追編 桜ノ苗ハ植エ替エラレ


城ヶ崎 健じょうがさきたける

17歳

月ノ都学園生徒会長、その実力は生徒会内でも頭一つ飛び抜けており

妖刀 虚無ノ御刀うつなしのみつるぎを所持している




二宮 達也にのみやたつや

15歳

学園内の情報を制する男子生徒、不自然な敬語を使う。

父親がVHAぶいえいちえーの長官らしく、その頭脳は城ヶ崎じょうがさきにも匹敵する。

だがその性格には裏表がありそうで…?




鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

17歳

生徒会役員の一人

役職は生徒経歴調査と個人情報管理員を兼任している。

敷島しきしまとは同期に生徒会入りした。

後輩である城ヶ崎じょうがさきに対しても陽気に接する。

大雑把な言い方をするが、報連相が出来たりしっかりしている部分があるため

生徒会役員の後輩たちからも尊敬されている。




志野原 雫しのはらしずく

16歳

生徒会役員の一人。

役職は第二学年生徒内風紀監査と会長補佐を兼任している

最近生徒会入りしたが役職柄よく城ヶ崎じょうがさきに引率していることが多く

城ヶ崎じょうがさきに対して尊敬の念を抱いている。




畠中 祈里はたなかいのり

15歳

にゃ〜と語尾につくような猫口調で話す女子生徒

神出鬼没で掴みどころがない

持ち前の隠密能力は生徒会役員ですら捉えるのは至難の業らしい。






Nは→後のキャラ演者が読む






※設定一覧


夢野 天ゆめのそら

学園ではひっそりと人気な女子生徒

生徒会となり、敷島しきしまを倒す功績を得た

その後、直接のスカウトが来たことによりVHAぶいえいちえー兵員になった。



神蔵 修也かぐらしゅうや

白髪、黄色の目をしている美青年。

御影ノ邪刀みかげのやつるぎを所有している。

敷島しきしまに敗れたのち行方不明。



八木原 旭やぎはらあさひ

同好会と称した罠を貼り、生徒を惨殺した男子生徒。

御影ノ邪刀みかげのやつるぎを所有していたが

修也しゅうやによって殺害された



岩城 定介いわきじょうすけ

~っすといった特徴的な語尾の男子生徒

八木原やぎはらに殺され死亡



南雲 月夜なぐもつくよ

自由気ままな女子生徒

八木原やぎはらに殺され死亡



二宮 達也にのみやたつや

不自然な敬語を使う男子生徒

学園内の勢力図を熟知している



敷島 遥斗しきしまはると

月ノ都つきのみやこ学園生徒会長

妖刀を使用し、生徒へと無差別攻撃を仕掛け警察に逮捕された

その後、輸送中に行方不明となったらしいが…




設定


VHAぶいえいちえー

突如世界に現れた「魔怪まかい」と呼ばれる怪物を駆除するために設立された軍

Variant Hunt Army通称VHAぶいえいちえーと呼ばれる軍は

自衛隊や警察組織と違い、独立した権力を持つ

民間軍事会社(People Military company)通称PMCに分類される組織。

一般人や学園卒業者の中で実力保有者が入隊することができ

それらを戦うVHAぶいえいちえー兵を総称して兵員と呼ばれている



魔怪まかいについて

2000年に突如現れた異形の生命体。

理由や目的は不明だが人類を脅かす存在。

現れた当初は世界でも数十体しか確認されなかったが、年々数を増やしている。

出現方法も繁殖方法などは不明となっている。

魔怪まかいの姿形は現存した生物に類似している為

生物が魔怪まかいに変異した説や妖怪や幽霊といった類という説だったり

一部では神の使い等と吹聴している宗教まで現れている。



CARDIEDカディドとは

その素性、人員、目的一切が不明のテロ集団

突如姿を現れては殺戮を行う事から市民から恐れられている




役表


城ヶ崎 健じょうがさきたける ♂:


二宮 達也にのみやたつや♂:


鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ♂:


志野原 雫しのはらしずく♀:


畠中 祈里はたなかいのり♀:






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     血桜ハ還リ咲ク 零章

    「桜ノ苗ハ植エ替エラレ」




N→城ヶ崎 健じょうがさきたける

月ノ都つきのみやこ学園生徒会長が引き起こした無差別殺傷事件。


事件はすぐに報道が大きく取り上げ、月ノ都つきのみやこ学園の生徒に一任する管理や指導方法に疑念の声が上がっていた。

学園内での生徒会長敷島 遥斗しきしまはるとが逮捕された事により生徒会長の座は空席になってしまう。


本来であれば生徒会長は選挙で年に一度決められ

年度内に緊急で変わるときは会長が退任、死亡などの場合のみ。

不在時期から一か月後に緊急生徒会長選挙が開始され、そこで選定される。

しかし今回の場合は前例のないケースであったため

急遽、生徒会長が選定される事となった。


それから数日をかけて政府で生徒会内のデータなどを参考に会議された

その結果、敷島しきしまを倒すほどの高い実力を持ち、事件終息に関与した城ヶ崎 健じょうがさきたけるが生徒会長へと就任させることが決定する。


それから半年の間、生徒会は再建を行うために定例会議の参加を免除された。



N→二宮 達也にのみやたつや

そして学園内に視点が移る。

生徒会室に役員11名が集められ、円卓テーブルを囲い込むように配置された席についていた。

その中心とされる最奥に座る生徒会長 城ヶ崎 健じょうがさきたけるは他役員に向けて現在の状況説明を始める。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「私は半年間この学園の立て直しに尽力します

先日、副会長に就任したばかりの夢野 天ゆめのそらさんもVHAぶいえいちえーにスカウトされたため、本日より特例卒業されました



本来、生徒会は計13人で構成されますが現在は欠員が2名

副会長も空席の状態となっています

これでは事件調査はおろか、生徒会運営にも支障をきたすでしょう

ですので、まず先に欠員の人材補充から動きましょう


本来、生徒会は計13人で構成されますが、現在は欠員が2名います

副会長のポジションも空席の状態…

これでは事件調査はおろか、生徒会の運営にも支障が生じるでしょう

そのため、まずは欠員の人材補充から着手します


志野原しのはら。貴女にはその件について以前お話したと思いますが

現在調べている中で良い人材はいらっしゃいますか?」



N→二宮 達也にのみやたつや

城ヶ崎じょうがさきは隣に座る女子生徒。

生徒会役員、第二学年生徒内風紀監査兼 会長補佐

志野原 雫しのはらしずくへと視線を送る。



志野原 雫しのはらしずく

「この二日間、生徒会役員足りえる人材を探していました

おそらく調べれられるだけの生徒をあげたと思います

その件について後程、会長にご相談したいことがあるのですが…」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「この場ではない方がよいですか?」



志野原 雫しのはらしずく

「そうしていただけると会議の進行を妨げることがないかと」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「わかりました

それでは鹿苑寺ろくおんじさんには八木原 旭やぎはらあさひという生徒について再度調査をお願いします」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「任せてくれ」



N→二宮 達也にのみやたつや

生徒会役員、生徒経歴調査兼 個人情報管理員

鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけは手を挙げて、わかったとハンドサインを送った。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「それでは、他の監査員には通常通りの実務をこなしていただきます

追報があった場合には、個別連絡や生徒会内メッセージでご連絡いたします

皆様、定時連絡を怠らないよう、お願いします」



志野原 雫しのはらしずく

「これにて本日の定例会議を終了します」



N→二宮 達也にのみやたつや

城ヶ崎じょうがさきが立ち上がると、ほかの生徒も続いて立ち上がっていき

各々が支度をして外へと出ていった。

城ヶ崎じょうがさき志野原しのはらを呼ぶと、生徒会室内にある自室の中へと招き入れる。

ゆっくりと自席へ腰掛けると、机の前に向かいあうように志野原しのはらが立ち、席に数枚の写真付きの資料を並べていった。

その資料は生徒二名の情報のようで、城ヶ崎じょうがさきはそれに目を通す。



志野原 雫しのはらしずく

「こちらが先ほどの話にもあった人員補充の候補二人です

一名の男子生徒が第一学年 二宮 達也にのみやたつや

もう一名の女子生徒が同じく第一学年 畠中 祈里はたなかいのりです

この二人が実力ともに生徒会として申し分ないと判断しました」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「この二宮にのみやという生徒……

確か父親がVHAぶいえいちえー長官でしたね」



志野原 雫しのはらしずく

「そうなんですか!?あ、いえ…申し訳ありません!

