他編 暗キ色ノ残リ香

鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

17歳

生徒会役員の一人

役職は生徒経歴調査と個人情報管理員を兼任している

敷島しきしまとは同期に生徒会入りした。

後輩である城ヶ崎じょうがさきに対しても陽気に接する。

大雑把な言い方をするが、報連相が出来たりしっかりしているため

生徒会役員の後輩たちからも尊敬されている。




敷島 遥斗しきしまはると

17歳

月ノ都つきのみやこ学園生徒会長

妖刀を使用し、生徒へと無差別攻撃を仕掛け警察に逮捕された

その後、輸送中に行方不明となったらしいが…






役表

敷島 遥斗しきしまはると♂:

鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ♂:



※ナレーションを3人目にするのも可です

その場合はナレーションのみの担当でお願いします




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     血桜ハ還リ咲ク 零章

     他編 暗キ色ノ残リ香






鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ幼少期

(俺には身寄りがなかった

物心ついた時から一人だった

どういうわけか変なところに引き取られて

何に使うかわからない事ばかり教わっている

望んでもないがその才能があったらしく

俺は他の奴らと違い優秀だった

だからこその疎外感

だからこそ全てのものに興味がなかった)



特別優秀な鹿苑寺ろくおんじは自由時間が多く

施設内を自由に歩くことができる。

行先もなく歩いていると、施設の倉庫から音がしているの気がつく。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

(そんな何でもない日の事だ

俺は遥斗はるとと出会った)



倉庫の中を窓を少し開けて見てみると

6人の男児で一人を囲んでいじめをしている様子が見えた。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

(所詮弱いものは強いものに食われるだけ

雑魚同士の争いなど俺には何の関係もない

あいつを見捨てて俺はその場から立ち去ろうとしていた)



鹿苑寺ろくおんじは他のところへと向かおうと踵を返す。

しかし――――中から叫び声が聞こえてきた。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「な、なんだ…!?」



中を急いでみると先ほどまで囲んでいた6人が血だらけになって倒れており

既にこと切れているようだった。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

(突然のことだった

俺は何が起きたか瞬時に察した

いかにも軟弱そうなこいつがこの集団を殺したのだ)



驚いたようで尻餅をついているその顔を注視する。

ゆっくりとその顔を見ると名前を思い出した。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

(その男はクラスでは落ちこぼれも落ちこぼれ

眼中にもなかった奴だったが、一体何が起きたというんだ?)



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「君、大丈夫か?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

(遥斗はるとは 自分がしたことを理解していないようだった)



敷島 遥斗しきしまはると

「君が助けてくれたの?」



手を血で染めながら鹿苑寺ろくおんじを見つめる敷島しきしま

鹿苑寺ろくおんじはその異常性に気づき、表情には出さずとも

心の中で笑みを浮かべる。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

(その時、俺は悟った

俺はこいつと生きるために生まれたんだ

世界が突然面白くなっていくようなそんな高揚感が俺を包んでいく)



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そうだよ」



鹿苑寺ろくおんじは倒れる敷島しきしま へ手を差し伸べる。

照れた様子を見せつつも手を弱々しく握り返し、立ち上がった。



敷島 遥斗しきしまはると

(こうして俺に初めての友達ができた

だが本当にそうだったのだろうか…

そう思い込んでいただけだったのかもしれない)



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

(それから俺たちは仲良くなり、行動を共にするようになった

だがそんな日々は続かず

その翌年には遥斗はるとの姿はなかった

ここではよくある事だ

使えない奴はお払い箱

ただそれだけの事だ

だが俺はそれを勿体なく感じていた

あいつの中のアレは今まで見た何よりも凄まじく、恐ろしく

何よりも惹かれていたのだ)







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから時が過ぎ7年後

15歳になった2人は月ノ都つきのみやこ学園に入学し偶然の再会を果たす事となった。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「よぉ、久しぶりだな」



