生徒に襲撃を開始する。
その容疑者は同じく
だがそれにより、
それから数か月を要し、新生徒会長となった
在学生徒の管理方法を提案し、それが承認される事となる。
「えっと……それ以来の事件発生や兆候は確認できていないことを踏まえて
再発防止策に一定の効果あり……と」
「
「あ…か、会長!
はい…わかりました!
もうこんな時間なのに……まだ全然終わってない」
それ以来、
だが、今までやったことのない作業であったため、苦戦を強いられていたのだ。
「ダメだなぁ…これじゃ私全然ダメだ……」
「外の風にでも当たってこようかな」
コーヒーを自販機で買い、屋上へと
扉を開けると、ベンチの横に
「か、会長!お疲れ様です!!」
「お疲れ様です
………そんなところで立っていないで気にせず座ってください」
「で、でも…会長が先にいたので」
「お気になさらず
まだ足が痛むのでしょう?
遠慮せずにどうぞ」
「で、では失礼します」
席に着くと、沈黙の時間が訪れる。
耐えきれずに
「そ、その…会長はよく屋上にいらっしゃるんですか?」
「今日は気まぐれです」
「そ、そうなんですね……
その…なんていうか、意外でした
会長はすごく…きっちりしているというか…何事も徹底している印象だったので」
「そうですか?」
「すみません、急に意外だなんて…」
「いえ、お気になさらず」
「会長……その
「えぇ、想定外の事件でしたね」
「私はどちらも実務内容が違っていたのであまり話す機会はなかったのですが
会長はあの二人をどう思っていたんですか?」
「
ただ、それとこれとは別です
あのような事件を起こす者たちにかける恩情はありません」
「そう…なんですね
そういえば
一体どこに行ったのでしょう?」
「おそらくは
ただ捕らえられたとは思えない
もしかしたら既に組織に入っており、今も裏で動いているかもしれません」
「もし、またここを襲撃をしてきたら…私たちはどうすればいいんでしょうか?」
「確かに、その可能性は十分にありますね
その中でいずれは
ですが、その時は私が迷うことなく斬ります
今は私は生徒会長としてこの学園を護らなければなりません」
「あの……実は私、とても怖いんです
急にこんな事ばかり続いて…何か悪い事が起こる前触れのようで」
「その予感は正しいかもしれません
闇の手が迫ってきていて
それはすぐ近くまで来ているのかもしれません」
「闇の手……もしそうなったら私たちはどうすればいいんでしょうか?」
「その時は私が全て斬り伏せます
この学園を脅かす存在は…一つ残らず殲滅してみせます」
「会長は…本当にすごいです
それに比べて私は何もできない…」
「……休憩時間が終わりますね
では、失礼します」
「…………会長
私はなんでこんなに何もできないんだろう…
復帰してもう1週間が経つのにまだ何も挽回できてない…」
切られた足を見る。
現在は繋がっており、神経も戻ってきている。
完全に馴染むまでは激しい運動はせず日常を過ごしつつ身体を慣らしていく方法を取っていた。
「こんな…失態を犯して……なんでこんな弱い私が…生徒会に入れたんだろう」
それから2週間が経ち、軽い演習に耐えられるほどまで足が回復してきた。
彼女は早朝に演習スペースを借りて武器を振るっていた。
「はぁああっつ!でぃっ!!せいっ!!!」
呼吸を整えながら再び武器を構えた。
「はぁっ…はぁっ……まだまだっ!」
「こんな朝早くから修練とは精が出ますね」
「か、か、会長っ!?お、おはようございます!!」
「おはようございます
足はもう痛みませんか?」
「は、はい!もう大丈夫です!
それより会長、もう起きていたんですね」
「少し気になることがあって起きていました」
「気になる事?」
「大した事ではないのでお気になさらず
それよりも宜しければ私も修練お手伝いしますよ」
「え?会長がですか!!?
で、ですが私では相手になりませんよ!!」
「
私は防御のみに専念します
ですので遠慮せず私に攻撃を仕掛けてきてください」
「で、ですが会長を攻撃するなんて…」
「前会長の
過去の生徒会長もやっていたとの事なので伝統は受け継ぎたいんですよ」
「そうなんですね…ではお願いします」
「それでは…行きます!!」
「遠慮せずに来てください」
「はぁぁぁっつ!!でぃっ!!!
どりゃああつ!!はぁぁあっ!!!」
「‥‥‥‥」
「はぁっ……はぁっ!!