そこまでは調べておらず調査漏れがありました」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「構いません、短時間で全生徒の経歴を調べるのは不可能でしょう

では、その二人を推薦した理由について、お聞かせいただけますか?」



志野原 雫しのはらしずく

「はい、まず畠中 祈里はたなかいのりについて

こちらの動画を見ていただけますでしょうか?」



N→二宮 達也にのみやたつや

志野原しのはらは端末で一本の動画を再生し始めた。

その内容は畠中はたなかに話しかけようと追いかけている最中の動画で志野原しのはらの主観視点で撮られているようだ。

途中まで志野原しのはら畠中はたなかを追っていたのだが、いつの間にか完全に撒かれてしまっていた。



志野原 雫しのはらしずく

「私個人の勧誘でしたので大々的に徴集することができなかったため

数回にかけて授業外でコンタクトを取ろうとしたのですが…

毎回このように見失ってしまいます

卓越された隠密能力だと感じたので、このスキルは監査に活かせるため推薦させてもらいました」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「異論はありません

畠中 祈里はたなかいのりについては私も賛成です

次に二宮 達也にのみやたつやの方はどういった理由でしょうか」



志野原 雫しのはらしずく

「戦闘演習成績や顧問評価を見る限りではこれといった実力というわけではありません

ですがこの生徒の模擬試験結果を入学当初からグラフにして並べたものがあります。

こちらを見ていただけますでしょうか?」



N→二宮 達也にのみやたつや

二宮にのみやの実技試験結果と座学の点数を線グラフにまとめた資料を見せる。

そこには不自然な結果が乗っていた。

入学当初から最近のテストまでの記録が横一本に上下することなく伸びている。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「これは…?座学の結果と実技試験すべての点数が毎回同じ…?」



志野原 雫しのはらしずく

「狙って揃えた…というところでしょうか?

月8回行われるテスト結果を1年以上も同じ結果というのは偶然とは思えません」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「この人物に勧誘は行いましたか?」



志野原 雫しのはらしずく

「それが…まだ会長に勧誘の指示は出ていなかったので

まずは一度コンタクトをと思い、話をしに行ったのですが……その…」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「どういった返答が来ましたか?」



志野原 雫しのはらしずく

「会長の許可がないようなら話をしないと一蹴されました」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「生徒会内の情報をも握っている……というわけですか」



志野原 雫しのはらしずく

「はい…ですので話をすることは叶いませんでした」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「わかりました。それでは本格的にこの二人を勧誘しましょう」



志野原 雫しのはらしずく

「では、今から二人に直接話を通してきます」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「いえ、勧誘には私もいきます

恐らく相手もそれを狙っているでしょう


志野原しのはらにも着いてきていただきたいのですが、もし何かあった場合のために装備も整えておいてください」



志野原 雫しのはらしずく

「会長ご自身がいかれるのですか!?

あの…お言葉ですが二宮にのみやは不良生徒が滞在するスラム棟にいます。

会長といえど、その…危険かと……」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「もし不良生徒たちが私を襲うような事をすれば制圧すればよいだけです。

例え相手が何人であろうと問題ではありません。

それにそのような指示を出すような人物だとすれば二宮 達也にのみやたつやも大した人材ではないとわかります」



志野原 雫しのはらしずく

「それはどういう…?」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

城ヶ崎じょうがさき志野原しのはらは武器を揃えて生徒会室を出る。

二人はスラム棟と呼ばれる素行の悪い生徒がたむろする学園の中でも使われない倉庫がある地域へと向かっていく。


入口へ着くと、扉の前に居た二人の生徒が城ヶ崎じょうがさきを出迎えるように出てきた。

まるで招き入れるように扉を開け、倉庫の中へと通される。



志野原 雫しのはらしずく

「不気味ですね…まるで私たちが来ることをわかってたみたいで…」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「………」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

倉庫内の奥に玉座のように置かれた席があり、そこに一人の男子生徒が座っている。

その男子生徒 二宮 達也にのみやたつやは生徒会長の姿を見ると、立ち上がり会釈してみせた。



二宮 達也にのみやたつや

「これはこれは、このようなところへといらっしゃったのは生徒会長であられますとは大変恐縮です

私についてはご存じの事でしょうからまずはお席につかれてください

皆さん、会長に席をご用意してあげてください」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

二宮にのみやは指を鳴らすと、先ほどの生徒が椅子を持ってくる。

二人が向かい合うように席を置くとニコリと笑う。

席へ着くと志野原しのはら二宮にのみやへと話しかけた。



志野原 雫しのはらしずく

「第二学年 二宮 達也にのみやたつやさん

単刀直入に申し上げると我々は貴方を生徒会へと勧誘しに来ました」



二宮 達也にのみやたつや

「そういうご用件でしたかー?

そのお話大変興味がありますので続けていただきたいのですが

もう1人この場に参加させてもいいでしょうか?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「どなたを呼ぶつもりですか?」



二宮 達也にのみやたつや

畠中はたなか

そんなところでヒソヒソしてないで出て来られたらどうですか?」



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃ~んだ。気づいてたんだにゃ~?」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

倉庫の二階から姿を現したのは畠中 祈里はたなかいのりであった。

ぴょんとそこから二宮にのみやの近くへと飛び降りると近くのソファーに身体を丸めて寝転がる。



畠中 祈里はたなかいのり

「アタシもゆっくり聞かせてもらうにゃ~」



志野原 雫しのはらしずく

「いつの間にそんなところに!?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「どのような手段で生徒会内の情報を得たのですか?」



二宮 達也にのみやたつや

「申し訳ありませんが情報源については企業秘密になります」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「ならば、質問を変えましょう

二人とも生徒会に入っていただきたいのですが、ご返答はどうされますか?」



二宮 達也にのみやたつや

「はい、私はそれでよろしいです

畠中はたなかはどうですか?」



畠中 祈里はたなかいのり

「私もそれでいいにゃ~」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

城ヶ崎じょうがさき志野原しのはらはその返答に驚いた。

この二人の説得には時間がかかると思っていたため、意表を突かれる形となったのだ。



志野原 雫しのはらしずく

「え?そんなにあっさり…!?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「決断が早いようで助かります」



二宮 達也にのみやたつや

「そうですか?

ただ私は生徒会からの視点で学園を見てみたいと思っただけでありますよ」



畠中 祈里はたなかいのり

「私も楽がしたいだけにゃ~

生徒会になったら授業でにゃくてもいいんでしょ~」



志野原 雫しのはらしずく

「そんな簡単なことではーーー」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「はい、その通りです

生徒会役員となったものは全単位を取得できます

それでは二人とも準備が終わり次第、生徒会棟へ来てください

早速手続きを行いましょう」



二宮 達也にのみやたつや

「わかりましたー

それじゃあ後は皆さんここはお好きに使ってくださいね」



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃ~ら達也たつや~、一回部屋によって準備しにゃいとだね~」



二宮 達也にのみやたつや

「そうですねー生徒会に入るとなると部屋も移動でしたね

広い部屋だといいですねー」



畠中 祈里はたなかいのり

「ついでにアタシの部屋も片付けにゃいと~

達也たつやに任せるにゃ~」



二宮 達也にのみやたつや

「それは是非とも自分でやっていただきたいものですよ」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

二宮にのみや畠中はたなかは言い合いをしながら倉庫から出ていった。

残された城ヶ崎じょうがさき志野原しのはらもすぐにスラム棟から立ち去ると歩きながら話を始める。



志野原 雫しのはらしずく

「いやに返答が早かったですね…どういう事なんですか?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「おそらく二人とも生徒会へと勧誘されることを察知していたみたいですね

私が予想してた以上にすごい人材を拾ったかもしれません」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

二人は城ヶ崎じょうがさきへと続き、生徒会室に入る事となった。

少しして手続きを終わらせると二人用の学生服が支給される。

本来、月ノ都つきのみやこ学園の生徒は黒い制服が支給されるが

生徒会役員はその識別のため、白い制服を着ることになる。



畠中 祈里はたなかいのり

「白いのもいいにゃ~~」



二宮 達也にのみやたつや

畠中はたなか、汚れないように気を付けてくださいね

毎度洗濯を任されるなんてとてもとても面倒ですからね」



畠中 祈里はたなかいのり

達也たつやはケチだにゃ~

ちょ~っとやるだけじゃにゃいの~?」



二宮 達也にのみやたつや

「ちょっとだけだと思うのなら自分でやってくださりますか…?