敷島 遥斗しきしまはると

「お前……もしかして、浩介こうすけか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「おう、遥斗はると も随分と成長したな」



敷島 遥斗しきしまはると

「そりゃそうだろ

あれから結構経ったからな」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そういや、もう7年も経ったんだな」



敷島 遥斗しきしまはると

「あぁ、本当に久しぶりだ」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ふっ、こんなところで会うとは縁って面白いよな」



敷島 遥斗しきしまはると

「まったくだ」



二人はこうして再び行動するようになる。

戦闘演習施設を借り、互いに武器を使っての特訓を行っていた。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「おら!!」



敷島 遥斗しきしまはると

「なにっ!?これなら、はぁっ!!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「おっと!危ねぇ!」



敷島しきしま鹿苑寺ろくおんじの回避体勢にに合わせて大きく一歩踏み込んだ。



敷島 遥斗しきしまはると

「はあぁっ!!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「っと!!?」



敷島しきしま鹿苑寺ろくおんじの武器を吹き飛ばす。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「…まじか、初めて三本取られたぜ」



敷島 遥斗しきしまはると

「いやいや、本気でやってたらわからなかっただろ?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そんなことねぇって

俺は本気だったよ」



敷島 遥斗しきしまはると

「でもお前との特訓のおかげで

半年前より確実に上達していってる…」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「俺から見てもすげぇ成長速度だぞ

もっと誇っていいんだぜ」



敷島 遥斗しきしまはると

「いや、俺はもっと強くなりたい

なんだろうな…楽しいんだよ

強くなるって」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そこは同意だな」



敷島 遥斗しきしまはると

「もう一度いいか?

この調子のいい感覚を忘れたくない」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「おう、いいぞ

かかってこい」




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そうして訓練を重ねていくと2人の実力は上がっていった。

二年に上がって少し経つと2人は生徒会へと抜擢される事となる。



敷島 遥斗しきしまはると

「まさか俺たちが生徒会に入ることになるなんてな」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ふっ、そうか?

どう考えたって周りの奴らよりレベルが上がってきてた辺りから

可能性はあるかなって思ってたぞ」



敷島 遥斗しきしまはると

「これも浩介こうすけのおかげだ」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そうか?まぁ素直に受け取っておくよ」



敷島 遥斗しきしまはると

「そういやさ

生徒の経歴の穴を再確認する仕事やってんだけど

こういうのって見ていいのか不安になるんだよな」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「仕事だから仕方ねぇだろ」



敷島 遥斗しきしまはると

「さっき聞こうと思ってて後回しにしてたんだけど

お前の小学生より前って経歴不明になってるんだが

ここはなんて書いたらいいんだ?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「あぁ……それか」



敷島 遥斗しきしまはると

「ん?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そこ…不明のままにしてて貰えるか?

実は、色々と知られたくないことがあってな

大したことじゃないんだから隠すまでもないんだが…」



敷島 遥斗しきしまはると

「あぁ…まぁわかった

誰にだって知られたくないこともあるだろう

このまま空欄にしておくよ」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「すまねぇな」



敷島 遥斗しきしまはると

「正直、俺のところもよく覚えてないから

後で入った方の学校の名前にしておいたんだ」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「疑われると面倒だからさ

俺もそこにしておいてくれねぇか?」



敷島 遥斗しきしまはると

「ん?…それは、やっていいものなのか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「すまん、忘れてくれ

面倒なこと頼んじまったな」



敷島 遥斗しきしまはると

「……わかったよ、そうしておく」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「いつもすまねぇな遥斗はると

今度ジュースでも奢るよ」



敷島 遥斗しきしまはると

「そんなに気にすんなよ

友達なんだし、助け合いは当然だろ」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「サンキューな」




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そして時が流れゆき

三年に上がった頃には敷島しきしま は生徒会長に抜擢されていた。

歴代最強と謳われるその戦闘センスや、全体的な成績も非常に高く

学園外にもその噂が広がる程まで有名になっていた。

城ヶ崎じょうがさきという優秀な部下を持った敷島しきしま鹿苑寺ろくおんじと二人きりになった際にふと愚痴を零した。



敷島 遥斗しきしまはると

城ヶ崎じょうがさきは凄いんだけどな

優秀すぎると教えることもどんどん無くなっていく…

俺もこれだけ歴代最強だのってはやし立てられてる癖に

あと少ししたら城ヶ崎じょうがさきに超えられちまう

あいつはまだ二年になったばかりだってのにな…」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そんなにすごいのか?

