CBっぽい。

 宗則に借りているCB1100FCはGPZ900Rと同じ直四のエンジンだが、色々違う。

 ホンダ車、排気量、空冷。それに加えて久しぶりのセパハンポジション。


 宗則のCBは元々は何代か前の先輩が所有していた車両で、その先輩がバイクを乗り換える際に、サークルにレース用車両として提供してくれたものらしい。

 その頃、TT-W(まだ名前がTow-Wheelerだったかも)はサークル活動の一環として草レースに参加していて、足回りもホンダのレーサーレプリカ車両から純正流用されていたり、今はトモくんがTWに付けているトラッカーシートが付いていたりしていた。


 保安部品を付けたり、シートを純正に戻したりはしてあるが元々草レーサー仕様。

 本来はもう少し重い車体なんだろうけど、GPZよりは取り回しが軽く感じる。トルク感もGPZよりあるような気がするけど、高回転までエンジンがスムーズに回る印象がそうさせているのかも知れない。洋子をタンデムしていてもGPZの時よりスムーズだ。

 洋子がバイクに乗り始めてタンデムの乗り方が上手くなったことも一因あるかも知れないけど。


 そして、私が一番感動したのはCBに付いている社外キャブレーターのフィーリングだ。アクセルは重いが慣れてしまえば問題無いレベル。そのネガティブを差し引いてもあり余るくらいのアクセルと連動する気持ちいい加速感!

 学食で宗則に会った時、興奮してめっちゃ早口で話してしまったョ。


「わかるわー。俺もCBが初めてのFCRだったんだけどすごい興奮した」と宗則。そして、気をつけないといらないアクセル操作をしすぎて燃費が悪くなるというのも教えてくれた。あと、かなり高い社外品だが消耗品と認識されるものらしく、宗則のキャブもレースで使用していたこともあり、ある程度消耗しているのを誤魔化しながら乗っているとのこと。もし導入するなら最初からキチンとしたフィルターを付けておいた方が良いとか。

 しかし、現実問題そこまでお金をかけてカスタムするのはまだ想像つかないなぁ。


 学食でキャブレーターの話できゃっきゃウフフしてる私と宗則を洋子が生温かい目で見ている。


「そういえば、洋子ちゃんのカフェなんだけど……」視線に気付いた宗則が洋子に話しかける。信号待ちでアイドリングが不安定でエンジンが止まる時がないかと宗則が洋子に尋ねた。

「そうなんです、納車後は良かったんですけど最近気温が低くなってから出始めた感じです」と洋子。

 宗則曰く、おそらくだけどタペット調整というエンジンの吸気とか排気とかのバルブのクリアランスを適正値に調整することで調子が良くなるだろうと。宗則が借りてる間にやってもいいけど……と言いかけたが、洋子が自分でやってみたいから教えて欲しいと言ったので、週末GPZの作業の後、洋子のカフェも整備することになった。

 これはGPZでもいつかエンジンの騒音が酷くなってきたら疑うメジャーな整備箇所でもある。しかもGPZの場合16個もバルブがあるので大変だ。


 私も予行演習の気持ちで見物しよう。

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