私も暇ではないんですよ」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

言い争いをしていると遮るように城ヶ崎じょうがさきが手を叩き、他の役員の注目を引いた。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「これから、二人の紹介および仕事の引継ぎを行います

最初は、他の役員が実務について教えることになるでしょう

その際によく覚えておいてください」



畠中 祈里はたなかいのり

「かしこまりにゃ~」



二宮 達也にのみやたつや

「わかりました」




N→畠中 祈里はたなかいのり

それから三日ほどかけて二人の紹介や、仕事の割り振りを行った。

畠中はたなかは鋭い観察力と隠密能力を活かし

第一学年生徒実力調査員に任命され

二宮にのみやはデザイン能力や情報処理能力、その他収集能力を見込まれ

生徒会制作物管理員として事務仕事をメインとして動くことになった。


そして定例会議の日、13名となった役員一同は円卓テーブルを囲むように席に着く。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「では、仕事の引継ぎも終了しましたので再び調査を再開しましょう

志野原しのはら、今回の事件について初参加の二人に説明も兼ねてください

他の皆様も質問点がありましたら即刻質問を投げかけるように

それでは初めてください」



志野原 雫しのはらしずく

「はい、それでは一連の発端となった事件

八木原 旭やぎはらあさひの起こした虐殺事件

ここでは同好会事件と仮称させていただき再度説明を行います


八木原やぎはらが設立した同好会は一つのイベントを開催しました

それは生徒数名が学園外で茶会をするという内容で集められたものでした

参加生徒は同好会生徒も含め、計27名

首謀者である八木原やぎはらはその場で生徒24名を殺害

その事件は神蔵 修也かぐらしゅうや八木原やぎはらを殺害することで終息しました

その後神蔵 修也かぐらしゅうやは同好会事件での実績と、その後の監査との模擬戦にて実力が証明されて生徒会へと入る事となりました」



二宮 達也にのみやたつや

「その被害者の遺体はどうなってしまわれたんですか?」



志野原 雫しのはらしずく

「これについては詳しい説明は省きますが、会長の所持している虚無ノ御刀うつなしのみつるぎと同じ妖刀によって殺害された際に消失しました」



二宮 達也にのみやたつや

「消失…妖刀……やっぱりそういうことだったんですねー」



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃ~んか難しい話ににゃって来たにゃ~あ」



志野原 雫しのはらしずく

「その事件の後、八木原やぎはらについては鹿苑寺ろくおんじさんが同クラスの生徒を中心に聞き込みを行っていたようでしたが、その結果はどうでしたか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「前にもみんなにすぐ報告したと思うが、大した情報はなかったぞ

そもそもあまり多人数と交流を測るタイプじゃなかったっぽいからな」



志野原 雫しのはらしずく

「はい。

それと同時期に夢野 天ゆめのそらが個人で調査を行っている過程で前会ちょ…

…いえ、敷島 遥斗しきしまはると東郷 椎菜とうごうしいなという協力者と思われる生徒と話していたようです」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「その東郷とうごうって奴に聞き覚えがあんな

夢野ゆめのと同時に早期卒業になった生徒だったっけか?」



志野原 雫しのはらしずく

「はい。現在は防衛隊に所属しているようですが、それ以上については秘匿情報なのでこちらには何も入ってきていません」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ふっ…まぁそりゃ国家機密ってやつだろうから仕方ねぇな」



志野原 雫しのはらしずく

「それから敷島 遥斗しきしまはるとは妖刀 虚無ノ御刀うつなしのみつるぎを使用し、神蔵 修也かぐらしゅうや夢野 天ゆめのそらを襲撃

その場に合流した会長が敷島しきしまを鎮圧、警察へと身柄を引き渡しました」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「つーかよ

事件について遥斗はるとに聞きに言ったりできねぇのか?

なんだったら俺が行ってやってもいいぞ」



志野原 雫しのはらしずく

「現在敷島しきしまさんは尋問を行っているんですよね

それでしたらいずれ面談を行うことは出来ないんですか?」



N→畠中 祈里はたなかいのり

城ヶ崎じょうがさきは少しの間悩んだのち口を開く。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「混乱を防ぐために私が独断で生徒会や学園内での情報規制を図っていたため、この場を借りてお伝えします

敷島 遥斗しきしまはるとを乗せた警察車両が移送中に突如襲撃を受け

移送にあたった警官4名

および敷島 遥斗しきしまはるとが現在行方不明になっています」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「はぁっ!!?行方不明って……

そもそも警察を襲うなんてガチのテロ行為じゃねぇか!?」



志野原 雫しのはらしずく

「そんな事件があったなんて…

所在の一切がわからないんですか?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「えぇ…こんな事をする団体など一つしかありません」



二宮 達也にのみやたつや

CARDIEDカディド…ですか?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「そう断定してもよいでしょう

これまでの行動パターンや出現位置が酷似しているため、私はそう見ています」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「なにやってんだ…あいつはよ

ほんとに馬鹿野郎だ」



志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじさん……」



畠中 祈里はたなかいのり

「ふわぁぁ(欠伸)

こ~ちゃんはその敷島しきしま?って人とは仲良かったのにゃ~?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「こーちゃん!?

あ、あぁ…あいつとは同時期に生徒会に入って色々仕事もやったからな

あいつがあんなになるまで気づいてやれなかった

すべて俺のせいだと思ってる」



|畠中 祈里はたなかいのり

「そうにゃんだ~?にゃ~るほど~」



二宮 達也にのみやたつや

「聞いておいてなんですが、畠中はたなかはあまり理解してないですよ」



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃはは、バレてるにゃん」



志野原 雫しのはらしずく

「この二つの事件を再調査させるというのはなぜなのでしょうか?

私から見ると既にこの事件は終わっていると思うのですが…」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「私もそう思いたいですが、会長が最後に残した言葉があります

移送車へ乗り込む際に、まだ事件は終わってない…そう残してました


同好会事件では八木原やぎはらは内向的な性格であったのに関わらず不自然ともいえる行動、それに計画性

多人数の集客といったところに疑問点が上がらなかったこと


そして敷島 遥斗しきしまはるとについて

私が調べたところ見られた形跡のない幼少期の診断書が出てきました

そこには過去に問診された敷島 遥斗しきしまはるとの精神障害について記載されていました

ですが、この事については私も事件の際初めて知りました

これはどうして上がらなかったのでしょうか?


このように我々の調査方法には穴があります

今後は、このようなことが起こらないように尽力するとともに

その『終わってない』という言葉。必ず何かあると私は見ています」



畠中 祈里はたなかいのり

「その元会長さんのデマカセだったりしにゃいの?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「そうであればよいのですが、我々は最悪を考えて動かなければなりません

ましてや万が一にも同好会事件の再発を起こすわけにはいきません

ですので、再度徹底的に洗っていきましょう

そして裏に何者かが潜んでいるというのならば必ず…斬ります」



二宮 達也にのみやたつや

「……怖いですねー」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

志野原しのはらには八木原やぎはらの情報及び同好会設立に関わった人物をすべてあげてください

どんな些細な事でも記載して構いませんので徹底的にお願いします」



志野原 雫しのはらしずく

「かしこまりました」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「それでは二宮にのみやは不審な動きをしているような生徒がいたら報告してください

畠中はたなか二宮にのみやの判断に従い動いてください」



畠中 祈里はたなかいのり

「かしこまりにゃ~」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「それでは鹿苑寺ろくおんじさんには私の実務の一部をお願いしてもよろしいですか?私を除くと出来るものは限られていますので」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ふっ、おう任せろ」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「それでは本日の定例会議を終了します。

各自、定時連絡を欠かさぬようお願いします」



N→畠中 祈里はたなかいのり

一同が職務をこなすため外へ出ていき室内には城ヶ崎じょうがさき鹿苑寺ろくおんじが残った。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「すみません

こんな雑用を頼むことになってしまって」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「気にすんな

年齢は上だが立場はお前が上司だ

俺はその判断が正しかったと思うし

お前が会長になるのはどうせわかってたしよ

つーか俺に決まっても断るつもりだったんだ」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「そう言っていただけると助かります」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「それより、お前は大丈夫なのか?