俺はあんまり一緒に仕事をすることもないからな

そういや最近訓練も一緒にやってるんだったな

戦闘の方はどうなんだ?」



敷島 遥斗しきしまはると

「そっちも破格の強さだ

俺が完成させれなかった明鏡止水めいきょうしすいを習得しやがった

もう模擬戦だって何本も取られるようになってきててな

今だからギリギリ勝ち超してはいるがすぐに超されちまうだろうな…

おかしいよ、あいつの成長速度は…」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「その割には意外と嬉しそうじゃねぇか」



敷島 遥斗しきしまはると

「そうか…?そうかもしれないな

あいつがこれだけ成長してるのが嬉しくもある」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「弟子の成長を喜ぶなんて、お前も師匠らしくなっちまったな」



敷島 遥斗しきしまはると

「生徒会長としてまだまだ負けるわけにはいかない

俺も何とかして強くならないと…」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「また俺も戦闘訓練手伝ってやるからよ、元気だせって」



敷島 遥斗しきしまはると

「それはありがたいな

…というか、俺は本当は生徒会長はお前がなるべきだったんじゃないかって思うんだ

俺は所詮凡人だ

お前はそうじゃない

昔からお前は強かったじゃないか」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「…昔のこと覚えてるのか?」



敷島 遥斗しきしまはると

「覚え…て……あれ?

なんで俺、昔なんて言ったんだ?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「おいおい、しっかりしてくれよ

どっちにしろ今はお前が生徒会長だぜ

それにどうせ俺がやれって言われても断るよ

そんな面倒そうな仕事なんてやりたくねぇっての」



敷島 遥斗しきしまはると

「その割にはかなり仕事手伝ってくれてるじゃないか

いつも助かってるよ」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そりゃ当然だ、助け合いだろ?」



敷島 遥斗しきしまはると

「本当にありがとうな

浩介こうすけが居てくれていつも助かってるよ」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「急に恥ずかしい奴だな!

そんなガチの言い方すんじゃねぇよ」



敷島 遥斗しきしまはると

「ははは、悪い

ふと思っただけだよ」




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それから数か月後、敷島しきしま の生徒会長としての権威を落とすことになる同好会事件が起こった。

容疑者である生徒が無差別に他生徒を殺傷し

犯人も逃亡し行方不明という大惨事に政府は怒り心頭で敷島しきしま を責める言葉が乱立した。

事件が引き起こった際は敷島しきしま は学園に不在だったため

鹿苑寺ろくおんじが電話での連絡を行っていた。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

遥斗はると…まさか俺もこんなことになるなんて…

こっちでも調べられることは調べているがまだ何もかもわかってねぇ」



敷島 遥斗しきしまはると

「くそっ!急に何が起こった…

…こんなことになるなんて想像がつくか!?

無理に決まってるだろ…!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「その同好会の教室付近を映した監視カメラを調べてみていたんだが大した情報はない…

それに事件の発端であるその当人もどこかに居なくなっちまった…

事件をまとめるために人員を集めるついでに情報を得てみた方がいい」



敷島 遥斗しきしまはると

「人員…?一体誰を入れるっていうんだ?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「事件に巻き込まれた生徒の中で八木原 旭やぎはらあさひを撤退させた奴がいるんだ

そいつの名は……神蔵 修也かぐらしゅうや

俺はそいつを役員に推薦する」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして再び時間が経ち

学園へと敷島しきしま は帰還した。

その際の表情はとてもやつれており、普段と違う様子を見せた敷島しきしま を心配げに他役員が出迎える。

帰還してすぐに事件の報告を一斉に聞く敷島しきしま

そして2名の生徒からの情報提供を受け、敷島しきしま の中である疑問が浮かび上がっていた。



敷島 遥斗しきしまはると

「…誰だ?どこにいる!?」



敷島 遥斗しきしまはると

「どういうことだ!!俺の中から!出ていけ!