なんて固い構え…硬い壁でも打ち付けてるみたい……」
「大丈夫ですか?無理はなさらないように――――」
「まだ大丈夫です!!行きます…!!」
「いつでもどうぞ」
「はぁぁぁぁあっつ!!!」
踏み込んだ強い一撃も完全に弾かれてしまう。
どれだけの攻撃を浴びせても全てを完璧に受け止められてその威力を相殺される。
「会長っ……ここまで強いなんて……
実際に戦ってみたらわかりました
会長と私にはすごい差があります…
会長はどうやってここまでの強さを手に入れられたんですか?」
「その質問は少々答えづらいですね
私もどうやってと言われても正直わかっていません
ある日、修練を行っていた際に全てがクリアになった感覚がありました
その時に相手の行動、視線、思惑そしてその軌跡が視えるようになりました
その感覚を忘れぬように鍛錬を行っていたらそれを身に着けることができました」
「すべてがクリアに?
それはどんな感覚なんですか?あまり想像もできなくて」
「そうですね
正確に言えば、何かを考えていたわけではありません
全ての情報が完璧な形で頭に入ってきたんです
後に知ったのですがそれを【極地】と一部の人間は呼ぶそうです」
「【極地】……!!それはどうしたら習得できるんですか!?
私もそれができたら…きっと会長の足を引っ張ることもなくなる!」
「人づてで聞いただけですがそれを習得している者はこの世にも数少ないそうです
剛鬼と呼ばれた防衛隊の英雄や
それらの人物は全て名の知れた者ばかりですが
その中でも完成するのは難しいとされています
私の使う
常日頃から解くことを許されぬ絶技
それは簡単な事ではありません
精神状態を常に保たねばならない為、再現性が低く持続性も薄い
私は偶然にもそれが可能でしたが
彼にも難しいとなると出来る人間はあまりに少ないでしょう」
「そうなんですか……私には出来ないものでしょうか?」
「それは私にもわかりません
ですが、可能性は誰しも持っていると私は思います
どんな人間でも強くなれると」
「…意外です
会長はあまりに雲の上の存在だと思っていました
そんな考えを持っているなんて知りませんでした」
「あまり心情を話す機会もないですから
誤解されるのも仕方がありませんね」
「私は…会長に追いつきたいと思っていました
でも今のを聞いて、自信を失いました…
私には無理な話だったんです!
会長と同じぐらい強くなるなんて…
こんな無能な私じゃ出来ない話だったんですよ!」
「そこまで卑下するものではありませんよ
私は
「そう…なんでしょうか……
でも私が凄いところなんて…ないんですよ」
「……あまり思い詰めてはいけませんよ
同じことを思った人物が二人います
1人は自身の実力に悩み、妖刀の魔力に溺れてしました
もう1人は優秀がゆえに自身の部下との差に恐れてしまい
妖刀の魔力に手を出してしまいました
前者は結果、命を落とし
後者は堕ちるところまで堕ちてしまいました
どちらも私は良い結果だったとは思えません」
「で、ですが…!!私はこうして生徒会役員に選ばれたからには
使命を果たしたいんです!!
会長のように…完璧だったら私はどれだけよかったか…!!」
「…私も完璧ではありません
得意不得意があります」
「そんな…会長が?」
「えぇ、そうです
私は会長の身体を気に掛けるあまり
会長の考えていたことまで読めませんでした
もしかしたら気づくこともできたかもしれません」
「
でも…それは私たち役員もそうです
会長だけの責任ではありません…!」
「それに同好会事件も同好会の結成を承認したのは私です
未然に防ぐことができるとすればそこしかありませんでした
内容に不自然さもなかったので気づくことができませんでした
それは
「で、ですが…それも私たちも気づかなかったんです」
「
断定に遅れ
「こ…この怪我は私の実力不足からです!
それに会長でなければあの事件を鎮圧することもできませんでした」
「ですが、あれらの件は全て私に責任があります
このように私にも苦手なことがあります
私は人の心を読むのが不得意です
私なりに考えているつもりなのですが、戦闘や勉学のように上手くいくものではありません」
「……それでも会長は凄い人です!!
私は会長よりも完璧に人を見たことがありません!」
「
「え…?はい、覚えてます」
あれは
生徒会副会長補佐となっていた
「
「え…!?生徒会が…!?
は、はい!なんでしょうか!!」
「貴方の成績を見させていただきました
その結果を元に私は貴方を生徒会役員へと推薦しようかと思っています」
「私が…生徒会に!?
で、でも私は別に…そんな優秀では…!」
「貴方のデータを見た際に気になったことがありました
それは―――――――――の事です」
「そうだった…私は会長に推薦されて……でもどうして私なんかを……」
「貴方の買っているところ
それは一言で言えば真面目さです
貴方は一つのミスを徹底的に分析し、反省し
それを次に活かす
そして結果は必ず実っていた」
「ど、どういうことですか?真面目さって…」
「私が推薦する際に言っていた
成績の上昇率の事
それは貴方の全ての成績において
貴方は間違った点を次に必ず修正する
その結果は必ず良い方向へと進んでいた
それは私ともまた違う才覚です
それを人は努力と呼びます」
「努力……」
「それでは…一つ稽古を付けましょう
私は貴方に一つの技を伝授します
向きあってその技の発動に集中してください
失敗した場合は私の1本先取とします
それを初撃の際に真似た後
3回以内に修正し、発動してください」
「そ、そんな!!無理ですよ!!