遥斗はるとはお前にとって恩師みたいなもんじゃねぇのか?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「はい。ですが今はただの犯罪者です

そのように認識しているので心労などは一切ありません

ご安心ください」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「お、おう…?ずいぶん冷てぇな?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「会長との約束は果たしました

それ以上恩情をかける必要はありません」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「お前も肩の力抜けって

生徒会長って立場は軽はずみにできるもんじゃねぇが張りつめすぎると遥斗はるとみたいに心底まいっちまうぞ」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「いえ、そういうわけにもいきません

私は生徒会長として、その責務を全うする事だけを考えなければなりません

気を抜く等、この立場の者がする暇はないです

それに、明鏡止水めいきょうしすいがある間は嫌でも気を抜くことはできません」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「初代生徒会長考案の絶技 明鏡止水めいきょうしすいか‥‥

常日頃より精神を研ぎ澄ますことによりあらゆる局面において絶対無比の行動を可能とする技……

そんな技を保ち続けるなんて身体が何個あったって足りねぇっての」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「そうかもしれませんね

ですが、この身朽ち果てようと私は生徒会長として学園を護らなければならないのです」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「どっからそんな覚悟が来てるんだか知らねぇがよ

まぁ自分を滅ぼさねぇよう気を付けるこったな」



N→志野原 雫しのはらしずく

それから少し後、二宮にのみや畠中はたなかを連れて生徒へと聞き込みをしていた。

畠中はたなかはその途中、ふらりとどこかへ行っては女子生徒へと話しかけていたが

いつもとは違い、そのままどこかへ居なくなったりはせず目の届くところに留まっていた。



二宮 達也にのみやたつや

「珍しいこともあるものなのですね

畠中はたなかがここまで仕事熱心に出来るとは正直奇跡を見てる気がしてます」



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃんて失礼な

アタシだって真面目な時くらいあるんだよ~」



二宮 達也にのみやたつや

「普段でしたら頼んだ仕事を踏み倒してどこかに行ってしまうのですからね

正直、真面目に仕事をすることができないものと思っておりましたよ」



畠中 祈里はたなかいのり

「それは心外だにゃ~」



二宮 達也にのみやたつや

「今回の事件に興味でも沸きましたか?」



畠中 祈里はたなかいのり

「ただの気まぐれだにゃあ」



二宮 達也にのみやたつや

「仕事ですのでこれからもしっかりとやっていただきたいものですが…

はぁ…このペースでやってはキリがないですね

私は私なりのやり方で探すとしましょうか」



畠中 祈里はたなかいのり

「別行動でもするのかにゃ~?」



二宮 達也にのみやたつや

「あぁ、そうですねー

畠中はたなかに一つお願いしてもいいですか?

今から見張ってほしい人がいるんです

その際の注意事項ですが、もし何か起こっても―――――」



N→志野原 雫しのはらしずく

その指示を受けると畠中はたなかは身体をくるりと一回転させてニコリと笑う。



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃ~るほど、そういうことなら任せてにゃ」



二宮 達也にのみやたつや

「あ…行ってしまわれましたね

本当に理解しているのか不安ですが任せるとしましょう」



N→畠中 祈里はたなかいのり

それから数時間経ち、夕方に迫る頃

志野原しのはらは1人で八木原やぎはらの身辺調査を行っていた。

同好会の使用していた教室に入ると、そこには以前のまま放置されている個人の所有物が置いてある。

棚のひとつに夢野 天ゆめのそらを入れた5人の生徒たちが一緒に撮った写真が飾ってあった。

そこには八木原やぎはら神蔵 修也かぐらしゅうやの姿もあり、アルバムの写真かのように平和な日常の一枚が収められていた。



志野原 雫しのはらしずく

夢野 天ゆめのそらさん……

私は彼女を戦闘演習の映像で見た以外に話したことがあまりなかったけれど

あんな強さをどうやって手に入れたものだろうと思ってた

でも、こうやってみると普通の女子生徒にしか見えない

それに八木原やぎはら修也しゅうやくんも…

なにが変えてしまったんだろう…?」



N→畠中 祈里はたなかいのり

教室内でノートパソコンを開き、監視カメラの映像が保存されたものを繰り返し高速再生しながら考え事をしていた。

その映像はこの教室を中心に両隣の部屋の扉が映るように録られており、八木原やぎはら夢野 天ゆめのそらの姿が定期的に映りこんでいる。



志野原 雫しのはらしずく

「残っていた監視カメラの映像を見ても八木原やぎはらはここと寮以外に行った様子はなかった

その間にどうやって妖刀を手に入れていたの…?

あんなものを隠して持つなんてできないはず……

そういえば……刀を教室に持ってきているのならばわかるはず…」



N→畠中 祈里はたなかいのり

監視カメラの映像を探しながら八木原やぎはらの荷物を注視して再生していた。

そこで八木原やぎはらは入室するときは何も持っていなかったのだが、退室する際に刀でも入りそうな細長い袋を持っているのに気がつく。



志野原 雫しのはらしずく

「え…?こんなもの部屋に入るときは持ってない

ここに入ったほかの生徒も刀なんて持ってきてるのは映ってない…

八木原やぎはらはどこでこれを…?」



N→畠中 祈里はたなかいのり

志野原しのはらはとある事実に気がつき、急いでパソコンを閉じると廊下へと飛び出した。

そして監視カメラの位置を確認したが、この教室に入る方法は扉以外では窓しかなく

扉から入ろうとすると、どのような角度から入っても持ち物をカメラから隠して入る事はできないようになっている。



志野原 雫しのはらしずく

八木原やぎはらは部屋から刀を突然持ち出した……どこからこれを?

誰かが渡した…としてもきっと同好会の人達じゃない…

とするとこれは室内で見つけたことになる………

…いえ、もし仮に元の持ち主が隣の部屋から窓をつたって入れば…気づかれることなく渡すことができる

ってことは隣の部屋に入った人を見てみればもしかして!?」



N→畠中 祈里はたなかいのり

志野原しのはらは報告をしようと端末を取り出し、会長へとメッセージを送ろうとする。

考え事をしながら集中していた志野原しのはらは突如として背後から迫っていた者に気がつかなかった。



N→二宮 達也にのみやたつや

そしてそれから数十分後。

志野原しのはらが襲撃されたと連絡を受けて城ヶ崎じょうがさきは急いで医務室へと向かう。

扉を開けるとすぐに医療職員が気づいたようでベッドを囲む仕切りカーテンを少し開ける。

そのベッドに寝かされている志野原しのはらは意識はあるようで城ヶ崎じょうがさきが来たことに気がつくと申し訳なさげな表情を浮かべて俯いた。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

志野原しのはら!大丈夫ですか!?」



志野原 雫しのはらしずく

「はい…会長すみません

何者かに襲われたのですが…突然のことで……

黒いローブを着ていたので…正体を突き止められませんでした……」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「怪我は…?」



N→二宮 達也にのみやたつや

志野原しのはらは痛みに顔をしかめながら布団をめくる。

そこから見えた足は膝から先がなく、血が滲んだ包帯が巻き付けてあり沢山の氷で切断面を冷やしていた。



志野原 雫しのはらしずく

「どうやってやられたのか気がつきませんでした

対峙して武器を構えた時にいきなり足元が悪くなったかと思ったら、足が‥‥切られていました

そのあとどうして無事だったのかはっきり覚えてないんですが、畠中はたなかさんが発見してくれたようで応急措置をされて止血も適切にできたので命に別状はないとのことです…」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「救急車がそろそろ来るはずです

緊急治療を受けてください」



志野原 雫しのはらしずく

「でも…会長!

私のミスで…取り逃がしたんです

このまま引き下がれません!」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「この事件は犯人の存在を断定できず軽視した私の責任です

志野原しのはら…今、貴女が戦っても邪魔になるだけです

あとは私に任せてください」



志野原 雫しのはらしずく

「でも会長っ!!

