ある日、俺が出会ったのは美少女・・・のロボットだった。

蒼井青葉

プロローグ

 19歳の誕生日を迎えてしまったその日に、俺は決意した。


 「今年こそ、絶対彼女を作って見せる!」


 と。


 俺は今まで一度も女子と付き合ったことはない。悲しいことに。中学のころ、1年の時に好きな子がいた。同じ部活でもあった。俺は誰にも言わないでくれと念押しした後に、部活の友達にその子が好きだと言うことを話した。ここまではよかった。だがその次の日、クラスの話してもいないはずの男子に俺がその子のことが好きだということを知られていた。しかも、その子は俺と目が合うと結構な頻度で嫌そうな顔をしてきた。当時の俺にはショックだった。ダメージを受けた。

 それ以来、恋愛だけでなく人付き合いも苦手になっていった。高校では俺に話しかけてくれた男子数人と友達になっただけであった。そのころから俺は恋愛なんてどうでもいいと思っていた。


 けれどこうして19歳になるとやっぱり彼女が欲しい。そう思わざるを得なかった。


 ある日、俺はいつものように電車に乗って大学へ行き、講義で一緒になった友達と会話を交わしてそれからまた家賃が安めの2階建てアパートに帰ってきた。そこまではよかった。


 「だ、誰だ・・・こいつ?」


 俺の家のドアの前に座り込んで眠っている少女の姿があった。見た目は高校生くらいか。

 

 「お、おい。あんた。大丈夫か?起きろ」


 俺が弱弱しい声で彼女に呼び掛けると、すっ、と顔を上げた。


 「どうしてあんたは俺んちの前でへたり込んでいるんだ?っていうかお前は何者だ?」


 俺がそう呼びかけると彼女は立ち上がってこう答えた。


 「私が何者かという質問には、セレナです、人型ロボットです、と答えます。そしてなぜここにいるのかという質問には、春斗。あなたの彼女を作るのを手伝うためです、と答えます」


 「は、はぁ!?」


 彼女、自称人型ロボットと名乗るセレナはそう言った後ににこっと微笑んだ。意味の分からない発言にも驚いたが、彼女がなかなか美少女であることにさらなる驚きを覚えた。


 ああ、でもロボットなんだっけ?


 「な、何で俺の彼女作りをあんたが手伝ってくれるんだ?」


 「申し訳ありません。それはお答えできません。あ、私のことはセレナとお呼びください」


 何で答えられねぇんだ?意味わからん。


 そ、それと俺は女の子を名前呼びしたくねぇんだよ。恥ずかしいし。


 「あと、私行くところがないんです。あなたの彼女作りを手伝いますから、同棲させてください!掃除洗濯食事なんでも私にお任せください」


 「い、いやそんなこと言われてもな・・・」

 

 いくら何でも急すぎだ。なんだこのわけのわからない展開は。


 「ダメ・・・なんですか?」


 ぐ・・・。そんな目で俺を見ないでほしい。頼むから。 


 俺はひとつ絶対に聞いておきたいことがあった。


 「な、なぁ。せ、・・・あんた。本当にロボットなんだろうな?」


 「はい。もちろんでございます。型番はZ185L21・・・」


 「ああ、わかったわかった。まぁ泊めてやる。その代わり本当に家事と俺の彼女作りを手伝ってくれるんだろうな?」


 「はい。もちろんでございます。何でも致します」


 そう言った彼女(ロボット)の笑顔は輝いていて俺にはまぶしすぎた。目が痛い。


 「ほら、さっさと入れ。今から食事の支度をしてくれ」


 「はい」


 そんなこんなでセレナとの同居生活、そして彼女による俺のプロデュース作戦が始まったのだった。別にそんな作戦はまだ立ててないな。


 それにしても何で彼女は俺のもとに急に現れたのか。そして誰が作ったのか、どこから来たのか。謎は多すぎた。

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