ぐわああああああっ!!!」



敷島 遥斗しきしまはると

「………………は?

一体何が……?

な、なぜ!!?これは…虚無ノ御刀うつなしのみつるぎ!!?

俺はどうしてこれを持っているんだ…!?

それに…俺はどうしてこんなところにいるんだ?」



敷島 遥斗しきしまはると

「違う…まさか……神蔵かぐらを襲った…?

俺が……やった…のか?」



幼少期、いじめを受けていた彼は鹿苑寺ろくおんじによって助けられた。

しかしそう思っていた記憶に断片的な視界が入り込む。

それは一人称で映る光景であり、その視界が敷島しきしま のものであることがわかる。

そしてその腕はいじめをしていた集団を惨殺し始める。



敷島 遥斗しきしまはると

「お…俺が!!!?オレがあの…あいつらを…!?

ち、ちがう…!!俺は浩介こうすけに……!

あいつが…俺を助けてくれたから……!!」



敷島 遥斗しきしまはると

「うわあああああぁああああっつ!!」








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敷島 遥斗しきしまはると

浩介こうすけ、ちょっといいか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「こんな遅くにどうしたんんだ?

お前も疲れてるだろ?早く寝た方がいいんじゃ……」



敷島 遥斗しきしまはると

浩介こうすけっ!!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「……大声出して急にどうしたんだよ?」



敷島 遥斗しきしまはると

「俺って…昔さ……急におかしくなったことなかったか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「……どういう意味だよそれ」



敷島 遥斗しきしまはると

「俺が俺じゃなくなったことがあったんじゃないのか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そんなことな――――」



敷島 遥斗しきしまはると

浩介こうすけッ!!!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「!!?」



敷島 遥斗しきしまはると

「頼む…本当のことを言ってくれ……

じゃないと俺は……もう何も信じれなくなる」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「……」



敷島 遥斗しきしまはると

「やっぱり……そうだったんだな

お前は…俺の事を……助けてくれてなんかなかったんだろ?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「……」



敷島 遥斗しきしまはると

「あれ全部………オレがやってたんだろ?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「…………そうだ」



敷島 遥斗しきしまはると

「っつ!!!!

ふっ……ハハハハハッ

やっぱり…間違ってなかったんだな……

何度も…何度も……夢で見てたんだ

でも違うって……認めたくなくて…ずっと否定し続けてた

馬鹿じゃねぇか…俺……」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「……」



敷島 遥斗しきしまはると

「なんで…教えてくれなかったんだよ……」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「お前の為だったんだよ」



敷島 遥斗しきしまはると

「俺の為…?じゃあ何で言わなかったんだ!!

本当に友達なら…止めてくれよ!!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「……そうだったな、悪かった」



敷島 遥斗しきしまはると

「……ぐっ……くそ…

すまない、こんな時間に急に来て…じゃあな」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「お、おい!