……ほんとうに…すみません!……っ」



N→二宮 達也にのみやたつや

志野原しのはらは涙を流す。

悔しさがこみ上げ、唇を血がでるほど噛みしめていた。

城ヶ崎じょうがさきは後のことを教師に任せて生徒会役員に連絡を送る。

その際、鹿苑寺ろくおんじ二宮にのみやが応答しなかった。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「現在、学園内に生徒に危害を加える可能性のある危険人物がいることが確認されています

しかしこの情報はまだ一般生徒へは公開をしません

もし今通達すれば生徒たちは混乱し、パニックに陥ってしまうことでしょう

その騒ぎに乗じて紛れてしまうと断定ができなくなります

ですので情報は生徒会内だけに共有し、まずは学園内で包囲しましょう

もし犯人と思われる人物を目撃した場合には、直ちに私に連絡してください」



畠中 祈里はたなかいのり

「わかったにゃ~!会長さんはどうするんだにゃ?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「私は…一度生徒会室に戻りますがすぐに巡回を開始します

皆さんは直ちに捜索をお願いします…が、くれぐれも油断しないよう気をつけてください


それと…連絡に応じなかった鹿苑寺ろくおんじさんと二宮にのみやはもしかしたら犯人と交戦中かもしれません

もし連絡がありましたら、反応できる者が私の言ったことを説明してください」



N→二宮 達也にのみやたつや

端末を切ると城ヶ崎じょうがさきは憤怒の表情を浮かべ、急いで生徒会室へと向かう。

その道中、城ヶ崎じょうがさき鹿苑寺ろくおんじは生徒会棟の近くで遭遇した。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

鹿苑寺ろくおんじさん!?ご無事でしたか!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

城ヶ崎じょうがさきっ!志野原しのはらは大丈夫なのか!?

怪我したって聞いたが無事なのか!!?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「はい…幸い命に別状はありません

この後、救急車が到着して搬送されれば大丈夫です

犯人によって…両足を綺麗に切断されていました

適切な対処ができているので接合すると思いますが、精神的ダメージの方が大きいでしょう」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「くそっ!どうなってんだ!

そんなのがうろついてやがるなんて!!!

それより城ヶ崎じょうがさき!お前武器は持ってないのか?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「今から取りにいくところです

鹿苑寺ろくおんじさんも十分気をつけて捜索してください」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「なぁ城ヶ崎じょうがさき

なんでそいつは志野原しのはらを襲った?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「生徒会内の会議が漏れていた可能性…いえ、それよりも最悪のケースを考えています」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「生徒会内に裏切り者がいるか…そんなことがあるってのか?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「ないとは言い切れません…

そうあってほしくないものです」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「怪しいやつに心当たりはあるのか?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「いえ…思い当たる人はいません」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「俺は少しだけ心当たりがある…

また神蔵 修也かぐらしゅうやの時みたいに内部に入り込んで情報を得ようとしたやつがいるんじゃねぇのか

…例えばだがーーー」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

二宮にのみや畠中はたなかが怪しいと言いたいのですか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ないって保証もねぇだろが!

ここまで目撃情報がねぇんだ…

外から入ってきたやつって可能性より内部にいるものの犯行って方が高ぇだろ!」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「まさか……」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「俺は二宮にのみやを探ってみる!

お前は畠中はたなかを探してくれ」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「わかりました」



N→畠中 祈里はたなかいのり

数分して城ヶ崎じょうがさきは生徒会室に入ると自室へと入った。

そこに普段使用している太刀を持つと同時に端末にメッセージがくる。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「黒ローブの者を見つけた?」



N→畠中 祈里はたなかいのり

メッセージには鹿苑寺ろくおんじから怪しい者を見つけたが遠目だったからすぐに見失ったと個人宛に送られていた。

その正体は黒いローブを着ており、戦闘の際に袖から白い制服を着ているのが見えたようだ。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「やはり生徒会役員に裏切り者が……一体誰が」



N→畠中 祈里はたなかいのり

メッセージには他に生徒会棟の一つ隣の西側の棟付近の位置が送付されてあった。

他の生徒の現在位置を連絡するように送ったが、一向に二宮にのみや畠中はたなかの返信がこない。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「まさか…二人が?」



N→畠中 祈里はたなかいのり

城ヶ崎じょうがさきは送付された位置へと急いで向かったが、そこには生徒会役員はおらず 、通常生徒たちが移動教室であったようで外を歩いていた。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「ここでは戦っていない?鹿苑寺ろくおんじさんは犯人を追いかけていった…?」



N→畠中 祈里はたなかいのり

その直後、とある人物からメッセージが入った。



N→志野原 雫しのはらしずく

その頃、鹿苑寺ろくおんじは普段人目につかないような東側の校舎裏で隠れていた。

そこに小走りに二宮にのみやが駆けつける。



二宮 達也にのみやたつや

鹿苑寺ろくおんじ先輩、大丈夫ですか?

先ほど交戦中とおっしゃってましたが?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「…あぁ、今のところは大丈夫だが

それよりお前、さっきからずっと連絡していたんだぞ!」



二宮 達也にのみやたつや

「あぁー役員用端末での連絡方法がよくわからなくて困ってたところでしたよー」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけにゆっくり近づいていく二宮にのみや

突然、二宮にのみやは背中に添うように隠していた曲刀を鹿苑寺ろくおんじに向けて振り下ろした。

ガキンと金属同士がぶつかる音が鳴る。

二宮にのみやの攻撃を鹿苑寺ろくおんじは袖から出した十手で抑えて攻撃を防いだ。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「なにしやがんだてめぇ!!」



二宮 達也にのみやたつや

「やはり貴方でしたか…」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじは指を糸人形を操作するように動かした。

すると二宮にのみやは思い切り飛び下がり、曲刀をくるりと回す。



二宮 達也にのみやたつや

「危ないですねー。それよりもこのワイヤーテクニック流石のものですね」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ふっ、賞賛の言葉ありがとよ」



N→志野原 雫しのはらしずく

二宮にのみやは辺りを見渡すと、鹿苑寺ろくおんじの指先から無数の細いワイヤーを近くのベンチや木々、電柱などにまるで蜘蛛の糸のようにはわせており

その指の動きにより操作され、その形を変えるようで日の光に反射する形で目視することができていた。



二宮 達也にのみやたつや

「これで志野原しのはらさんの足を切断したんですね

すごい技術ですよーまるで暗殺者みたいですね」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「いかにも俺は暗殺担当だからな

こういった事は専門分野だ」



二宮 達也にのみやたつや

「貴方が生徒会を襲った理由はどうしてなんでしょうかね?

お聞かせ願いたいものです」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「なーに、話は簡単だ

上からの指示で退却が命じられたんだ

このまま帰るのも何だから土産ついでにここの戦力を削いでから帰ろうと思ってな」



二宮 達也にのみやたつや

「そういうことですか…大方理解しました」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そういうことだ

生徒会は俺らにとって無視できない戦力の1つだ

ただ、お前は新参だろ?

しかもあんまり生徒会に対して従順に協力するって感じでもなさそうだ

ここで殺すってのも可哀そうだし見逃してやるからさっさといけ」



二宮 達也にのみやたつや

「そうしたいところも山々なのですが、貴方とお話でもして時間稼ぎでもしようかなーと思ってまして付き合っていただけますか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「めんどくせぇ奴だな…

先輩への思いやりはねぇのか?

可愛げのねぇ後輩だよ!」



N→志野原 雫しのはらしずく

再度鹿苑寺ろくおんじは攻撃を開始する。

二人の攻防が続いてる音を感知した畠中はたなかはあらかじめ近くの物影へと潜んでいた。

遠くから眺めているとワイヤーのようなものを巧みに操り、二宮にのみやの身体を掠めているのが見える。



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃにゃっ?あれは達也たつやかなりピーンチって感じだにゃ~

加勢してあげよっかにゃ~…

そーっと、しにゃいと…にゃっつ!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじの背後から一気に攻撃をしかける。

だが、鹿苑寺ろくおんじは咄嗟に反応し、後頭部への攻撃を瞬時に回避した。

少し後方へと飛び下がり二人を正面に見据えるように立ち塞がり、攻撃の構えをとる。



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃんと!?こーちゃんすっごい対応力!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「…どういうことだてめぇ

ここで増援とはハナからここでやり合うつもりだったのか?」



二宮 達也にのみやたつや

「さぁー?どういうことでしょうかね」



畠中 祈里はたなかいのり

「たーつや?ピンチっぽいから援護してあげるのにゃ~」



二宮 達也にのみやたつや

「なくても大丈夫…と言いたいのですが

鹿苑寺ろくおんじさんはかなり強いので焦ってました

ナイスタイミングですよ」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ちっ…1対2だとしたらもう恩情はねぇぞ

本気で殺す気でいくからな!!」



畠中 祈里はたなかいのり

「こーちゃん嫌いじゃないけど、殺されるのもやだから反撃するのにゃ~」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじは武器を構え直す。

それに合わせて二宮にのみやも二本目の曲刀を懐から出し

畠中はたなかは猫の手のような形をしたナックル型グローブをどこからか取り出した。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「なんだその武器は?コスプレ大会じゃねぇんだぞ」



畠中 祈里はたなかいのり

「見た目で判断しにゃいでよ~?

