続・カクヨムに書く小説。
龍の雛を手に入れた者が世界の覇者となると言う。
その言い伝えを信じた皇帝は大草原にやって来た。
しかし、時を同じくして、龍の雛を守る大草原の巫女は異世界から勇者を召喚した。
はずだった。
しかし、召喚されたのは空気人形だった。
そんな中、皇帝は多くの兵士を率いて、大草原のほど近い村にまでやって来たと言う情報が入ったのだった。
「巫女様、如何致しましょう。皇帝はすぐそこまでやって来ております。」
「これが勇者ならば良かったのに、空気人形では!! ええい、忌々しい!!」
癇癪を起した巫女はそう叫び、側近に空気人形を投げつけた。
すると、どうした事だろう。
空気人形を投げつられた側近は、その場で受け身を取り空気人形の下敷きになったのだった。
「これは、一体……。」
「何だか、こうしなければならない様な気がしてしまって……。」
「何と言う事だ、この空気人形は魔法の空気人形だ、とでも言うのか。」
ハッとした巫女は、側近から空気人形を剥がし取り、もう一度他の側近に投げつけた。
くるりと回った空気人形を投げ付けられた側近は、矢張りその場で受け身を取り空気人形の下敷きになったのだ。
「これは使える。」
対する皇帝は天幕の中で馬乳酒を嗜みながら、寛いでいた。
「ShamanがChampionをSummonしていたとしても、No Problemだ、なあ。」
皇帝の国の言葉は、日本語で例えるならばルー語に似た言語なので、ここではそんな感じで表記する事にする。
「ははっ、仰る通りです。我が軍は60頭もの戦象、10機もの移動式の投石器、200人もの精鋭の弓兵を以て大草原を攻めるのです。問題があろう筈がありません。」
部下はそう返す。皇帝と言葉が違うのは、部下は大草原と同じ言葉を使う侵略された国の人間だからである。
巫女側に話を戻す。
「皇帝は、大量の兵士と兵器を率いている。対して我々は少数の兵のみ。軍師よ、如何する。」
巫女は軍師に意見を求めた。
「策があります。総大将である皇帝を絶望の洞窟に誘い込むのです。」
軍師は、即答した。
「絶望の洞窟に……?」
「皇帝は何でも自分でやりたがる男。さすれば、自身で軍を率いて来るに決まっています。あの洞窟で役立つのは大掛かりな兵器よりも徒手空拳。その規模の場所ならば、その空気人形も役に立つ事でしょう。」
「My Nameは皇帝!! Shamanよ、Me自身の手で引導を渡してやるDeath!!」
戦闘が始まると、軍師の読み通り、皇帝が名乗りを上げた。
「はっ、私は此処だ。出来る事なら追って来るんだな!!」
巫女はわざと姿を見せ、絶望の洞窟の方に向かって馬で駆けた。
巫女の乗る馬は名馬が多いとして名高いレッドラビット種だ。
凡馬に乗る皇帝との距離は離れて行くばかりだ。、
「Oh、こしゃくな。Waitです! Waitです!」
皇帝はそれを追いかける。
ふと巫女が後ろを向くと、60頭程の戦象が巫女の軍を吹き飛ばしているのが見えた。
それに対して10機程も移動式の投石器、200人以上の精鋭の弓兵が一気に畳みかける。
(皆、無事でいてくれ……皇帝さえ倒せば、相手の兵士達は戦意を喪失する筈)
と、洞窟の入り口が見えた。話に上がっていた絶望の洞窟である。
「皇帝よ、かかったな!!」
そう言って、巫女はおもむろに魔法の空気人形を皇帝に投げつけた。
くるくるっと回って飛んだ空気人気は、皇帝の背に着地した。
そして、矢張り……皇帝は受け身を取り……
「Oh、Horseから落ちてしてしまいました!!」
落馬しながら、そう叫んだ。
「如何な遠距離兵器、大型兵器とは言え、狭い空間では無力。」
「Oh、何と言う事……Meをnarrowな所に誘き寄せるのが目的だったのですねー!!」
それを聞いていた魔法の空気人形が、呟いたかの様に見えた。
「ここはなろうじゃなくてカクヨムだよ。」
お後が宜しい様で。
カクヨムに書く小説。 @yookis
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