他編 同ジ色ノ濁リカタ
17歳
不思議な雰囲気を醸し出す女子生徒。
17歳
生徒会副会長になった
人を寄せ付けぬ冷たい瞳には孤独が写っている。
役表
※ナレーションを3人目にするのも可です
その場合はナレーションのみの担当でお願いします
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血桜ハ還リ咲ク 零章
他編 同ジ色ノ濁リカタ
(私は今日この
普通の学園生活だったけど色々と収穫があった
実力も伸ばせたし、情報も得れた
これだけでここに来た意味はあったわね
毎日毎日、本当につまらない日々だったけど
それも、もうおしまい)
その相手はかけてすぐ通話に応答したようで
いつもの胡散臭い敬語で淡々と話し続けていた。
「えぇ、今日でここを去るわ
色々と助かったわ
あの時の情報、役に立ったでしょ?
とはいえ、よく会長が怪しいって気づいたわね…
どこからそれに気づいたっていうの?
ソースは話せない?
あら、そう…どこまでもケチなのね
えぇ、そうね
また何かわかったら連絡をちょうだい
その時はまたお礼でもするわよ
それじゃあそろそろ行くわ
さようなら」
通話を切ると辺りに静寂が走った。
月夜が学園内を照らしている。
現時刻は既に22時を超えており、生徒は理由なく寮からの外出が禁止されていた。
定時に巡回を行う警備員か、生徒会役員
そして今日卒業する
はずだったのだが、一人の女子生徒が静かに夜風にあたりながら歩いていた。
「こんな時間に出歩くなんて悪い子ね、不良生徒さん?」
「それを言うなら貴女もじゃないかしら?」
「残念、私は今日卒業したばかりなの
だからもう生徒じゃないわ」
「そう…おめでとう」
二人はしばし無言になる。
「貴女…どうしてこんな夜更けに出歩いているの?
いい夜だとは思うけど、何かお悩み中だった?」
「………特に意味はないわ、気まぐれよ」
「へぇ~気まぐれね
でも最近学園は物騒で、出歩く生徒もあまりいないって言うのに
なんだか怪しいわね~
貴女に少し興味が沸いてきたわ」
くるりと振り返り、どこからか出した缶コーヒーを見せる。
「ちょっとお話でもしない?」
二人は少し歩いた先にある広場へと向かう。
そこにある東屋に入ると向かいあうように腰かけた。
「それで…私に何か用?
正直私は貴女の事全く知らないのだけれど」
「特に用ってわけじゃないわ
今日で学園を去っちゃう卒業生を見送るぐらいしても罰は当たらないんじゃない?」
「そう…見送るって言っても何かしてほしいの?」
「別に、ただ話でもしたいなと思ってね」
「話?……えぇ、構わないわよ」
「ありがとう、じゃあ聞いてもらうわね
私、防衛隊に入る事になってね
志願してテストを受けたら一発合格
特例卒業って一年に1回あるかないかの事らしいわ
凄いでしょ?」
「えぇ、そうね。とてもすごいわ」
「………ところで怪しい雲行きね
そろそろ雨が降るかもしれないわ
貴女は大丈夫なの?
傘なんて持ってないんでしょ?」
「そうね、降るかもしれないわね」
「………貴女、相槌打つの下手くそなのね
下手な面接官でも、もっとマシな返しをするわよ」
「そうかしら?ちゃんと聞いてはいるつもりだけれど」
「ずっと反復した言葉返しだから飽きちゃうのよ
もっと返事の仕方を覚えた方がいいんじゃない?」
「そう…それはごめんなさいね」
「フフッ………悪いなんて思ってない癖に」
「なにか付いてるかしら?」
「貴女の目、私と似ているわね」
「そう…?目なんてどれも変わらないわよ」
「貴女…この学園にどうして所属しているの?
周りの誰よりも断然強いわよね
今すぐにでも生徒会にだって入れちゃうぐらい
勉強に興味があるってようにも見えない
こんなところに通っているのはどうして?」
「どうして………そうね、なんとなくよ」
「なんとなく?」
「私の心は空っぽ…
埋めるためにここに来たけど違ったみたい
ここは私の居場所じゃなかった」
「空っぽ…?」
「ただの独り言よ、忘れていいわ」
「ふ~ん、そっか
あまり詮索はしないわ
どうせ聞いても答えてくれないんでしょ?