こう見えてもアタシは結構強いんだよ~」



二宮 達也にのみやたつや

「そういえば共闘とは初めてですね

さぁ行きましょうか!」



N→志野原 雫しのはらしずく

二人は同時に二方向に分かれる。

畠中はたなかは正面から突撃、二宮にのみやは背後に回るように移動する。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「いい連携だ…ほんとに初めてか?」



畠中 祈里はたなかいのり

達也たつやは思い切りが弱いからアタシが先導しないとなのにゃ~」



二宮 達也にのみやたつや

「いいえ、畠中はたなかが勝手に動いたところを私が合わせているだけですよ」



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃにお~??アタシは好きにやるのがーーー」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そんなもんどっちでもいいわ!

まずは正面からいくぞ!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

十手の突きを畠中はたなかへと繰り出す。

それをナックルで弾くように防ぐと、懐に潜り込み拳を繰り出した。



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃにゃっ!!!」

かしづめ



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「うおっ!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

ナックルが腹部に繰り出される瞬間

仕込み刃のようなものが三本ナックルから飛び出すのが見えた。

それに気づいた鹿苑寺ろくおんじは身体をくねらせ回避させると、そこに背後から後ろ首に向かい曲刀が襲い掛かる。



畠中 祈里はたなかいのり

「惜しいにゃ~!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「あぶねっ!!

こんなもん仕込んでやがったか!

なんか腕っ節はパッとしねぇやつだと思ってたが案外やるじゃねぇか」



N→志野原 雫しのはらしずく

後ろからの攻撃を横にステップして回避すると、二人を斜めに見据える。



畠中 祈里はたなかいのり

「能ある猫は爪を隠すんだにゃあ〜」



二宮 達也にのみやたつや

「それを言うなら能ある鷹ですが…

それはさておき、もらいました!」

三刃烏さんばがらす



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そう甘くはねぇぞ!馬鹿野郎!」



N→志野原 雫しのはらしずく

二宮にのみやは曲刀を振るう動作から一転し三つのナイフを空中に向けて投擲した。

そのナイフはまるで空中から獲物を啄ばむように落下する。

鹿苑寺ろくおんじは即座に手元のワイヤーを引く。

すると近くの障害物に巻き付けられたワイヤーに飛んでいたナイフが弾かれ

力の向きが変わり二宮にのみやへとナイフが返ってきた。



二宮 達也にのみやたつや

「おや!?そんな使い方まで出来るんですねっ!?」



N→志野原 雫しのはらしずく

状態を反らして回避するが、その瞬間手に持っていた曲刀が突如引っ張られてしまう。

いつの間にかワイヤーが二宮にのみやの曲刀に巻き付いており

引っ張られたその勢いで二宮にのみや鹿苑寺ろくおんじ畠中はたなかの間に割って入る形となる。

思いがけない身体の動きをしてしまい、繰り出された足蹴りを脇腹に受けてしまう。



二宮 達也にのみやたつや

「ぐっ!!?」



畠中 祈里はたなかいのり

達也たつやっ!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

吹き飛ばされた身体を受け止めようとするが、畠中はたなかは思い切り後方へと飛び下がる。

蹴とばされた勢いで体勢は崩していたものの、なんとか持ち直し振り返りながら着地した。



二宮 達也にのみやたつや

「避けるなんてひどいですね」



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃんで~アタシが達也たつやを優しく受け止めなきゃいけにゃいのさ~

制服を汚すなって言ったの達也たつやだにゃ~」



二宮 達也にのみやたつや

「まぁ…その判断は正しかったですから許すとしましょうか」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ずいぶん勘がいいじゃねぇか

もし素直に受け止めてたら二人ともワイヤーでグルグル巻きだったんだがな」



畠中 祈里はたなかいのり

「グルグル巻き~!?それは怖いにゃ!

ボンレスハムみたいになっちゃうにゃんてや~だ!!」



二宮 達也にのみやたつや

「スライスハムの間違いじゃありませんか?」



畠中 祈里はたなかいのり

「ど~~っちでもいいのにゃ!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ご名答。この鉄線には電気を通していてな

身体に仕込んだバッテリーから電力を通して電熱線にすることにより

刃物にも劣らない殺傷力を得られるんだ」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじは上着のボタンをはずし、中を見せる。

隠すように身体の各所にバッテリーのようなものと、電線が巻き付けられており、その下には絶縁体であろうゴム製のタイツを着こんでいた。



二宮 達也にのみやたつや

「すごい恰好ですね…コスプレと言ってましたが一体どちらの事でしょうかね」



畠中 祈里はたなかいのり

「ほんとだにゃ~!こーちゃんに言われたくにゃいんだけど〜」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「これを隠すための黒ローブだったんだが今は手元にねぇから仕方ねぇな

それじゃあ再開といこうぜ!」



二宮 達也にのみやたつや

畠中はたなか!まだ周りにワイヤーがあります!!」



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃにゃっ!!?」



N→志野原 雫しのはらしずく

二人は咄嗟に付近を確認し、ワイヤーの位置を見つけた。

それはこちらを取り囲むように幾重にも張っており、どれがどう巻き取ってくるのか予想がつかなかった。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「さぁ踊りな!」

傀儡舞踊会マリオネット・ダンスパーティー



N→志野原 雫しのはらしずく

ワイヤーを引くと二人は目視で確認してから回避行動をとった。

しかし二人の身体は制服ごとワイヤーが掠めていき、切られた箇所から血が滲み出ている。

傍から見ると鹿苑寺ろくおんじの手捌きに合わせて踊る人形のようになっていた。



畠中 祈里はたなかいのり

「痛っ!にゃんてスピードにゃの!?」



二宮 達也にのみやたつや

「これほどまで張られていたとは…どの時点で?」



畠中 祈里はたなかいのり

「これじゃあずっと回避にゃんて出来にゃい!」



N→志野原 雫しのはらしずく

二宮にのみやは少し考えるが即座に答えが出る。



二宮 達也にのみやたつや

「私と戦う前から既に張っていた…というわけですか

攻撃を敢えて仕掛けさせて…自分のテリトリーへと誘い込む

獲物に対して腹を見せるとは……

まんまと術中に嵌まってしまったわけですね」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「お前はずいぶん頭が切れるな

そこの畠中はたなかといい

この技を初見で躱せるやつなんて早々いねぇんだがな

師匠にもこんなんじゃ怒られちまうな」



二宮 達也にのみやたつや

「その口ぶりですと、私たち以外にも避けれた人がいるんですか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ふっ……教えてやろうか?

お前も知ってるだろ、前に生徒会にいた神蔵 修也かぐらしゅうやだよ」



二宮 達也にのみやたつや

「彼が…?なる…ほど……!!

ほんとこれ流石にきついですねっ!!」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「あんまり興味なかったって顔だな?

まぁどうでもいい。もうそろそろいい時間だ

お前らにトドメを刺してずらからせてもらうぜ!!」

傀儡舞踊会マリオネットダンスパーティー・第にーーー』



二宮 達也にのみやたつや

「最後に二つほど言いたいことがあります

それだけ聞いてからでも遅くないですよ」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ふっ、くだらねぇ時間稼ぎでもする気か?

残念だが、俺のデマ情報で城ヶ崎じょうがさきは今かなり遠い校舎に向かってる最中だ

他の奴らの合流があったところで無駄死にが増えるだけだぞ」



二宮 達也にのみやたつや

「そうでしたらよかったんですが…

ほんの1分ほどで終わりますから」



N→志野原 雫しのはらしずく

その話を聞き、鹿苑寺ろくおんじの顔は鬼の形相に変わる。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「どういうこと…だ?」



二宮 達也にのみやたつや

「そのままの意味ですよ

それにどうせ貴方はここで倒されます」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ちくしょうが…!俺が……まさか」



畠中 祈里はたなかいのり

「会長が来たにゃっ!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

場に重々しい空気が立ち込める。

そこへゆっくりと歩きながら迫る姿があった。

城ヶ崎 健じょうがさきたける

月ノ都つきのみやこ学園生徒会長であった。

隣を歩く生徒会役員監査はアタッシュケースを持っており、ゆっくりと一礼して城ヶ崎じょうがさきにそれを手渡す。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「まさか貴方が黒幕だとは思いませんでした

鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「随分早い到着だな…

どうやってここがわかった?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

二宮にのみや畠中はたなかがあえて連絡を怠ったことで

私は二人を一度は怪しみ、そして二人を捜索しようと動きました

おそらく二宮にのみやがここに来るよう誘導しましたね」



二宮 達也にのみやたつや

「はい、しっかりと意図を組んでいただけたようで安心しました」



畠中 祈里はたなかいのり

「さっすが達也たつや~!抜け目にゃ~い」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「そしてその後、志野原しのはらから一枚の写真が送られてきました

それは八木原やぎはらの同好会を承認させたのが貴方であること

今改めて考えれば、貴方以外で彼とコンタクトをとれる人物はいませんでしたね」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「だが、それで俺が犯人であるとわかったってのか?

