第12話 尾行
(…つけられてる)
放課後、
だが、スーパーの角を曲がったところで、何者かの気配を後ろの方で感じた。
(誰かわからないけど撒かないと、桜花の事を知られちゃう)
琴音は商店街に入り、歩く速度を速めた。この時間の商店街は人が多く、自分を見失わせるにはちょうど良かった。
商店街を抜けてからは、角を曲がっては小走りすることを繰り返した。
(……撒けた、かな?)
4つ目の角を曲がったあたりから人の気配が無くなった。
(誰だったんだろう)
その後、念の為少し遠回りをして、琴音は桜花のビルに入って行った。
その様子を眺める人影に気付かずに。
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月が昇り始めた頃、
会議室に入って驚く。
「琴音さん!こんな時間までいらしていたんですね」
「はい、少し用があって」
その時、会議室の扉がバンッと大きな音をたてて開いた。
「……おや。望月、ここは男子禁制だよ」
「………は?」
望月は、ぽかんとした顔で返した。
「ストーカー?!」
望月の大声に、仕事場のメンバーの注目が集まる。
「そう。今日の下校中、誰かにつけられていたらしいの」
「そんな……、大したことではないと思ってはいますが…」
峰崎の隣で、琴音は縮こまっている。
「それは……ストーカーだけでなく、…スパイの可能性も考えた方がいいな」
「そうね。それも考えた上で、琴音ちゃんの身の安全を確保するために、今日はここに泊まることにしたわ」
「なるほど。それで、会議室が女子の寝室になるから、男子禁制ってことか」
「そういうこと。今、
こうして、この日はリーダー4人と望月、琴音でビルに1泊した。
翌朝。念の為にビルの裏口から外に出て、学校まで望月の車で送ってもらうことになった。
「スパイだったら厄介ですね。桜花にも危害が加わります」
「ストーカーであれスパイであれ、琴音さんに危害を与えるものであることには変わりありません。どちらも我々からしてみれば同じくらい厄介です。…くそっ。タチが悪い……」
助手席で謙遜したことを言う琴音に、望月は少し苛立ちの混じった声で言って、奥歯を噛み締めた。
そんな望月を見て、自分が桜花の人たちに、少なくとも望月やリーダーたちに愛されているということを再び実感する琴音だった。
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