プロローグ6

朝日に照らされて目が覚める。ふと近くにあった時計を見ると10時を指していた。




「あー……頭いて……昨日どうやって帰ったっけか……」


ずきずきと二日酔いで痛む頭を押さえて立ち上がる。




必死に昨日の記憶を呼び起こそうとするが、森田さんと連絡先を交換してからの記憶がない……


「昨日は無茶な飲み方したからなぁ……もう若くないし次からは気をつけないとな……」




キッチンに行き水をあおる。


あれからどうなったか分からないがおそらく西野が家まで送ってくれたのだろう。




あいつには変なところで迷惑かけちまうな……とりえず礼を言わなくては、と鞄からスマホを取り出す。するとメッセージの通知が来ていた。


どうせ西野が昨日家まで送った礼でも要求してきてるんだろうと画面をみると、差出人に”森田千咲”と表示されている。




「え?なんで森田さん?」


なぜ昨晩連絡先を交換したばかりの彼女から連絡が来ていたのか分からないが、とりあえず開いてみる。


そこにはこう書かれていた




『昨日はお疲れさまでした!飲み会のあと写真を撮ったので送っておきますね!』


俺は可愛らしいスタンプとともにメッセージに添付されていた画像をみて、左手で持っていたコップを落としそうになる。




なんと俺と森田さんが一つのベッドで寝ている画像が送られてきていたのである。


「な…なんだこれ。しかもこのベッド俺の家のじゃないか……」




そしてあることに気が付く


「ん?ということは昨日俺を家に送り届けたのって森田さんなのか……?」




俺は急いで西野に電話をかける


休日の午前中だというのに3コールほどで出だ西野はすごい勢いで話し始める




「はいもしもし。なんやこんな朝っぱらから電話かけてき…」


西野が言い切る前に食い気味に口を開く




「おい!昨日俺のこと送っていったのお前じゃねぇのか?まさか森田さんに送らせたわけじゃないよな!?」




最後の望みをかけてそう問いかけるが答えは無慈悲なものだった。


「ああ、そうそう俺が頼んだんよ。森田さんが家近いっていうから代わりに。


 いやー。ほんと大変だったんだぜお前のことタクシーに乗せるの、全然起きないし


 あ、それはそうとお前がぶっ倒れてからおもろいことあったんやけど……」




その後も西野は電話の向こうでしゃべり続けていたがまったく俺の頭には入ってこない。




(まてまて…じゃあこれはいたずらの合成写真とかじゃないってことか?


 いや……でも、なんでこんなことを?)




頭の中はすでに?マークでいっぱいだ。ともかくこの写真の真相を確かめなければいけない




まだ話し続けている西野の電話を切り、回らない頭で返信する。




『昨日は送ってもらったようでありがとう。それと写真だがお互い酔っぱらっていてこんな行動をとってしまったんだと思う。だkらこれは見なかったことにするので、データを消してもらえるとありがたい』


祈るような気持ちで待つ。




何時間も待っていたように感じたが実際には数分程待っていると、スマホが振動する。


どうやら返事が来たようだ。




俺は飛びつくように画面を開くするとそこには意味深なメッセージが送られてきていた。


『いいですよ。だたし条件があります。』




条件など嫌な予感しかしないが、内容をきかないわけにはいかない。


『なんだ?詳しく聞かせてくれ』




再び祈るような気持ちで返事を待つ。




(変なことじゃありませんように……変なことじゃありませんように……変なことじゃありませんように……変なことじゃありませんように……)




今度はすぐに返事が来る


『それじゃあ遠慮なく!明日私とデートしてください!そうしてくれれば写真は消します!』




(はぁ?なにいってんだこいつ……)


なんてことを思ったがあることに気が付く


(もしかして俺のことをこうやって脅して、今回だけじゃなく金をとれるだけ取ってくるんじゃないのか……)


そう思いゾッとするが、ここで断って写真をばらまかれるのだけは避けなければならないと考えた俺は、


『わかった。今回だけだからな』


と迷いながらも返信する。




すると今度も間髪おかず


『はい!では楽しみにしてます!


 ちなみに私は映画を観に行きたいです!』


と映画館のURLが送られてくる。




どうやら上映スケジュールのようだった。




ちょうど俺自身も気になるミステリー映画だったので


『わかった。時間と場所はまた連絡する』


とデートの提案を承諾したのだった。

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