ちょっと前にようやく気付いたってか…?

そんなわけねぇよな……?

お前ほどの奴がそんなに勘が悪いわけねぇな

断定には至らない何かがあったんだろ」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「えぇ、三つほどあります

まず一つ目、貴方が私への報告を怠ったこと

貴方は普段から報告を怠らない性格です

ですが、珍しく八木原やぎはら敷島しきしまの調査漏れが短期で起こり、今回でも志野原しのはら襲撃の際に連絡のラグが生じました

この事には少し違和感を感じました


二つ目は、私に誤った目撃情報を伝えた際のことです

敵が単独犯であったとはいえ、目撃情報などの詳しい情報がありませんでした

焦っているにしても粗雑と言わざるを得ない報告です

報告はまるで陽動のための軽いデマかせのようで、私は貴方の真意を疑いました


三つ目、先の陽動には似たようなことがありました

メインのターゲットから注意を逸らし

戦力を削ぎながら最終目的地に向かうという手法は

以前に起こった八木原やぎはらの事件と類似しています

貴方がその手法を提案したのでしょうね



それらを照合し私は直前で貴方が容疑者と断定しました」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「そんな理由で気づきやがったのか?

普通そんなんで断定できねぇだろ…

やっぱりお前はすげぇよ

けど…敵に回すと本当にやべぇ奴だな」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじは十手の先を向ける。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ふっ、お前とは言え今この場で俺を倒せるか?

ここは俺の独断舞踏会場マイステージだ!!」



二宮 達也にのみやたつや

「会長、私たちも加勢いたしましょうか?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「無用です…私はこうなると思い、これを持って来させました」



N→志野原 雫しのはらしずく

アタッシュケースに端末をかざし、電子音が鳴るとケースの蓋が空いていく。

中には刀が入っており、それを城ヶ崎じょうがさきはゆっくりと手に取った。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「私一人で駆逐します…二人は手を出さないでください」



畠中 祈里はたなかいのり

「ん~まぁ会長さんがそういうにゃら~~りょ~かい」



二宮 達也にのみやたつや

「変に加勢しても邪魔になってしまいますね、かしこまりました」



N→志野原 雫しのはらしずく

二人はゆっくりと後方へ下がっていく。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「これが何かはご存じですね」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「お前…そいつを使うってのか!!?

ぶっつけ本番で使いこなせるわけねぇだろ!」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじの表情に焦りの色が浮かぶ。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「妖刀 虚無ノ御刀うつなしのみつるぎ

才能を有する実力者に更なる力を与える刀

実力を持たない者が触れればその生命すらも狩り尽くす

確かに…使用するのは初めてです

しかし、問題ありません

貴方をここで斬る事ぐらいはできるでしょう」



N→志野原 雫しのはらしずく

ゆっくりと柄に手を添える。

しなやかに、しかし力強く、彼に力を与えるかのように光る刀身が徐々に姿を見せ始めた。

抜刀し煌びやかに輝く刀身は青黒く光り、辺りを照らしだす。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「信ずるものは正しき道、悪とするは不秩序こそ

己が信念を刃先で指し示す

立ち塞がる壁は斬り捨て、いざ進まん

虚無ノ御刀うつなしのみつるぎよ……その御力、お貸しいただきます」



N→志野原 雫しのはらしずく

その言葉に呼応したように光は勢いよく刀へと吸い込まれるように消えていく。

城ヶ崎じょうがさきは目を閉じ、そして構えをとる。

その威圧に対面した鹿苑寺ろくおんじだけでなく二宮にのみや畠中はたなかも身体の震えを覚えていた。



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃに、この光…!?」



二宮 達也にのみやたつや

「これほどとは…驚きましたね」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「これが…妖刀っ!!?

知ってはいたがすげぇ力だ…まったく惜しいぜ

これほどの力が出せる奴が俺らにとって最大の敵だとはなぁ!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじも負けじとワイヤーに指をかける。

二人は刀の射程からは遠く離れており、近づくまでに5秒はかかるであろう。

その鹿苑寺ろくおんじのワイヤー殺傷技術は1秒の間に1度の攻撃が可能。

5回は城ヶ崎じょうがさきを斬り刻むチャンスがあるだろう。

だが、鹿苑寺ろくおんじの脳内に凄まじい危険信号が鳴り響く。

逃げろ!と本能、感覚、そして経験から来る直感が告げている。

しかし鹿苑寺ろくおんじはある理由で退くことができなかった。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「腹くくるしかねぇな…!!かかってこいよ会長っ!!!!」

傀儡舞踊会・第二幕マリオネットダンスパーティー・セカンドアクト!!!!』



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじは付近にあったワイヤー全て

逃走用に残しておいたもの、ほかの役員の援護をせき止めるためのもの

自分を守るためのもの

それらを3秒かけてまき直し、城ヶ崎じょうがさきへと一気に向けた。

反撃をさせる間もない一撃を決める。

それ以外に選択肢はなかった。

全てを使ったその一撃で城ヶ崎じょうがさきを殺すつもりでワイヤーを勢いよく引き絞る。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

明鏡止水めいきょうしすい



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「Shall we dance!!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじは一気にワイヤーを引き城ヶ崎じょうがさきへと巻き付け、切り刻もうとする。

対して城ヶ崎じょうがさきはゆっくりと歩きだし、鹿苑寺ろくおんじとの距離を詰めていく。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「抵抗しねぇってんならぶち殺すぞ!!!」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

影斬かげきり!」



N→志野原 雫しのはらしずく

城ヶ崎じょうがさきは刀を半円を描くように辺りに一閃。

すると刃先からまるで影のように黒い衝撃波が飛び出し、空中に5発飛んでいく。

その影は、城ヶ崎じょうがさきの周りにあったワイヤーすべてを斬り裂き空中で四散した。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「なんだとっ!?いきなり技が使えるってのか!!?

こぉんの化け物がぁよおおぉ!!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじは十手で突撃する。

頭に血が上り無作為に攻撃を仕掛けたわけではない。

この妖刀の力を知っていたからこそ近づいたのだ。


そう、虚無ノ御刀うつなしのみつるぎは妖刀の中では中距離の相手に対して真価を発揮する技を得意とする。

ゆえにそれを封じるために近距離へと迫る事で妖刀の技を封じようとしていた。

しかし、城ヶ崎じょうがさき相手にそれは誤算であった。

距離が離れていれば妖刀の技を受けて、負けてしまう。

だが逆に近づけば刀の間合いに入ってしまい、一刀で敗北する。


城ヶ崎じょうがさきと見合った時点で敗北が確定していたのであった。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「終わりです」

鏡華水玥きょうかすいげつ



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじは反撃に合うのを念頭に置かれ一撃を喰らう前に距離をとるつもりであった。

ほんの一瞬。

1秒にも満たない時間。

だがそれだけの隙で鹿苑寺ろくおんじは斬られたのだ。

その一撃は見ていた畠中はたなか二宮にのみやはおろか

喰らった鹿苑寺ろくおんじですら目視することができなかった。



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ぐあぁぁっつ!!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじは深い一撃を受けて、地に足を付いた。

ひどい流血により、意識が朦朧とし始め立ち上がれなくなる。

顔をゆっくり上げると首元に御刀みつるぎの刃先を向けたままこちらを見下ろす城ヶ崎じょうがさきと目が合う。



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃ…にゃんて一撃にゃの!?