というより答えることがないって顔だけど
じゃあ次は私の話でも聞いてみない?」
「興味ないって言ったら話さないの?」
「そう言わずに暇つぶし程度に聞いてちょうだい
どうせやる事もないんでしょ?」
「そう、じゃあ聞くわ」
「私にはやらないといけないことがあるの
そのために学園に来たんだけど
ここにそれはなかったみたいでね
だから卒業することにしたのよ
でもここに来た意味はあった
いいキーワードを教えてもらってね
その目的が防衛隊に入れば辿り着けそうなの」
「キーワード?」
「私はとある人を探しててね
そいつの息の根を止めることが目的…
簡単に言えば…復讐よ」
「復讐……へぇ、そうなのね」
「どう?理由としては不純でしょ?」
「いえ?素敵だと思うわ」
「·····え?………ヒヒッ、アッハハハ!」
「何かおかしなこといったかしら?」
「復讐をまさか素敵なんて言われると思ってなくてね!
普通はそんなの良くないだとか
驚いて聞いてきたりとか説教垂れたこと言うかと思ってたら
予想外の答えが来て面白くて!
…悪かったわね」
「いえ、全く気にしてないわ」
「私、貴女にもっと興味が沸いてきたわ」
「そう…?私はあまり気になってないんだけど」
「本当に冷たいわね……」
「そう?そんなに寒い?
濡れてるからかしら…?」
「そうじゃないわ
表面上じゃなくて内面的な部分
貴女の心、芯とするもの…本当に冷え切ってる
冷たくて……空虚で……
吹雪の真っ只中みたい
そんな風に見えるわ
貴女はどう思ってるか分からないけど私は貴女との話、とっても楽しいわ」
「そう、それはよかったわね」
「そういえば最近面白い子と出会ってね
その子、仲がよかった子がみんな死んじゃったんだって
それからというもの例の事件についてずっと調べてる、健気よね」
「へぇ」
「そんな子が今や生徒会にまでなるぐらい強くなったんですって
果たしてその実力はどこから来たものなんでしょうね」
「さぁ?」
「遠くから見てたんだけど知らない技を使ってるみたいだった
本人もそれをわかってて使ってるのかな?
でもその技を見た時、眩しく感じるような温かい感覚になったの
照り付けて痛いとまで感じるほどにね
その時に思ったの
きっとあの子は私たちと真逆な存在なんだってね」
「よくわからないけど
戦ってもいないのに変な事を言うのね」
「向かい合わずともわかるのよ
その力は先天的なものなのか
それとも誰かに教え込まれたものなのか
どっちだと思う?」
「残念だけどあの子の事は私は何も知らないわ」
「まだ誰の事とは言ってないんだけどな~
何か心当たりでもあるの?」
「回りくどいからさっさと答えただけよ」
「興味がないって顔ね
どうして?姉妹っていうと少しは知ってると思ってたわ」
「えぇ、私が周りからどう思われてるのか知らない
あの子がどう生きようが、なにを目指そうが
その結果どうなろうが私には関係がないの」
「身内にも冷たいのね
でも、そういうところも嫌いじゃないわ
ただ貴女モテなさそうね」
「そう?そんなもの興味ないわ」
「冗談、からかっただけよ
本当は貴女結構注目されてるのよ
知ってる?」
「知らないわ
何を言われようと好きに言わせておけばいい」
「悪口ならまだしも褒められているんだけどね」
「褒められたところで何も嬉しくないわ」
「ふぅ~ん?全然色気づかないのね
この年代にしては珍しいんじゃない?」
「貴女と同じよ」
「まさしくその通りね
やっぱり、私たち似ているわ」
「そう?」
「貴女の事もっともっと知りたくなってきたわ
どれだけの技を使うんだろう
どの武器を使うんだろう
どうやって相手を追い詰めるんだろう
どんな目をして戦うんだろうってね」
「どうでしょうね?