……遥斗はると、まさか記憶が戻ったってのか?」



そしてそれからまた時は経ち

敷島 遥斗しきしまはるとは妖刀を使い、役員を襲い始めたのだ

現場に到着した夢野 天ゆめのそらがそれを撃退

その後、城ヶ崎 健じょうがさきたけるが逃走を図った敷島しきしま を確保し事件は終息した。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「なにやってんだ…あいつはよ

ほんとに馬鹿野郎だ」



鹿苑寺ろくおんじはごみ箱に薬剤の入った小瓶を投げ捨てた。

その中身は身体に有害な液体を薄めたものが入っており

彼はそれを使用して敷島しきしま の身体を少しずつ蝕んでいたのだ。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「結果はどうあれ作戦は成功か

とはいえ、まさかこんなに早く負けちまうなんてな

夢野 天ゆめのそらはまだしも

城ヶ崎 健じょうがさきたける…その若さで【極地】に到達しやがるとは…嫌なときに現れやがったな

遥斗はるとができなかったとなると、俺が留まって兵力を減らすしかないか…」



警察に移送されている最中の敷島しきしま

腕には厳重につけられた手錠をされ、数人の見張りもあり移送されている。

移送中、車外から不自然な音が聞こえてきた。

敷島しきしまは顔を少しあげると窓の外を注視する。



敷島 遥斗しきしまはると

「………なんだ、何の音だ?」



突然車が勢いよく横転し、その中から敷島しきしま は放り出される。



敷島 遥斗しきしまはると

「ぐっ!!?急に何が起きた…!?どうなって……」



そこには鹿苑寺ろくおんじが立っていた。

黒いローブを身に纏い、数人の同じ格好をした人物と共に敷島しきしま を見下ろすように立っていた。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「助けに来たぞ」



敷島 遥斗しきしまはると

「お前…どうして!?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「もうお前は光の元で生きれない

だが居場所がないわけじゃない

俺と一緒に来い

お前はこっちで生きるべきだ」



敷島 遥斗しきしまはると

「こいつらは……CARDIEDカディドだろ?

どうしてこいつらとお前がテロリストなんかと一緒にいるんだ…!?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そうか、お前は何も知らなかったんだったな

俺とお前が育ったあの施設はただの養護施設じゃない

テロリストを養成し、優秀なものを販売する施設だったんだ

そう、俺はあの後CARDIEDカディドに選ばれた」



敷島 遥斗しきしまはると

「なんだ…と…?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「お前は施設から出されるときに記憶を抹消されてるから覚えてないんだろうな

お前の本来の人格と共に封印したはずだったんだが

妖刀の影響で出てきちまったみたいだな」



敷島 遥斗しきしまはると

「あれは…もう一人の俺?

それじゃ…俺は妖刀に操られたわけじゃなかったのか…」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「妖刀は人を操るわけじゃない

本来の自分を呼び起こすものなんだ

あれは本来のお前だったんだよ

俺が好きになったお前そのものだ」



敷島 遥斗しきしまはると

「俺…そのもの…」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「さぁ一緒に行こう遥斗はると

お前を一人になんてしねぇよ

お前を傷つけてきた全てに復讐をしてやろうぜ」



鹿苑寺ろくおんじは注射器を敷島しきしま の首元に突き刺す。

その薬液を受けて、過去の記憶が鮮明に思い浮かんできた。

自分の気に入らないものを潰し

人が痛めつけられるその様子を楽しむ

本来の彼、残虐性に満ちた敷島 遥斗しきしまはると の感情が蘇ってくる。



敷島 遥斗しきしまはると

「ハハッハハハハッツ!!!

オレが遂に必要になったってわけ…か?

いいぜ!力を貸してやるよ!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「それでこそ遥斗はると だ!

ようこそCARDIEDカディドへ!

ふっ!ははははは!!!

ほんと面白くなってきたなぁ!!」



鹿苑寺ろくおんじの差し出した手を敷島しきしま はギュッと掴む。

狂気に満ちた笑みを浮かべながら敷島しきしま は立ち上がった。



敷島 遥斗しきしまはると

「オレは…最強になってやるよ!

俺が気に食わない奴ら…それら総てを叩き潰してやる!!」



M→敷島 遥斗しきしまはると

こうして俺の瞳は暗く染まっていった。

秘めれれた悪意は彼を闇に落としていく。

それは暗き色の残り香が冷たく包み込むように絶望と悪意をもたらした。






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