全然見えにゃかった…」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「なにか言い残す事はありますか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ぐっ…そんな下らねぇことを言うつもりねぇよ…!」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「では私から質問があります」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「聞くだけ聞こうか…

答えるかどうかはわかんねぇがな」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「貴方はどこに属しているのですか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「ふっ、お前が想像している通りだよ」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「やはりCARDIEDカディドが絡んでいるんですね

黒いローブ…つまり敷島 遥斗しきしまはるとも関わっていますね」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「どっちとも言えねぇな

ハナから関わっちゃいなかったが…まぁそりゃ本人に聞きな」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「どういうことですか?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「残念だが時間切れだ」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじはその刃先を手で掴み、引き寄せる。

そしてその刃先を自らの首元へと突き刺した。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「なっ!?」



鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

「こ…こ、んな……感…じか、死ぬ…って……

ぐっがああああぁぁぁぁああぁぁああぁぁっ!!!」



N→志野原 雫しのはらしずく

鹿苑寺ろくおんじから色が抜けていくように徐々に身体が黒く染まっていく。

そして目の前で激しく割れたガラスのように粉々に砕け散る。

強い風が吹き、その残骸は飛ばされてなくなってしまった。

城ヶ崎じょうがさきは驚くも、静かに刀を鞘へと納刀する。

そしてゆっくりと二宮にのみやへと視線を向けると口を開いた。



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「……二宮にのみや。生徒会役員一同に今回の件について報告をお願いします」



畠中 祈里はたなかいのり

「ねぇねぇ、もしかして会長さんはこーちゃんが犯人だって疑ってたのにゃ?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「特定の誰かを疑っていたわけではありません。

誰が犯人であってもおかしくないと考えていました。

中でも特に容疑が濃厚だったのは

新規で入ってきた二宮にのみや畠中はたなか

そして敷島 遥斗しきしまはるとと交友の深い鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけでした。


三人が犯人であると仮定し

八木原やぎはらの一件から振り返っていました

あの企画書を私に提出した人物、それは鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけでした

恐らく八木原やぎはらの計画に助言をし、不審な部分を修正したと思われます

まさかとは思い、鹿苑寺ろくおんじの経歴を調べました…

彼の学歴は至って平凡でした

しかし出生地が不明のようで、かつて孤児だったという記録があります

敷島遥斗も同じ出身校で、そこに二人が出会った過程があったのでしょう


ですが私が調べられたのはそのような書類に記載されているような内容だけ…

結局、断定するまで時間がかかってしまいました

早急に気がついていれば、志野原しのはらの負傷を防ぐことができたかもしれません

やはり一刻も早く再発防止策を徹底しなければなりませんね

これからは忙しくなりますよ」



二宮 達也にのみやたつや

「そのために私たちを勧誘したのですからお手伝いすることは当然と存じていますよ」



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃ~んか面白そうだから頑張るのにゃ~」



二宮 達也にのみやたつや

「是非ともいつものようにはならず頑張っていただきたいものですね」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

城ヶ崎 健じょうがさきたけるは今回の件を上に報告した後、再発防止策を提案。生徒会の選抜方法を改革すると共に、再度生徒を調査し現在の脅威がないことが確認された。

その対応の速さから城ヶ崎じょうがさきに対する上の視点も変わっていき、月ノ都つきのみやこ学園の信頼を少しずつ回復させることとなった。


そしてそれから2週間後

学園から少し離れた総合病院にて志野原しのはらの面会へと訪れた城ヶ崎じょうがさきは扉をノックした。



志野原 雫しのはらしずく

「どうぞー…って会長!!?

こんなところまで…!?実務は大丈夫なんですか!?」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

二宮にのみやができる仕事が多かったので、今は任せています

それにこの後も帰り次第実務へと戻りますのでご心配には及びません

それよりも怪我の具合はどうですか?」



志野原 雫しのはらしずく

「今はもう大丈夫です

リハビリを少しして、安静にしていればすぐに復帰は可能です

もしも畠中はたなかさんが早くに到着しなければどうなっていたか…」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

畠中はたなかが間に合ったのも二宮にのみやが貴女を監視させておいたからだそうです」



志野原 雫しのはらしずく

「そう……なんですね」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「早急に対応しなかったのも、即座に対象と接近してしまうと交戦状態になるかもしれないからだそうです

私が指示するとしても同じ判断を下していたでしょう

ですが、それのせいで志野原しのはらにはこのような怪我をさせてしまいました。

申し訳ありません」



志野原 雫しのはらしずく

「会長!謝らないでください!!

そんなことよりもあの二人は本当にすごいです!

二宮にのみやさんも畠中はたなかさんも…

推薦した身として、とても誇らしいです!

あっ、そういえば……入院中に再度、監視カメラの映像を見ていたのですが

八木原やぎはらの事件が起きる前に隣の部屋から入り、妖刀を手渡していたのは鹿苑寺ろくおんじさんでした

恐らく予想した通り窓をつたって室内にいる八木原やぎはらへと接触し、妖刀を手渡したものかと思います…

まさか鹿苑寺ろくおんじさんが犯人だとは思わず、見落としてしまっていました」



城ヶ崎 健じょうがさきたける

「そうでしたか…

今回の事件はCARDIEDカディドが送り込んだ刺客が招いたこと

あまり気に病むことはありません


今後も間違いなく奴らはなんらかの形で我々に対し牙を向いてくるでしょう

より一層我々生徒会が取り締まらねばなりません

志野原しのはら…これからも頼みます」



志野原 雫しのはらしずく

「はい!」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

城ヶ崎じょうがさきは学園へと戻っていく。

病室で再度眠りにつこうとする志野原しのはらを呼ぶ声がした。



畠中 祈里はたなかいのり

「にゃ~んだ、結構元気そうだにゃ~?」



志野原 雫しのはらしずく

「え、畠中はたなかさん!?いつの間に…」



畠中 祈里はたなかいのり

「ニャハハ、抜き足差し足忍び足ってやつだにゃ」



志野原 雫しのはらしずく

「もしかしてお見舞いに来てくれたの?」



畠中 祈里はたなかいのり

「そんな感じだにゃ~」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

傷を負った部位や身体をじーっと眺めた後、欠伸をする。



畠中 祈里はたなかいのり

「アタシがしずくちゃんをすぐ助けにゃかったこと…怒ってるかにゃ?」



志野原 雫しのはらしずく

「いや!そんな…怒ってるなんて

むしろあのタイミングで来てくれなかったら私は殺されてた

むしろ貴女と二宮にのみやさんが入ってくれたおかげで生徒会は助かってるのよ

ほんとうに…ありがとう」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

畠中はたなかは目を細めて笑った。



畠中 祈里はたなかいのり

「…まぁ、放っておいても殺されはしなかっただろうけど」



志野原 雫しのはらしずく

「え、それってどういう?」



畠中 祈里はたなかいのり(被せ)

「無事にゃらいいんだにゃ~~!

じゃあ~アタシはそろそろ帰るにゃ~

あんまり散歩ばっかりしてると達也たつやに怒られちゃうしね~」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

同時刻、生徒会内への定時連絡を終えた二宮にのみや

先の事件を生徒へと公表するため、生徒会ニュースを作成していた。

生徒会室内にいた二宮にのみやは休憩すると周りに伝えると一人で屋上へと向かった。



二宮 達也にのみやたつや

「会長………情報にはとかくガセが付き物なんですよ」



N→鹿苑寺 浩介ろくおんじこうすけ

携帯端末を取り出す。

それは学園支給のものではなく、一般市民が使うような携帯で

本来学園内の生徒は所持を禁止されているものである。



二宮 達也にのみやたつや

「………もしもし私です。

今回の件、上手いこと解決していただいたみたいでしたよー


鹿苑寺ろくおんじは予定通り、邪刀やつるぎ八木原やぎはらへと渡し計画の立案を助言した

そこで生贄を与えて妖力を蓄えさせ、持ち主を処分してACEエースがそれを奪取

その後、生徒会長の飲食物に毒を盛り敷島しきしまの体調悪化を利用して裏人格を再発させた

そちらの性格は予想通り妖刀を使い殺傷事件を起こし、現生徒会長がそれを鎮圧。

その後の彼は移送中に回収に成功したと…



それで今回は再度、生徒会の威力偵察と戦力削減を兼ねて事件を起こし

その隙に撤収予定でしたが、もう鹿苑寺ろくおんじは不要との指示でしたので

無理なく殺処分するため生徒会長と戦わせました

しかし…彼もまたプロですねー

敗北したのち、御刀みつるぎにて自害したので証拠と共に消滅しましたよ


えぇ、おそらく会長もまだ真実には辿り着いていないでしょう

頭の片隅では疑問を浮かべていても決定打がないですし、まだまだ放置で良いかと…


妖刀の成長具合も現状は好調との事ですし

大方アナタの計画通りですね

目立った失敗をあげるとすれば………」
























二宮 達也にのみやたつや

夢野 天ゆめのそらの捕縛に失敗し、死亡させてしまったことくらいですかね」






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