いきなり会長の技を真似るなんて…!!」
「違う点、直すべき点を私は貴方に伝えます
それを元に分析し、修正してみてください」
「え……そんなことできるわけ……」
そして構えを取る。
『
「うっ!!!す、すごい…!!!
まるで自分が斬られたかのように錯覚するほどの一撃は
「今の技を私が使うなんて無理ですよ!」
「同じ威力とは言いません
ですが、この技を習得することは出来ると思っています
少なくとも私が評価している
「そ、そこまで……わかりました
やってみます…!」
先ほどの
それらを思い出しながら構えを取った。
「はぁぁああっ!!!」
「……」
その斬撃は完璧に受け止められた。
先ほどの
「違う…全然できてない……」
「この攻撃に大事なのは心を一定に保つこと
冷静さを持ちつつ、水を切るように落ち着いてください
さぁ、それでは1本目です」
「落ち着いて……わかりました
はぁ……………いきます」
「っつ!!!!」
「……」
その一撃は先ほどよりも弱々しい斬撃になってしまった。
「違う…今のじゃない……何が違うの…」
「落ち着いたところまではいいですが
斬撃を放つ際に一気に心が乱れました
それでは剣先が荒れてしまいます」
「斬る際も落ち着く………はい!
次、お願いします!!」
「では2本目です」
「はっつ!!!」
「………やはり」
先の1回目よりぶつかり合う音が激しくなっていた。
「惜しいところまで来ています
最後に大事なことを伝えましょう
技は真似する意識ではなく
自分のものとすることです
私が教えた技ではなく、
「私自身の技…?」
「人は体格、癖、センスにより同じ武器でもスタイルを変えます
私の持つものと
その差を考えてみてください」
「私と会長の違い……」
(会長の技は全て柔軟かつ高精度
寸分の狂いもない的確な一撃を持っている
対して私の技は基本に忠実すぎる
教えられたものをそのままの形で使うだけ……
私の持つもの……)
「……」
(私が持つものなんて………)
(貴女の中で特に私が買っている部分
それは一言で言えば真面目さです
貴方は一つのミスを徹底的に分析し、反省し
そしてそれを次に活かす
そして結果それは必ず実っていた)
(会長は私をここまで評価してくれている…
なのに私は…全然自分を信じれてない……
信じて………こんな自分を……?
自分……を信じる……)
「会長……もしかして」
「……気づいたみたいですね」
(そうか…そんな簡単なことだったなんて‥…)
「会長はやっぱりすごいです……最初からわかってたんですね」
「さぁ、3本目です」
(私の足りなかったもの…それは単純なものだった
多分
これだったんだ…)
「私に足りないもの…それは……自信だったんですね!!
いきます、会長!!!」
「いつでもどうぞ」
「はぁぁぁぁあああっ!!!」
『
「!!」
否、
だが、しかしそれは
「今の……っ!!でき…た……?」
「はい、成功です」
「会長……自分でも何が起きたのか…わからなくて…」
「私のこれは
彼や私のものは精度を重視しています
ですが今のは私のものよりも一撃の速さが出ていました
居合の速度、これが
「…これが、私の技……」
「おめでとうございます
技の習得は貴女の武器になります
誇っていいんですよ」
「か、会長……ありがとうございます!
会長がいなければ…完成できませんでした」
「私はただ後押しをしただけです」
「それでも…自分では気づけませんでした……
本当に、ありがとうございました!」
「よかったです
これで生徒会も元通りになりましたね」
「もしかして……会長はこれを言うために……」
「
実務を始めねばなりませんよ」
「あ、もうこんな時間だったんですね!!
わかりました!急いで向かいましょう!!」
「えぇ、それではよろしくお願いします」
M→
こうして私の心に刺さっていた棘が外れていった。
奮いたつこの心は移り行き
新たな力と共に私を後押ししていく。
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・アドリブ演技に関して
この台本はアドリブを入れる事を前提として書いています
なので演者様方の判断で挟んで頂いて構いません
是非素晴らしい演技にアクセントをつけてください
しかし作風に合わないものはご遠慮ください
・性別変更や比率に関して
作者はあまり好ましくは思っていませんがある程度ならば可とします
そのある程度の境界線は他の演者様たちとの話し合いに委ねます
・特殊なものについて
台本を演じる際に読み込まないで演じる行為や
言語を変える、明らかに台本無視と取れる
特殊な行為をするものは認めていません
流石に読み込んで普通に演技してください
多分そうじゃないとこの台本は演じれないです
二次創作等、商権利用問題のある場合、質問や不明点ございましたら
作者のTwitter
https://twitter.com/kaguratizakura
のDMにてご連絡ください
血桜ハ還リ咲ク 零章 ミクロさん/kagura @micronears
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