どんな目なんて私には答えようがないわ」
「どう?こっちから仕掛ければ反応してくれる?」
そして
しかし
「え、ちょっと避けないの?」
殴られた拍子に吹き飛ばされ、濡れた地面に倒れ伏した。
その顔を見て
「貴女……そんな顔もできるのね」
「そんな顔……?私どんな顔をしているの?」
「初めて見たわ、貴女のそんな顔…
とってもいい顔よ
まるで生きているみたい」
なぜかその顔は少し微笑むように見えたのだ。
「ごめんなさい、服汚れちゃったわね」
「それは貴女もでしょ」
「私はもうこの学校辞めるからいいけど
貴女はそうじゃないんでしょ?
クリーニング代くらい出すわよ」
「いらないわ、別に汚れてても構わないし」
「ヒヒッ…やっぱり面白いわ貴女」
「…そう」
「ねぇ、一つ聞いてもいい?
貴女が思う人の幸せって何?」
「さぁ?考えたこともないわ」
「何かを達成する、手に入れる、叶える
幸せってものは色々なものがあるそうなの
自己完結できるものは叶えるのはそう難しくない
でも、他人が絡むとそう簡単にはいかなくなるでしょ」
「そうね」
「好きな人と結婚する、愛し合う、子を作る
そういうものは一人じゃできない
どう?わかりやすいでしょ」
「えぇ、わかりやすいわね」
「普通の人ってそれを幸せと呼ぶそうなの
でも私たちはそのどれにも興味がない
それらではこの心は満たされない」
「心の穴は他人では満たせない
それは拠り所になりえないから
そうでしょ?」
「……そうかもしれないわね」
「でもそんな私たちが満たされるものってなんでしょうね」
「さぁ?」
「私たちの欠けた心にあるもの
それは人の不幸で埋められる
唯一、私たちが求めずとも与えられるもの
そうでしょ?」
「不幸…」
その言葉を聞いた瞬間、
まるで興味を持った子供のような瞳をしていた。
「やっぱりそうなのね
私と同じ目をしてる」
「貴女は何を言いたいの?
私を知ってどうしたいの?」
「別に、何か深い意味はないわ
ただの興味本位よ
こんなに他人のことを知りたいって思ったのは初めてだったのよ」
「さっきの質問は自問自答みたいなものだったの
でも、ありがとう
おかげで色々と覚悟が決まったわ」
「よくわからないけれど役に立てたならよかったわ」
「よかったなんて思ってない癖に」
「本当に思っているつもりなのよ」
「そっか、ありがと」
「…それで、何か得たものはあったの?」
「結構、有意義だったわ
貴女と話していると感性が戻ってくる感じがある
久しぶりに人と話した気分になれたわ
とても楽しかった」
「今日はありがとう
学園最後にいい思い出ができたわ」
「そう」
「貴女を友達と呼んでもいい?」
「好きにしたら?
私はなんでも構わないから」
「それじゃあ、さようなら
私の最初で最後の友達さん」
「……さようなら」
「友達………ね
そんなの…あってどうするつもりなのかしら
私には……わからないわ」
他愛もないこの会話だが彼女たちなりに意味のあった時間となった。
闇に生きる二人は暗く重たい運命に対して抗う術をこれからも模索し続けるだろう。
そう、その為なら…どんな事をしてでも。
M→
私たちの道は交わることはない
M→
私たちが助け合うことはない
M→
私たちは幸せにはなれない
M→
似通った私たち
M→
その瞳は同じ色の濁りかたをしていた
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利用規約
ミクロさん台本を動画、配信で使用するのは全てご自由にどうぞ
・アドリブ演技に関して
この台本はアドリブを入れる事を前提として書いています
なので演者様方の判断で挟んで頂いて構いません
是非素晴らしい演技にアクセントをつけてください
しかし作風に合わないものはご遠慮ください
・性別変更や比率に関して
作者はあまり好ましくは思っていませんがある程度ならば可とします
そのある程度の境界線は他の演者様たちとの話し合いに委ねます
・特殊なものについて
台本を演じる際に読み込まないで演じる行為や
言語を変える、明らかに台本無視と取れる
特殊な行為をするものは認めていません
流石に読み込んで普通に演技してください
多分そうじゃないとこの台本は演じれないです
二次創作等、商権利用問題のある場合、質問や不明点ございましたら
作者のTwitter
https://twitter.com/kaguratizakura
のDMにてご連絡ください
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